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5.31反TPP国際シンポ開催

「TPP参加=日本をアメリカに売る行為!」「メリットは少なくリスクは極大」
5月31日、反TPP国際シンポジウムが開催され、会場となったアソシエ会館は150人の参加者で埋め尽くされた。

12月の総選挙で「ウソつかない、TPP断固反対・ブレない」としていた安倍政権は、公約をくつがえし、今年3月15日に「TPP交渉への参加」を表明した。今回の集会は、TPP交渉が本格化しようとしている中で、より多くの人がTPPの本当の恐ろしさを知り、今何をすべきかを考えるために企画された。

関生支部の西山執行委員の司会で始まったシンポジウムは、コーディネーターの田淵太一同志社大学商学部教授によるTPPについての説明から始まった。
 
  
田淵教授は「TPPは、農業や国民皆保険に対する影響ばかりが強調されているが、それは一部であり、米国の巨大企業の権利をつくる『投資協定』であることが大きな問題。TPPは完全な秘密交渉で、テキストは米国の連邦議員でさえ見ることができない。ところが、そのテキストを米国のトップ600社のみが見て交渉の相談に乗っている。その事実からも、TPPが米国に拠点を置く巨大企業のための協定であることがわかる。
  さらに、『ISD条項(投資家対国家間紛争処理)』は、米国企業が日本で儲けようとした時、起きた問題によって利益が入らなかった場合には、1企業が国家や自治体を訴え損害賠償を請求することができ、その額は数十億円にも及ぶと言うもの。しかも相手国の裁判所ではなく世界銀行傘下の「紛争解決センター(ICSID)」に訴えることが可能で、非公開で米国に有利な判決が出されるため、訴えられると負けてしまい上告さえ出来ない。さらに、『間接収用』では公務員が相手国の企業に何らかの規制をしたら、収用と同等の措置とみなして損害賠償を請求するという概念であり、例えば海外の企業が有害物質を出す事をやめさせようと規制したら反対に訴えられ、規制を撤回させられた上に数十億円の賠償金を取られるという仕組み。このような恐ろしい仕組みがTPPには入っている。

TPPに加入すると、国のルールは自由に変えられ、外国企業は内国民待遇で参入できる。そして、外国企業に日本の富を根こそぎ奪われてしまう」とTPP問題の本質が提起された。

 

パネルディスカッションでは、メキシコ通信労組STRMの活動家マリカルメン・リヤマス・モンテスさんが、メキシコで1994年1月に提携されたNAFTA(北米自由貿易協定)による影響について話された。
マリカルメンさんは「NAFTA提携後のメキシコでは、様々な分野で労働者の雇用が脅かされ、国民の生活が苦しくなるなど、じわじわと深刻な事態へと進んだ。メキシコは食料の輸出国だったが輸入国に変わってしまい、1800万人の農民は関税が撤廃されたことで生産物の価格が48%下がるという被害を受けた。貧しい農民は融資を受けられず、収入が減少する中で肥満と栄養不良、ドラッグが蔓延。家族や社会経済、自然環境が破壊された。さらに、労働者の仕事が無くなることで米国への移住者が増え、メキシコ人が安い賃金で働くことで米国の労働者の雇用も脅かされている。日本でTPPが進められることがどういうことを引き起こすのか、NAFTA締結の経緯を見て欲しい」と語られた。

 

続いて韓米FTA阻止汎国民運動本部共同代表のパク・ソグゥン(朴錫運)さんから、6年にわたるFTA反対運動の経験が語られた。
「韓米FTAの協定が締結されるまでの1年4ヵ月の間に9回の交渉が行われた。交渉では、1500もある条項をまともに話し合うことなく急スピードで決められていった。問題なのは、交渉前に4つの重要な項目(①米国産牛肉輸入再開②自動車排気ガス規制緩和③医薬品価格引き下げの動き中断④スクリーンクォーター縮小)に対して譲歩するよう米国が圧力をかけてきたことだ。現在、日本にも自動車や保険の規制緩和をするように米国から事前に圧力がかけられている。さらに驚くことに、日本では既にTPPの交渉が18回行われており、その期間は3年間にわたる。アメリカの要求はもう80%程進んでいる状態。そして、安倍政権は他の国とで決まった内容については日本は無条件で受け入れるとしている。既に7月23日に交渉日が決まっているが、その前日まで内容を見ることはできない。そんな状況の中で決める事が押しつけられている。それは、TPPには問題が多くあまりにも酷い内容であるため、国民に知られたくないからだ」と衝撃の事実が報告された。
  さらに、パクさんは「韓国では2008年に狂牛病の牛肉問題により国民の怒りが高まった。その時、闘争の先頭に立ったのは組織に属さない青少年や一般市民だった。インターネットカフェを利用して自発的に市民が集まり、集会の方式もがらりと変わった。ベビーカーを使ってデモをするなど、主婦が先頭を切って運動を引っ張った。集会はローソクデモに変わっていき、街頭デモへと展開。その後、毎晩ソウルの中心街での占拠が一月半続いた。その結果、米国産牛肉輸入の衛星条件が変更された」と話され、最も大切なのはやはり大衆運動であることを訴えた。

そして、最後に「韓米FTAが締結されて1年で、NAFTAは6~7年で弊害が出た。TPPは国を米国の1%に売り渡す行為であり、韓米FTA、NAFTAの経験から学び、日本では勝利して欲しい」と語った。


集会のまとめでは、連帯労組関生支部武執行委員長が「日本のマスコミは韓国と日本の国民が国際連帯して闘うことを分断するための報道をしている。今日のディスカッションは、FTAの問題を巡って韓国の仲間たちが数年にわたって粘り強く闘ってきたことや、狂牛病問題での運動の盛り上がりなど、山場をつくって闘う事で大衆運動を前進させることが可能であるという教訓に満ちた話だった。メキシコでは、NAFTA協定締結以前と以後で国民の生活が様変わりしたことなど報道されない事実を学ぶことができた。

原発問題・オスプレイや沖縄の基地の問題・福岡や東京での漁連の闘いに取り組む仲間が繋がって闘うことが大切だ。
私たちは1%の利益のために99%を犠牲にするというTPPの本質を徹底的に暴露すると同時に、不平等条約が国民生活に重大な影響を及ぼす事を伝え、『怒り』を組織することが必要。そして、国際連帯を高めてみんなで行動しよう」と呼びかけた。
会場は大きな拍手に包まれ「5.31反TPP国際シンポ」は幕を閉じた。

連帯ユニオン議員ネット