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連帯ユニオン

他人の痛みは我が痛みの精神で、労働運動に取り組んでいます。 働く人々の労働条件の向上を目指して、日々活動しています。

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民主主義国家である我が国で、こんな異様なことがまかり通っていいのでしょうか。FEBRUARY  9th, 2018

2005年1月13日、一連の「事件」が始まりました。
厳しく冷え込んだこの日の未明、大阪府警が連帯労組関西地区生コン支部に乗り込み、武建一委員長ら組合役員4人を逮捕したのです。テレビが速報を流し、新聞は「生コン業界のドン逮捕」、「生コン組合、恐怖で支配」などと大見出しをつけた記事で連日キャンペーンを張りました。
警察はこれを皮切りに。同年3月、11月、12月と、「背任」、「強要未遂」、「威力業務妨害」、「政治資金規正法違反」といった恐ろしい罪名を振りかざして強制捜査を繰り返し、そのたびに組合役員を逮捕。これまでに合計8人もの組合役員を起訴したのです。

ガサを繰り返す大阪府警
ガサを繰り返す大阪府警

逮捕された組合役員たちは当たり前の労働組合活動をしていただけなので、当然、警察や検察の作り上げた容疑を否認し、無罪を主張しました。すると今度は、家族との面会も禁止したうえ、長期間にわたり勾留され続けました。武委員長は05年1月13日から06年3月8日まで実に1年2ヶ月、他の組合役員も3人が11ヶ月、2人が9ヶ月、1人が3ヶ月も勾留された末、ようやく保釈されたのです。

「ええかげんにせえ!警察・検察・裁判所」連続シンポジウム Ⅱ
 「ええかげんにせえ!警察・検察・裁判所」連続シンポジウム Ⅱ

警察や検察の取調担当者は、組合役員らに開口一番こう告げたといいます。「裁判が有罪だろうが無罪だろうが関係ない。君たちを1年程度社会から切り離しておけたらそれでいい」、「今回の事件で武委員長には引退してもらう。君たちの運動はいまの時代にそぐわない」。

「関西地区生コン支部事件」―――

まっとうな労働組合がなぜ狙われ、どのようにして一連の事件がしくまれたのか。 2006年3月と4月、国会内で開かれた2回のシンポジウムをもとに、この異様な労働組合弾圧事件のあらましと意味を知るためにここに記します。

 

連帯ユニオン(全日本建設運輸連帯労働組合)関西地区生コン支部委員長 武 建一
略歴 
1942年鹿児島県徳之島生まれ。中学卒業後、島内の商店に住み込みで働いたが19歳で大阪に出てきて三生運送(元の共同組)に就職。1965年関生支部の結成に参加し、初代委員長に就任。以来、同支部の発展・強化に尽力し、現在に至る。

 

「連帯」、この言葉の持つ重さを、改めて考えてみたいと思います。

講演記録 「弾圧と中小企業運動」 KU会第7回勉強会より

2007年10月29日に開催されたKU会の第7回勉強会『平和と人権が危ない!今 こそ日本国憲法に学ぼう』の中で全日本建設運輸連帯労働組合関西地区生コン支部・武建一執行委員長の講演内容(『弾圧と中小企業運動』)を同会パンフレットから抜粋しました。

     講演② 「弾圧と中小企業運動」
関西地区生コン支部・武建一執行委員長

長時間ご苦労様です。実は、このKU会は、05年の2月28日にスタートした会なんです。今日は主に中小企業の経営者を中心として60人以上が参加しております。後は、我が連帯労組(全日本建設運輸連帯労働組合)と生コン産労(交通労連関西地方総支部生コン産業労働組合)それに、我々と常日頃友好関係にある釜ケ崎の労働者のみなさん、地域の労働組合のみなさんなどが参加しております。
経営者と一緒にこういう学習会を続けるということ自体、非常に労働者の刺激になります。あるいは、経営者と労働者というのは、「鏡の如し」と言います。ですから、経営者がうんと勉強すれば、労働者も「負けられない」「もっと勉強しなければいけない」ということで、相互作用を起こします。その点で、非常に他の学習会などと比べて特徴があると思います。
この会ができてからまだ2年少ししか経っていないのに、7回もこういう学習会を組織するということは非常に意味のあることだと思います。特に、中小企業の経営者は、「自分は勉強したくないから中小企業をやっているんだ」という人が多いんですよね。労働者もそういう人が多いんですけれどね(笑)。そういう状況の中で学習するだけに、非常に価値のあるものじやないかと思うんです。
特に、05 年2月28 日という時期は、我が組織に対しての第1次弾圧の最中ですね。そういう時に出来た会なんです。実は、この会をスタートするにあたって、私が逮捕される前に、「こういう会を作ろうではないか」という話が、今、司会をされている門田会長などからありました。ちょうど弾圧の最中ですから、このKU会が本当にスタート出来るだろうか、私はその時、都島の大阪拘置所におりまして、非常に気になったんですが、弾圧にめげずに設立された。特にこれは経営者が主体になって作った会ですからね。すごく我々にとつては力強い応援だった。拘置所の中でも非常に大きな励ましになりました。まず、 ますますこの会が発展することを祈念したいと思います。
さて、実は、先ほどお話いただきました土井先生と私どもの出会いというのは、20数年前になります。当時、ストライキをやった時に早朝から、土井先生は宣伝カーを繰り出して頂いて、その宣伝カーの上からストライキをしている我が組合員を激励して頂きました。国会議員で、しかも党の要職をされている先生がストライキの現場に来られるということにすごく感動いたしました。そして、後日談として、辻元清美さんという衆議院議員がいますね。彼女から話を聞きましたら、土井先生は早朝は血圧が非常に低いから無理があったという話を聞きました。そういう無理な体調を押して、我が組織の闘いの現場に参加して頂いたということに対して、改めてこの機会に感謝申し上げたいと思います。ありがとうございました。
それから、実は、先生を中心にしまして、今日ご出席頂いております和田貞夫先生(協同組合大阪中小企業経営センター・理事長)なども中心になって頂いて、1985年の時には、社会党の議員団が我々連帯労組を支援するための特別対策委員会というものを作って下さいました。
なぜ、そういうものを作って頂いたのかと言うと、当時は、権力の弾圧が今より以上に激しくかけられていた時代であります。しかもその時には、権力だけじやなく、セメントメーカーやゼネコンも一体でしたが、もう一つ、日本共産党という政党までもが我々に襲いかかつていた時期なんです。ですから完全に、「関生(関西地区生コン支部)包囲網」というものを作り上げていた時代です。よって、非常に厳しい状況の時だったんです。その時に、社会党の議員団が10数名、後に20数名になりましたが、我々を支援するための特別対策委員会というのを作って頂きました。この特別対策委員会が、我々の正当な運動を社会に広げるために、色々な問題を委員会で取り上げて頂きました。それに、要請・交渉等々に関して非常に大きな役割を果たしました。そのことによって、その包囲網を突破することができたわけですね。
その意味では、我々の組織の基礎を作り上げたこの時期というのは、連帯労組が出来た時期と一緒ですから、その意味で感謝に堪えない思いです。先生ありがとうございました。
では、早速中身に入りますが、先ほどの土井先生のお話を聞きまして、私は想像力を働かせて色々聞いておりました。私の感想を全部言ってしまうと、みなさんの感想と違うかも知れませんが、いくつか感じたところをお話したいと思います。
それは、第二次大戦という悲惨な大戦を経験して、多くの世界の民衆は「戦争に反対する」ということで、国連が出来たりして、第二次大戦以前とは比較にならないような反戦の動きが非常に強まっている。しかし、なぜ、なおアメリカみたいに先制攻撃をやったり、各地で紛争が発生するのか?それは、私の想像力を働かせて言うと、戦争によって利益を得られる者がいて、そして、彼らがごまかしたりして、民衆を犠牲にして戦争は組織されていくんだ、ということです。ですから、多数の反戦の動きがあったとしても、戦争をすることによって利益を得られる者がいる間は、必ずその者たちによって戦争がしかけられてくるんだ、ということを痛切に感じた次第であります。
我が国の憲法は、国民に対しては三つの義務しかない、後は全部、権力者に対する制約条件、つまり遵守義務があるんだというお話だったと思います。しかし、大事なことは、主権者である我々がその立派な憲法を活用する力、「活用力」と言うんでしょうか、それが鈍ることによって、事実上の改憲が今でも進んでいる。そして、油断すると条文そのものも変えられてしまうんじやないかというような状態にまで来ている。
その意味において、我々は憲法によって守られてはいるんだけれども、憲法を活用する力を労働組合はしっかり持たないといけないと思います。そして、犠牲を受ける中小企業が憲法を活用する能力を高めることがいかに大事か、ということを感じました。
それから、今、テロ特措法の問題で、自民党の幹事長などはこう言っておりますね。「(米艦船に対する自衛隊の燃料供給について)20万ガロンと80万ガロンについては、人間のやることだから間違いがある」と。いとも簡単に「間違いがある」ということで正当化しようとしておりますね。
それを聞きまして一緒だと思ったのは、実は、我が生コン業界でも、約束したことを違える(たがえる:約束を実行しない)時に、「ごめんなさい。今度改めます」と言う人がいます。支配者というのは共通しておりますね。生コン協組は中小企業の結集体ではあるんですが、それを支配しているのはセメントメーカー、あるいは、ゼネコンですね。大手です。みなさん中小企業がごまかしているわけではないんです。みんさん中小企業がごまかされているということなんです。どこでも支配者というのは、いとも簡単に軽く言葉を言って、責任を取ろうとしない。そういうことを痛切に感じましたね。
ということで、今日学んだことを実践に生かしていくということが大事だと思うんです。さて実は、私どもにかけられた弾圧というのは、05年1月13日から5次に渡っております。延べ13人の仲間が逮捕されました。そして、全て起訴されました。日本の法制度は、大体起訴しますと、99.9%の人を有罪にするそうです。今までの統計を見ると。
だから、起訴されると元々有罪だということになるでしょうね。ところが、13人の内、1人は無罪になりました。ですから、12名が有罪になっているということです。
この間、あるセミナーがありまして、弁護士の先生のお話を聞きました。「6人逮捕されて、その内の一人でも無罪になれば、法の精神からすると全部無罪だ」と弁護士は言っておりました。そうすると、私などはたちまち無罪でなければいけませんけどね。しかし、無罪を取るのは非常に厳しい一審の判決が下りました。私は、1年8ケ月の実刑なんですよね(後の大阪高裁は、実刑判決を破棄して懲役2年、執行猶予5年の判決を下している)。
それと、後5人の内の一人が無罪。4人はそれぞれ執行猶予が付いて、1年8ケ月とか、1年4ケ月といった判決でした。そして、後の事件はどうなったのか。政治資金規正法については、すでに一審と二審の判決が下りました。最高裁に行けば行くほど反動的ですから、二審の判決はほとんど変わることはないでしょう。政治資金規正法については、罰金刑+2年間選挙することもでき
ないし、立候補もできないという公民権停止の判決でした。私は、そのことによって直接被害は受けないんですが、近畿地本の委員長をやっている戸田ひさよしさんは門真市会議員をやっているんです。門真市会議員で選挙の度にトップ当選しているわけですが、彼の政治活動を奪ってしまうということですね。今、最高裁に上告しているんですが、門前払いされる可能性がありますね。憲法違反などの問題以外のことはしないというのが最高裁のようですから。そうすると、後は贈収賄の問題があります。これは10ケ月の実刑です。
贈収賄と強要未遂と威力業務妨害容疑(贈賄事件と大谷・旭光事件)の判決が、実は、もう二日後の10月31日にあるんです。この判決は、ゼネコンとセメントメーカーは実刑を望んでいるんですね。早く収監してほしい。しかし、中小企業の人たちは最悪でも執行猶予付きの判決を望んでいる人が多いですよね。つまり、その反応が、実はこの事件の本質、狙いというものを見事に表している。

この大谷事件や旭光事件というもの、いわゆる威力業務妨害や強要未遂というのは、どういう事件か。中小企業の協同組合に、その会社が「加入します」ということになったんですね。なぜかと言うと、ばらばらの状態で競争したのでは限りなく大手に買い叩かれるからです。そして、不利な取引になってしまう。だから、対等な取引関係にするためにその会社は協同組合に入ります、ということになったんです。そしてその会社から「協同組合に入るに当たって、連帯労組が保証人になって下さい」と言われたので、「分かりました。保証人になりましょう」ということで保証人になり、約束を履行しようということになっていたんですね。
ところが、04年9月いっぱいで協同組合に加入する方向になっておりましたが、直前になってその会社が「実行できない」と言ってきた。これは、今までを振り返ってみると、結局、その当時警察は、これを何とか事件に出来ないかということで、その2社を誘導したんです。大体、その会社がそれほどの能力や知恵や知識を持っていないですから、警察の誘導に乗ってやった可能性が非常に強いわけです。
要するに、我々がやったのは業界をよくするために、すなわち、その2社の経営もよくするためにやった行為ですね。我々が直接的に、このことによって賃上げを要求するとか、労働条件をよくするという動機よりも、中小企業の経営を安定させるという目的の下にやった。そして、約束したことの実行を迫った。
それを事件にされたわけです。ですから、この事件によって何が発生したのか?まず、この事件以来、5次に渡って弾圧は続いてきたわけですが、この間、生コン協同組合の支配権が変わりました。中小企業主導から、セメントメーカーから派遣された連中に完全に支配されるようになりました。大体、今の中小企業等協同組合法によると、大企業は本来、中小企業事業協同組合に入れないんです。ですが、日本のしり抜けの法律(いわゆる「ざる法」)と言うんでしょうか、大企業が分社化しますと、中小企業になつてしまうわけです。分社化しても資本とか土地とか人事権とか、そういうのは全部大企業・セメントメーカーが握っているんだけれど、一応、中小企業の体裁を整えるわけです。そうしたら協同 組合に潜り込むことができるんです。
広域協同組合(大阪広域生コンクリート協同組合)に潜り込んでいる、直系と言われるメーカー主導の工場数はどのくらいか?14%しかない。14%しかないものが、今、広域協同組合の理事長・専務理事・常任理事、主要なところを全部支配しているわけです。そして、協同組合をセメントメーカーの販売手段として支配する。そういう構造が非常に強まっている。
そのことによって何が起きているのかと言うと、この間、3回のセメント値上げを一方的に実行された。それはトン当たり500円とか1,000円の値上げを求めて来た。値上げに応じなかったらどうなるのか?セメントの供給をストップする。強引な引き上げをやってきた。
そして、もう一つは何が起きているのかと言うと、生コンの値段だけがどんどん値下がりしているんです。私たちが逮捕されるまでは、少なくとも売り価格は安定していた。今、どうなっているんですか?大阪での「標準価格」では、1立方メートル当たりの生コンの売り価格は14,300円ですね。14,300円ですが、実際に売買されているのは、5,000円引きなどという状態です。5,000円引きということは、9,000円代に落ち込んでいるということですね。しかも、売り価格が落ち込んでいるだけじやないですよ。「価格対応」と称して、賦課金を1,000円~1,300円/立方メートル徴収しているんです。これは、各工場に割付している生コン1立方メートル当たりから1,300円ほどお金を取って、協同組合が値段競争をするためにそのお金を使っているわけです。
協同組合が値段競争をし出すとどうなるのかと言うと、協同組合の基本精神が崩壊してしまうんです。協同組合は適正価格を収受し、安定した品質を供給しなければならない。
消費者の信頼に応えていくためにも協同組合があるわけですね。この間、それが完全に崩されてしまっているわけです。生コン価格の下落というのは、どういうことなんですか?
中小企業が干上がっている(利益がなくなっている)ということです。この状態で行くと、とても会社は成り立たない。そういうところまで追い込まれている。ですから、この弾圧が中小企業破壊を目的にしているということは、この事実を見ても明白であります。
もう一つの弾圧の目的は、我々の産業別労働運動を潰すということです。我々の仲間が何人か逮捕された時に、取調べの警察官や検事が何を言っているのか?「お前らが罪になろうがなるまいが関係ないんだ。お前らを一定期間拘束しておくことに意味があるんだ」、 こう言い続けて、実際にそれを実行しましたね。
労働事件で、私の場合は延べ1年4ケ月勾留されたんですが、他の仲間たちも11ケ月でしょう。無罪になったその一人さえ、9ケ月拘束されたんです。こんな無茶苦茶なことをやったんです。要するに、拘束することによって、産業別的運動に打撃を与える。出来たら潰したい。これをそのまま実行したんです。
それからもう一つは、裁判所の一審の認定は、そこに労働組合があるのかどうかを判断の大きな基準においているんですね。ところが、企業の枠を超えた産業別労働運動は、「業界全体はかくあるべきだ」という産業政策をもって闘うわけです。企業の枠を超えた運動体を組織していくわけですね。裁判所の判断は全くそれを認めない。要するに、企業別労働組合しか認めない。
日本の労働運動がだめになって体たらくしている原因の一つに、企業別労働運動があるんです。会社の利益代理人みたいに労働組合がなってしまっているわけです。特に大手の労働組合はそうです。そういうものを彼ら(経営者)の安全のために使っているわけでしょう。要するに、好き勝手に労働者を支配する。中小企業を分断し、中小企業を踏み台にするためには、本工(「正規労働者」)主義的な企業別労働組合が必要なんです。裁判所もそれしか認めない。
もう一つは、我が業界で起きているんですが、我々が逮捕されるまでは、土曜日は完全休日だったんです。ところがどうですか?「半年間だけ、土曜日稼動を認めて下さい」と言われた。半年間だけ認めたんですが、実際はどうですか?まだ、続いているわけです。労働協約の価値を認めていない。それから、工事現場で残コンを処理するとか、それから、生コンクリートを打設した時
に、ミキサー車のシュートを洗いますね。こういうのは、元々工事現場の責任で解決しておりました。ところが、それが全部運送会社か生コン工場の責任で解決しなさい、となった。
明らかに、今度の弾圧によって利益を得たのはゼネコンであるし、セメントメーカーであるし、大手商社なんです。そこで一番被害を受けたのは中小企業であるし、労働者であるということは非常にはっきりしたんではないでしょうか。この攻撃の本質はそこにある、ということであります。
では、そういった権力弾圧に対して、我々はどのような運動を組織したのか。一つは、こういう弾圧が強まってきますと、組織の内部で動揺するんですね。ほとんどの場合でしたら、こんなにたくさん弾圧され長期に勾留されますと、大体、組織自体が終ってしまうケースがあるんですね。中小企業のみなさん考えて下さい。みなさんが仮に1ケ月勾留されたら、会社そのものが飛んでしまうんじやないですか?1ケ月もたないでしょうね。信用不安を起こす。中小企業は社長を中心にして回っているものですから、社長が逮捕されたら終わりでしょう。労働組合だって、ろくでもないことをやっている労働組合がそれをやられたら終わりでしょう。1年数ヶ月も勾留され、たくさんの仲間が勾留されても、我々は動じない。それどころか、この弾圧によって内部はしっかりと敵に反撃する態勢を作り上げている。
なぜ、その反撃態勢を作り上げることが出来たのかと言えば、それには大義名分がなければだめなんです。一つは、関生だけじやなく連帯労組全部が取り組んでいるテーマとしては、アメリカ型のグローバリズムとか市場原理主義、これに真正面から対抗して闘っていく。つまり、協同組合運動ですね。経済民主主義と言っているわけですが、要するに市場原理主義によって、弱者を踏み台にするという経済政策・政治政策、そういうものに対して真っ向から闘っていく。それを追及しているわけですね。実は、生コン産業というのは、37年前から構造不況業種なんです。37年前というのは、1970年です。それはどういうことかと言うと、すごく工場数が多いんです。ところが、仕事量はどんどん減ってきているわけです。需要と供給のアンバランスが続いているわけですね。ですから、そのまま競争させていきますと、いくらでも中小企業同士が競争して、自然淘汰される。
潰れていく。あるいは、最初に犠牲を受けるのは企業なんですが、同時に、働いている人に全部犠牲を強要してくるわけですね。もう訂年前からそういう構造の産業なんです。この構造不況業種ですけれども、関西の生コンの場合は、そういう構造不況業種の中で、中小企業を結集させて、大企業の収奪に対して闘っていくという運動が前進したものですから、そのことによって、基本的には労使関係が安定して政策運動をやっている間は業界が潰れません。
直近で言えば、94年から今の広域協組が出来た。広域協組が出来てから、13 年間になりますが、この13 年間で、生コンだけやっていて潰れた会社は1 社もない。つまり、過当競争をさせていたら、ほとんどの会社は潰れているでしょう。過当競争をしないから潰れない。そのことによって働いている我々の労働条件は安定している。賃金は年収750万円+α(アルファ)、そして年間休日は125日。賃金における一切の格差は認めない。職場における自由権、活動の権利というのは確保されている。これは、非常に我々にとつては政策闘争の成果だと思うんです。こういう成果はすなわち、裏返したら、ゼネコンやセメントメーカーといった大企業から見ると「けしからん」となるわけですね。例えば、具体例を挙げます。東京と名古屋の生コンの1 立方メートル当たりの運賃はど
のくらいか?1,500円~1,700円です。大阪はどうですか?3,800円~4,000円を超しているところがあるんです。平均して3,800円ですよ。すなわち、東京・名古屋の運賃の倍以上、関西の運賃はあるんです。これでも不十分だと思うんですが、しかし、他の地域からすると優れた成果があるわけですね。 では、名古屋と東京の経営者は、その低い運賃の中で利益が出ているのか?製造会社も利益が出ていません。ましてや、運送会社は全然利益が出ていない。労働者はほとんど日雇、傭車。非正規労働者です。つまり、三つとも貧乏しているだけの話。それはなぜか?
東京・名古屋は大手の好き勝手なことをさせている、我々関西ではそれをさせていないという違いなんです。
これは、例えばタクシー・バス・トラックと比較しても同じことでしょう。タクシー・バスというのは、私がこの生コン業界に入った46年ほど前は花形だったんです。今、最悪でしょう。タクシーは、とてもそれだけでは生活できない生活保護以下の状態です。その違いは何か?企業競争を抑制する運動を、労働組合がしっかり闘ってきたかどうかの違いでしょう。我々は産業政策をやってきた。そういう違いです。
だから、逆に言えば、権力はそういう運動はとても認められない。我が連帯労組は、大義名分として全国津々浦々に中小企業の利益と我々の利益を一緒に追及できるような運動を掲げて闘っている。だから、我々の運動が広く仲間を結集し、仲間たちはその攻撃に動じない。つまり、それは我々が主張している「人の痛みを己の痛みと感じられるような労働運動」を実践しているからです。
もう一つの問題は、勾留された仲間たちは微動だにしておりません。「黙秘でいこう」、黙秘が一番自己防衛し、組織を防衛する。そして、それは憲法に保障された権利なんですね。黙秘するから長期に勾留されるんですが、しかし、長期に勾留されたからと言って、供述してしまうと揚げ足を取られるんです。全員がそのことをしっかりと守って頑張っている。家族もそれを支えて、一人も脱落者が出ない。そして、その仲間たちの不屈な闘いに支えられているわけです。
我が生コン支部は42年前に誕生しました。42年前に誕生した時に、権利というのは瞳のごとく大事にしなきやいかん、権利をおろそかにする労働組合は敵から馬鹿にされるし仲間から信頼されなくなってしまう、ということを信念として闘ってきました。ですから、一人の解雇、一人の権利侵害、今で言えば女性のセクハラ、こういうものは一切認めない。そういう歴史なんですね。このことを弾圧された仲間たちがしっかりと受け止めて闘う。そして、それを支えていく組織風土と言うのでしょうか、それがしっかりとある。 だから、我々はしっかり団結し、全国にこの闘いの正当性を訴えて、敵の反動性を訴えてきた。
その結果、我々の運動は大きく広がりつつあります。国際的にはILO(国際労働機関)にもこの問題を、国家的な不当労働行為として申請しました。それから、この運動の中では、大谷昭宏さん(ジャーナリスト)とか、いわゆる良心的なジャーナリスト、学者、政治家などが、こういう労働運動の弾圧を許さないということで呼びかけ人になって頂いて、署名運動をずっと広げて頂きました。それから、北海道、岡山、静岡、名古屋、そういう全国で我々の話を聞きたいということで学習会などもやってきました。 そして、去年の暮れには、私の故郷の徳之島で大相撲の徳之島場所をしようじやないか、ということで実現しました。相撲協会も問題になっておりますが、イメージダウンに対抗
するにはそれが一番有効だということで、相撲協会と我々は直接関係ないように見えるんですが、やはりそういう立場の人も正義の闘いを支援するということですね。そういうことから、この巡業は成功したんです。島は2万7,000人くらいの人口なんですが、実に7,000人の人たちがそこに結集してくれた。そして、我々を押し上げていこう、我々のやっていることは正しいと支援して下さつて、非常に大きく広がりました。ですから、敵の攻撃によって、我々の存在感を全国に広げて、今のところ敵の攻撃は成功しているわけではない。我々の運動がそういう形で広がっていけば、そこに勝利の法則があると思うんですね。それに確信を持って、この弾圧に対して引き続き取り組みをしたいと思います。さて、次に、協同組合の現状と革新の方向についてお話します。これを取り組んでいるんですが、実は、全国で事業協同組合は5万くらいあると言われています。和田先生のお話を聞きますと、大阪府下でも2,900くらいあるそうです。この協同組合は、ほとんど、99%と言っていいでしょう、本来の中小企業のための協同組合になっていない。一例を挙げると、大阪で言えば、ナショナルとかサンヨーとか、電気会社がありますね。この会社の系列に全部協同組合がなってしまっているところがあるそうです。それは上から作るわけでしょう。ですから、本当の意味で中小企業の利益を守るものになっていない。全部、荷主とか取引先が都合のいいように支配するために協同組合を利用している。 そういう協同組合とは違って、生コンの運動というのは、本当に中小企業・労働者に役立つような運動をしているところに大きな特徴がある。分かりやすく言えば、パイを大きくする。つまり、大手の収奪を抑制し、適正売り価格を確立する。パイを大きくすることについては労使が一体的に協力する。1980年代当時、日経連(日本経営者団体連盟)
の大槻文平が「工労提携型運動」と言った。工業組合と我々(労働組合)が提携してやった運動だからです。これは、工業組合を我々から引き離すための宣伝手段に使ったんです。
言わば「工労提携」です。特に、協同組合なり工業組合と労働組合が一体になって、中小企業の権益を守るということをやっているわけですね。中小企業個社では弱いんですよ。 お互いすぐに競争させられますからね。だから、「個社型経営から協同型経営」と言ったって、お互い競争社会の中で今まで生きてきたわけですから、簡単には中小企業は協同型経営に向かないわけです。労働組合と一体になって取り組めば、協同型経営になりやすいんです。中小企業同士でしたら、自分が生き残ることばかり考える人が結構多いんです。
この中でもそういう人が多いでしょう(笑)。だから、なかなか接着剤の役割を果たせない。だから、労働組合が接着剤になる。そうすることで、中小企業の利益が守れるんですね。労使一体型の取り組みをしているんです。
二つ目、協同組合が競争しない仕組みを作るわけです。いくらいい仕組みがあっても活用しなければ意味がないのですが、仕組みがまず必要です。どうするのか?共同受注・共同販売・シェア運営ですね。協同組合が受注するわけですから、個社は営業しなくていいわけです。そして、協同組合が受注したものを同じ値段で売るわけです。協同組合が設定した値段です。そして、それは実績を基本にしながら各社のシェアを決めるわけです。1,000万立方メートルの年間出荷量があり、そこに100社の会社があるとすれば、その100社で実績を中心にしてシェアを決めるわけです。そうすると、競争しなくていいわ けです。競争しない仕組みを通じて、中小企業の団結体が強化されるということです。そして、そのことを通じて大企業と中小企業の対等取引に接近できるわけです。競争状態をそのままにしておいたら、いくら「大企業との対等取引」と言っても、対等取引の方向に進みません。
それには、中小企業が主体でなければだめなんです。協同組合に潜り込んでくる大企業の分社化された会社の連中が主導権を握ってはだめです。だから、中小企業主導型の方向に向けて、絶えず我々はそれを追及してきました。もう一つの特徴は、パイを大きくするという点では共通しているんですが、春闘での賃上げ・労働条件の改善などについては、中小企業と言えども我々とは対立するんですね。それはお互いに承知しているんです。何でもかんでも労使一体だったんでは、業者も労働組合もだめにする。私はこう言っているんです、「中小企業は労働組合のパワーを背景に
しなければ、大手に対して対等な取引なんて主張できない」と。実際その通りです。また、労働組合が会社ともたれ合いになって、会社の言いなりになるような御用組合だったのでは、産業政策というものは、労働者を資本の利益追求の道具にしてしまうことになる。これは労働組合にとつて根本的に間違っている路線である。だから、配分を巡って対立してもいいんですよ。対立の中で、ではどうして賃上げができないのか。どうして労働条件の改善ができないのか。その原因は何なのか。それを突き詰めていって、その主要な敵と闘う方針を採るべきです。労働組合は労働組合なりに。経営者は経営者、協同組合は協同組合なりに。その切礎琢磨の努力の中で、両方が活力を拡大することにつながるわけですね。ですから、いわゆる労働組合が資本の手先になっているような「労使一体型」とは根本的に違うんです。それが我々の協同組合政策の特徴です。
さて、関生型運動というのは、特殊なものであると言う人がいます。東京の人などはよく分からないものですから、そういうことを言う人もおります。東京のある左翼と呼ばれている労働組合の幹部は「いやぁ、関生と付き合ったら権力に弾圧されるから恐ろしい」と言います。これは正直な人だと思うんですね。そういう人がおります。私は思ったんです。これは、日本の左翼と呼ばれる労働組合のレベルを表している。特殊でも何でもないんです。要するに、労働組合らしい運動をしているだけの話です。今までの歴史を見れば分かるんです。さっき言いましたような条件の中で、いきなり今のような状態ができたわけではないんです。46年前、あるいは、我が支部ができた42年前は本当に奴隷的な労働条件です。そして、当時、我が組織ができると第二組合ができたり、ひどい時には第5組合までできていたんです。非常に組合に入るということは勇気がいることだったんです。そんな状況から、闘い抜いて今日があるわけです。これは、我々の運動の中では、まともな運動をしていれば、「相手から賃金・労働条件は与えられるものじやなく勝ち取るものである」という当たり前の原理が働いているわけです。当たり前の原理通りにほとんどの労働組合がしないから、その労働組合から見ると我々の方が「特殊だ」と見えるわけです。ですから、賃金制度の差別は一切認めておりません。今、ほとんどの大手の労働組合は成果主義でしょう。たくさん会社の利益を上げた人はたくさん収入をもらえるわけですね。
枠は一緒ですが。これはお互い労働者同士を競争させるシステムです。そうするとどうなるんですか?労働者同士が分断されるんです。他人をけ落としてでも自分だけいい賃金を得ようとするんです。我々はそういうことを一切認めない。 焼烈(しれつ)な闘いの中から、我々は賃金制度というものは、複雑になって分断されると相手(経営者)による搾取を容易にし、仲間の団結が促進されないということを学びました。だから、我々はそれを認めない。同一労働・同一賃金の原則を徹底的に貫く。これをやってきた。本来、当たり前のことです。ところが、まともじやない労働運動から見
ると、これは特殊に見えるんですね。だから、だめになるんです。
関生型運動というのはどういうものか?いくつかありますが、まず労働組合の性格と任務というものがありますね。我々の労働組合には大衆性があります。どんな立場の人でも誰でも一人でも入れる。どんな考え方の人でも誰でも入れる。ところが、日本では、本勤しか入れないなど限定されている労働組合が多いんです。我々の労働組合は最初から全ての人たちが入れるようにしました。「個人加盟を原則とした産業別労働組合」というところに特徴の一つがあるんです。逆に、産業別労働組合を掲げていても、やっていることは企業別的というところが結構多いんですよ。
過去に我々は、「軍隊と同じようだ」と言われたことがあるんです。なぜかと言うと、職場では少数でも、職場以外の仲間が群れをなして、その権利侵害の問題に取り組むからです。その姿を見て、相手は恐れて「軍隊」と言った。今でもその精神は変わっていません。産業別労働運動とはそういうものです。
だから、もっと分かり易く言えば、「一発やられたら三発返してこい」という思想なんです。我々から先制的に攻撃することはほとんどないんです。しかし、敵に攻撃されたら、それは元に戻すだけでは意味がない。二度と不当労働行為はしない、あるいは、不当労働行為をすると代償が大きいと思わせるような、そういう反撃を組織する。ですから、企業の枠を超えた統一要求・統一交渉・統一行動・統一妥結を追及している。そして、どんどん横のつながり・連帯を強めていく。こういう組織スタイルに特徴があるんです。こういう方向が今、求められているのではないかと私は思います。
それともう一つは、情勢に対する捉え方が労働者的である。もっと言えば、階級的なんです。日本の労働組合は不況になるとアゲンスト(逆風)で、不況になったら闘えないと言う。これは言い訳ですよ。逆に不況になったら我々は闘うことができるんです。なぜか?労使というのは相対的なものでしょう。不況になると、簡単に言えば、会社の利益が上げにくくなる。儲かりにくくなる。儲かりにくくなるということは、相対的に相手は力が弱まってくる。相対的に我々は力が強まるということでしょう。原理的にはそういうことですよ。相手が好景気で金儲けできるということは相手の力が段々付くということです。力が付くということは、相対的に我々の力が弱まるということでしょう。これは原理なんです。日本の労働運動はその原理をつかんでいない。
だから、我々は相手が弱まっている時には「チャンス」と捉える。例えば、「優先雇用協定」というものがあるんです。労働者を採用する時には、我が組合員でなければ採用してはならない。我々が推薦するんですね。そういう協定です。1974年にこれを獲得した。また、「生活最低保障制度」というものがあります。50時間最低保障という制度です。当時、残業が少ない場合には、労働者は賃金が少なくなって生活できなくなるわけです。そういうことにならないように、50時間分は企業の責任で負担するという制度です。これは1974年に獲得したんです。
1974年というのは、73年にオイル・ショックがあって、74年にパニックを起こしたあの年です。生コンだけじやなくて、全部の業界が大変なことになったんです。この年に我々はこういう制度を作った。優れた制度だと思います。ですから、情勢に対する捉え方について、階級的視点で捉えるのか捉えないのかによって全然違うんです。日本の労働組合は好況になっても全然闘わない。今、大企業を中心にして5 年以上景気がいいと言われているんです。それでも、賃上げなどまともにできないでしょう。元々、情勢に対する階級的視点がないし、労働組合らしい運動というものがない。だから、まともにやっているところを特殊にしてしまうんでしょうね。そういう違いがあると思います。
さて、我々は今の時代認識をどうしているのか?ほとんどの日本のマス・メディアはアメリカ型の制度がずっと続くかのような報道をしていますね。私たちの認識は、アメリカ型のグローバリズムとか市場原理主義はもう終蔦に向かつている、というものです。ラテンアメリカにあるベネズエラのチャベス大統領などが提唱しているものがそうですね。すなわち、大企業に好き勝手なことをさせない民権を正保しょうということ。それから、国権を主張する。国権とは何か?外国資本の収奪を許さないということです。そして、今、我々が進めているような協同組合運動を広めるということです。軍隊を使って全国各地に協同組合を作っているそうです。チャベス大統領というのは、元々軍人でしたからね。 それは、1970年代ラテンアメリカでは、アメリカ型の市場原理主義を持ち込まれて、
そういうやり方で現実に失敗したから、正しい方向が今、追及されているんです。その方向の基本は、「共生協同」なんです。競争は認めない。そういう理念なんです。これは多分ずっと広まるだろうと思うんですね。
そして、先制攻撃とか、イラク戦争など石油利権のためにやったことは、先ほどのお話にもありましたように、もう通用しなくなっている。もう泥沼です。アメリカはイスラエルとかインドの核兵器は認めて、彼らにとつて都合の悪い国の核兵器は認めないという二重基準ですね。京都議定書についても反対している。そういう風に地球温暖化の問題については、国際世論が沸騰している時に、二重基準を平気で行うのがアメリカです。こんなものは国際的には孤立していますよ。日本では孤立していないように見えているだけです。それから、アメリカの莫大な財政・貿易収支の赤字というのはもうとんでもないものです。日本と中国が支えているのではないか、と言われるぐらいの状態です。もう崩壊に近づいているんです。これは、さつきの『護憲派の一分』の本に紹介されておりましたが、石原慎太郎は日本が購入済みのアメリカ国債の総額は300兆円だと言っているそうで
す。多分、実際は100兆円くらいだろうという話ですが。それを引上げたらアメリカはお手上げですよ。そこまでアメリカは深刻な状態に陥っている。自らの世界一極支配を目論んでやってきたんですが、もうだめなんだということです。だから、これは終蔦の方向です。
オランダのジャーナリストのある方が、「日本の国民だけが分かつていないがアメリカはもう終焉に向かつているんだ」という本を書いています。日本だけがアメリカにくっついているだけの話です。
日本の場合はどうですか?行財政改革・規制緩和、その結果、中小企業・商工業者・労働者がひどい目にあっているわけでしょぅ。こんなもの許せません。しかし、彼ら(支配層)にはその方向しかない。これから自民党・公明党の政権が目指す方向はアメリカべったり。そして、大企業・多国籍企業の思うまま。この路線です。これは、中小企業・労働者を踏み台にする路線です。彼らはこれを基本的に変えることは出来ない。
自民党のバックボーンは財界でしょう。公明党は創価学会だけれど、自民党と一緒にならなかったら、池田大作が証人尋問でもされたら具合が悪いから一緒にやっているんだろうと思います。そういう政党は、国民とか中小企業には全然目が向いていません。段々と厳しい状態に追い込まれても、彼らはそれを変えることは出来ない。だから、彼ら自身が我々に「墓を掘ってくれ」と言っているようなものですよ。彼ら自身も先がない。いくら先がなくても簡単には転びませんからね。だからこそ我々がしっかりと闘うということが必要ではないでしょうか。安保・基地・従軍慰安婦・集団自決の問題、それに靖国神社参拝の問題、これら全て戦前回帰ですよ。全て形の変わった軍国主義ですよ。ほとんどの国民はよもや戦前みたいになるはずがないと思い込んでいるんですね。ところが、ドイツでヒットラーが誕生した時には、民主主義によって民主主義を破壊したんでしょう。あれだ
け素晴らしい憲法を持っている国がそうなったんです。今、どうですか?我が国には確かに素晴らしい憲法がある。しかし、我々がそれに安住して、あるいは、それが自動的に守られるという意識でいると同じようなことになってしまうんです。
私は考えました。都島(大阪拘置所)に入れてもらったお陰でいろんな本を読みました。 その本の中であったのですが、映画監督の伊丹十三さんは残念ながら自殺しましたね。伊丹十三さんのお父さんがこういうことを言ったそうです。「戦前、軍国主義者に煽られて、自分自身も戦争に賛成した国民・文化人が『あれは騙された』と言い続けている。おかしいんじゃないか。『騙された』と言い続けるということは、また編されるんだ。騙される側、騙す側がいて世の中が成り立っているんだ」という趣旨です。すごく先を見る力があったんじゃないかと思いますね。今、まさにそういうことじゃないですか。寸前まで支配者は追いつめられているが、しかし、そこにしぶとくつかまっている。我々が油断していると、特権階級である一部の者が我々多数を支配しようとするんです。
その原理は何か?少数の者が多数の者を支配する原理は、多数を分断するということでしょう。思想的・物理的に分断する。特に中小企業の場合は、大企業からすると思想的にも物理的にも分断しやすい立場にあるんですね。労働者にもそういう面があります。それだけに、我々は彼らの支配の原理をしっかりと見抜かなければなりません。彼らは分断・分裂支配をするんです。
最後になりましたが、現状を打開するにはどうしたらよいのか。まず、生コンで言えば、今の広域協同組合執行部はだめです。なぜか?セメントメーカーの利益代理人が理事長になって、セメントの言いなりになっているからです。それに、ある副理事長は時にヤクザを使ったり、時に警察を使ったりしている。理事長・副理事長がモラルハザードを起こしているわけですね。こんな者に業界を正常化する資格はない。しかも、約束を何一つ実行しない。こんな者は、厚生労働省とか防衛省とか国交省とか農水省のお役人と一緒です。言葉に責任を持とうとしない。我々は責任を持たない者を許すわけにはいきません。約束を実行しないということは、信頼関係を潰すということでしょう。そんな者に我々は協力できますか?協力できない。だから、こういう者を改めさせていく必要があります。 それが業界の進むべき方向です。
そして、我々は、今、グローバル化された時代に生きているわけです。韓国、朝鮮民主主義人民共和国、中国、ベトナム、こういった国境を越えた国際連帯を労働組合が中心になって進めていく必要があります。 さらに、権利闘争、組織拡大を統一的に追及していく必要があります。そして、共通課題、産業別政策をもとにして中小企業との連携を一層強めていく。労働組合との共闘関係も非常に重要です。そして、アメリカ中心・大企業中心の政治経済体制を改めさせていくために政治革新を求めて闘うことが、今、我々に与えられた社会的な使命ではないかと考えています。
以上を持ちまして、私の話を終ります。

 

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