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シンポジウム『知る権利が危ない!PartII


秘密保全法ができたらどんな事が起こるの?
先日、「秘密保全法」の学習会に参加し、余り知られていない危険な法案が推し進められようとしていることを知りました。
「秘密保全法」というのは、一昨年の尖閣沖漁船衝突事件のビデオ映像がネットで流出したことをきっかけに作ろうとされている法案です。

法案の内容は、
①「国の存立にとって重要な情報」を「特別秘密」に指定して、
② 秘密を扱う人の「適正評価制度」を導入して、
③「特別秘密」を漏らした人を厳しく罰するなどが柱になっています。

この法案の一つ目の問題は、何を「特別秘密」にするかを行政が自分勝手に決めてしまうこと。そうなれば、政府が国民に知られたくない情報はことごとく「秘密」にされてしまう可能性があります。

その「特別秘密」は、①国の安全②外交③公共の安全と秩序の維持の3分野の情報のうち、「国の存立にとって重要な情報」をさすそうです。防衛大臣が「特別秘密」と決めてしまえば憲法9条に違反するような海外での自衛隊の武力行使やどんな武器や戦闘機をもちどんな演習をしているかまで全て秘密になり、マスコミの取材はおろか、国会での追及さえもできなくなってしまうのです。

TPPについての情報が公開されないことが問題になっていますが、それが「特別秘密」になることで、どんなことをされているのか分からず、反対の声さえ上げられなくなってしまうのです。
今回の福島原発事故の原因、放出された放射線の量、健康への影響や環境汚染の実態さえも秘密にされてしまう恐れもあります。

 二つ目の問題として、「特別秘密」が外部に漏れないようにするために、秘密を取り扱う人たちの管理を徹底する「適正評価制度」を取り入れようとしていることです。適正評価制度では、情報を取り扱う本人だけでなく家族や親戚、恋人や友人までを調査し、管理し、チェックするとされています。

中味については、犯罪歴、懲戒処分歴、借金や返済状況、薬物・アルコールの影響精神的な問題に関する通院歴など他人に知られたくないプライバシー情報が集められます。国民ひとりひとりのプライバシーが国や自治体、民間の事業者によって集められて使われていくような人権侵害が許されて良いとは思えません。

三つ目の問題として、「特別秘密」を取り扱う人が「特別秘密を」他人に漏らす行為を特に重く処罰するとしており、その対象者は公務員だけではなく「特別秘密」を偶然研究の対象にしていた研究者や、関連企業の技術者、仕事上「特別秘密」にあたることがらを知らされた労働者なども処罰の対象になります。
公務員だけでなく一般の人たちの日常会話まで処罰の対象になってしまうこの法案は極めて人権侵害の恐れが高いのです。

四つ目にの問題として、熱心な新聞記者が行った取材訪問での情報収集やその企画・命令をしたデスクが処罰される可能性もあるほか、例えば福嶋原発事故の放射線量のデータなどの情報開示を求めてデモ行進することも、「不法な方法」による「特定取得行為」として、取締りの対象になるかもしれません。
秘密情報の取得を厳罰化することで、取材の制約が強まると、報道の自由を侵しかねません。

1985年に、スパイ防止に名を借りた「国家秘密法」が国会に提出されたとき、「政府が国民に知られたくない情報をかくすための、国民の知る権利と民主主義をないがしろにするする法案」と言われ、国民やマスコミから大きな批判を受け、結局廃案になったのです。「秘密保全法」案も「国家秘密法」案と同じ性質をもっており、わたしたちの人権が侵害され、民主主義がおびやかされる危険があります。

このような法案が出された本当の理由は、日米安保・防衛協力の強化です。アメリカに「共有した情報が日本政府から簡単に漏れないように秘密保全法制をつくれ」といわれているからなのです。日本はどこまでもアメリカ政府の言いなりです。日本の主権者は、日本国民?それともアメリカなのでしょうか?

今本当に必要なのは、情報公開です。しかも、ごまかしのない真実の情報公開が必要です。




参考
国家秘密に係るスパイ行為等の防止に関する法律案 - Wikipedia

秘密保全法研究序説 - 山梨学院大学 PDF
つまり、「国の利益、国民の利益のため」と言われれば何となく納得してしまうが、
実際には秘密保全法によって保護すべき国家的法益など存在しないのではないかという疑問が生じてくるのである。 (P51ページより抜粋)

秘密保全法制とは? - 日本弁護士連合会

連帯ユニオン議員ネット