昨年、創立40周年を迎えた『西大阪朝鮮初級学校・付属幼稚班』(大阪市住之江区北加賀屋)は09年6月21日、第4回一般公開授業を開催しました。この公開授業は、在日朝鮮・韓国人の子どもたちが通う「朝鮮学校」とは、どんな学校なのか?どんなことを教え、どのように学んでいるのか?を、広く一般に公開し、「来て」「観て」「聞いて」もらうことを目的にしています。関西地区生コン支部機関紙記者は、この公開授業を取材・見学させていただきました。 午前10時、授業(保育)の一般公開が開始されました。4階建ての校舎1階では、可愛い幼稚班の子ども達が元気にお遊戯や民族太鼓の稽古をしていました。 2階3階は小学生低学年と高学年の教室です。それぞれ、音楽や算数、国語(日本語)などの授業をしていました。授業中はすべてハングルで会話が交わされます。子ども達は皆、元気に手を挙げて大きな声で発言していました。
11時15分からは、この学校の卒業生で、現在は愛媛大学校大学院で昆虫工学を専攻する方による特別講演が行われました。正直、昆虫の話をされても昆虫に興味が無い人にはまったく面白くない講演になるだろうと思っていましたが、とても面白く、正面に用意されたスライド写真には昆虫に関係のない?スパイダーマンやエイリアンの写真が飛び出したり、擬態を使う昆虫を見つけるクイズなどもあり、とても面白い講演でした。朝鮮民主主義人民共和国に「昆虫採集」に行った際、日本で見つけることが非常に困難な昆虫を多数発見したそうです。標本にすれば日本で1体1万円の値段が付く昆虫も沢山いて、目の色が変わったとか・・・。その昆虫たちもなんと、「ホテルの玄関」で発見したそうです。手つかずの自然が残り、開発と公害に汚染されていない共和国ならではの昆虫パラダイスがそこにあったそうです。 13時からは交流会として『焼肉パーティ』が運動場で行われました。この学校に通う児童と共に皆で焼肉を頬張りました。焼肉パーティの間も、協力・友好団体の代表が一言ずつ挨拶。また、アプロハムケネットワークが企画した『缶バッジ』のデザインを朝鮮学校に通う児童に募集し、みごと入選してバッジにデザインが採用された児童たちを称えるなど、楽しく、美味しいパーティが催されました。 『缶バッジ』の企画は、「アプロハムケネットワーク・朝鮮学校友の会」「チョソンハッキョを楽しく支える生野の会」「西大阪朝鮮初級学校アプロハムケ」「中大阪朝鮮初級学校とともに歩む会」「北大阪朝鮮初中級学校を支える会(アプロハムケ北大阪)」「1%の底力で朝鮮学校の民族教育を支える会」「平和の糧」「ハナから~日朝友好プロジェクト」の皆さんが行いました。 全国各地の民族学校、朝鮮学校ではいわれのない理由により差別的な暴言を投げかけられる児童が後を絶たないと言います。また、『各種学校』扱いの朝鮮学校では、そこに通う子ども達、その保護者、学校関係者が様々なハンディを負わされています。朝鮮学校を正規の「学校」として位置づけ、扱おうという姿勢は日本政府・文科省からは未だ出てきていません。しかし、民間次元や各地方自治体ではその実態に則し、正規の「学校」と同等に扱っていこうという姿勢が確実に根付きだしています。この10年ほどの間でも、多くの公私立大学が受験の扉を開き、各自治体からの教育助成金も地域格差はあるものの、相当な前進をみました。また、高野連や高体連、中体連の主催するスポーツ競技大会への参加も出来るようになり、朝大からの国立大大学院への道も開かれてきています。国立大学をはじめ全ての大学への入学資格認定もあともう少しの所まできています。アジア系民族学校等排除方針を覆すに至った世論の猛反対は、民族学校教育を尊重すべきという考えがある程度まで根付いてきたことを意味するものです。この流れをより早くするためには、不当なことにはより声を挙げ、また公開授業や交流活動をさらに積極的に進めていくことが大事だと言えるでしょう。 |