経済情勢の悪化が労働者の雇用状況を不安定にし、多くの職場で違法解雇、社会保険の未加入、残業代の未払い、有給休暇の取得抑制など、無法状態が
まかりとおっている。
不安定雇用労働者を取り巻く社会問題は「０９ショック」とも呼ばれ、労働者のセーフティネット崩壊といっても過言ではない。さらに、中心的な企業別労働組合は、多くの不安定雇用労働者の切実な訴えに耳を傾けようとしていない。
前述したような企業内組合に相談したが、まともに相手をしてくれなかったり、自分で弁護士や労働基準監督署に相談に行くように言われたという事案が余りにも多かった。このような名ばかり労働組合が企業のモラルハザードを助長しているのだ。
この１ヶ月間は、緊急性を要する職場を近畿一円で１０企業以上公然化し、団体交渉を行ってきた。
また、０９春闘に先駆けて我々生コン支部は、不安定雇用労働者の相談窓口としての協働センター、派遣村相談センターに積極的に関わり、１８０件近くの相談を受けた。
数ある組織拡大の中から、特徴的な企業をここに紹介する
「Ｏ」は大阪府泉南地方から和歌山県にかけて展開している中堅スーパー
泉南市の大型量販店である『Ｏ』のグループ会社、『株式会社Ｏエンターテイメント』で働いているＳさんは、10年間もパート契約労働者として『Ｏ』店舗内で書籍、CD、DVDの販売や管理業務全般を行ってきました。
Ｓさんは、職場内のパワーハラスメントにあい、さらに過重労働で腰痛を発症。緊急入院と手術を余儀なくされました。会社は、「業務に支障をきたす」として退院後すぐに職場へ復帰させました。しかし、Ｓさんは立って仕事が出来ないほどの痛みを覚え、再度の入院生活を送り歩行障害も残りました。ところが、会社はＳさんに対して労災申請も認めず、現在、本人は社会保険の傷病手当で腰痛治療を行いつつ生活を維持している状況。それにも関わらず、会社はパート契約の更新予告を留保している状況です。
組織部は、会社に対してハラスメントと労災隠蔽に対する謝罪と、本人が被った逸失利益の回復と、労災適用されなかった期間についての取扱いについて協議を行っているところです。
セメント直系の『子会社』に連帯ユニオンを結成 同社は、１００％セメント直系の出資会社でありながら到底生活出来ない賃金を押し付け契約するなど、「これ以上我慢できない」と山田さん（仮名）は組合に相談しました。今後、山田分会長は「労働法遵守の精神を親会社にも求めていく」と、力強くコメントしています。
大手セメント専属輸送の『Ｍ運輸倉庫株式会社』で働く仲間が連帯ユニオンに加盟しました。
川田分会長（仮名）は、昨年８月に同社と社員登用契約を結び、当時働いていたセメント輸送企業を退職してＭ運輸倉庫に入社。しかし、１年６ヶ月以上たっても社員にする約束を守らないので、連帯ユニオンに相談し加盟しました。
同社は、本来企業が負担すべき労働者への諸権利を完全に無視しており、私たちは要求を通じて会社と羽田分会長の雇用関係をあるべき姿に戻していくことを目指します。
希月さん（仮名）はコンビニのお惣菜「サンドイッチ・サラダ・デザート」などを作る『ＰＤ株式会社』宝塚工場でパートとして働いています。
職場で色々な疑問・不満などがあり、同じ部署で働く仲間と話し合いをして、職場環境・労働条件などの改善を求めるため連帯ユニオンに加盟。３月12日に公然化しました。
希月さんは、職場で悩みを抱えた仲間たち一人ひとりに声をかけて連帯の輪を広げています。その一生懸命さには関心するばかりで本人は明るく、パワーがあり
人を引き寄せる人柄で、とても面倒見が良く、困っている人が居ると放っておけない性格です。オルグをするために、希月さん自身も前向きに労働組合の学習に取り組んでいます。
これからも連帯ユニオンの仲間のみんなと力を合わせて、分会要求の達成と組織拡大を目指していきます。
くさり NO,720より
