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「TPP問題を考える」講演会

浜矩子 4月28日エル大阪南館で「TPP問題を考える」講演会を講師に浜矩子さんを迎え開催した。
浜矩子さん
発言集はこちらPDF



浜さんは、
TPPのとらえ方が同床異夢で、賛成も反対も自己都合の色眼鏡で見ており、TPPが一体何ものであるのかをしっかり捉えることが必要だ。

TPP(環太平洋パートナシップ)は、私からすれば「全面的保護主義パートナシップ」としか見えない。TPPは、「例外なき不自由化貿易自由化」を日本に迫るものであり、「例外なき囲い込み貿易」を迫っている。TPPは、「環太平洋エリア」という特定の地域を囲い込み、その囲い込みの中だけで貿易関係を強化する考えだ。結局、自分たちにとって都合よい相手国だけとの貿易を行う、その中では「関税ゼロ」のエリアと関税が残るエリアとの格差が生じ、特定の域内だけで貿易することで逆に不自由な貿易を受け入れることになるのだ。

1930年代の囲い込む地域の分捕り合戦から世界大戦へとなった歴史の上に立ち、戦後新たな通商体制GAT(関税と貿易に関する一般協定)が締結されその理念は、「自由・無差別・互恵」で、これはWTO(世界貿易機構)に引き継がれてきた。
 
A国がB国との間で関税を10%引き下げたら、それ以外のすべての国の関税も10%引き下げることになり、互いに恩恵を与え合うのが戦後の通商理念だった。これに真っ向から反するのがTPPの本質であり、最大の問題である。
 
私は、「○×自由貿易協定」と言うのは、まやかしで、「地域限定排他貿易協定」と置き換えたい。実際は、地域を限定してそれ以外の地域は排除したかたちで、利益を独占しあう協定に「自由」という表現は、議論の道筋を混乱させようとする目論見があるのだ。 
日本は、WTOの理念に対して比較的忠実に貿易を展開してきている。その中で、日本の農業はどうなるのか、医療制度や医薬品をめぐる約束事はどうなるのか、地域密着型の中小企業はどうなるのかなど個別の観点でTPP問題をえぐり出すことは出来ない。もっと高い視点から、差別的・排他的な貿易のやり方の問題を指摘し、「全面的保護主義貿易協定」などというもに日本が与してよいのか否かが問われている。
 
元々TPPは、「TPSEP」で、Sは「戦略的」、Eは「エコノミック」で「環太平洋戦略的経済連携協定」の名称だった。「環太平洋パートナーシップ協定」といえば、非常に開かれたものであるイメージが、「戦略的経済連携協定」となると、非常にきな臭い感じがする。
米韓自由貿易協定(FTA)でもアメリカは、自国に有利な偏った内容を入れてくる。これをモデルにTPPに入れようとしているのである。自国の利益優先となる「TPP=地域限定排他通商協定」で地球経済を切り刻み、大きなエリアを囲い込み、引き籠もろうとする発想ではないのか。
 
これに対抗するには、多様性と包摂性の高い世界経済とアダム・スミスの「国富論」を超えていくことで、「僕富論」(自分の富さえ増えればよい。僕の富さえ減らないなら何でもする」という究極の排外主義から「君富論」(あなたの富が増えるようにしなければいけませんね。あなたの富が減らないように頑張りましょう」という究極の包摂性を保つことにしか、世界経済を奈落の底に沈む流れを止めることは出来ない。
TPPは、アメリカだけが繁栄する「僕富論」を推進し、自国を輸出立国に復権させようとしているのだ。
 
私たちは、「僕富論」の競争に明け暮れる社会から、相互信頼を広げる「君富論」へ脱却すること。「歴史の教訓」に学ぶことである。

まさかは、必ず起こる例としてヒットラーの第3帝国構築である。泡沫政治家と言われていたヒットラーが大ファシズム帝国を構築した。いま、大阪でも同じようなことが起こってしまうかもしれないという危険に私たちは直面している。
私たちが自らの手で地球経済を切り刻む暗黒の奈落の底に落ちるのを止め、「ハジズム帝国」を作らせず、新たな夜明けへの扉を開くため「君富論」の普及運動が拡がることであると思う。
と、締めくくった。


浜矩子さん発言集はこちらPDF

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