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■ 委員長に聞く衆院選挙の争点
麻生内閣は7月13日、全閣僚賛成のもと衆議院解散を決定。総選挙の投開票を8月30日と設定した。
「くさり」編集部は、今回の解散総選挙について争点がどこにあるのか武委員長に伺った。
(インタビュー/7月21日)

 

 今回、「いよいよ政権交代が実現するのか」ということと、「百年に一度」という経済混乱のなかで選挙が行われるということが言われています。マスコミはあたかも『政権交代』が見どころのように宣伝していますが、民主党は『消費税増税』や『憲法改悪』や『朝鮮民主主義人民共和国に対する政策』など、自民党と大きく変わらないと思われます。本来は経済の回復や生活向上が争点になるべきだと感じるのですが、いかがお考えでしょうか?

委員長
従属的な日米安保の関係性を争点にすべき

本来の争点にすべきことは、日米安保の問題と基地の問題。これはセットで考えなければいけないこと。沖縄に集中している米軍基地撤去問題については、自公政権も民主党も五十歩百歩。日本の本当の意味での『自主』『独立』『平和』を語る場合、従属的な安保条約を破棄しなければいけない。
そして、『対等』『平等』『互恵』の精神で対米平和条約を結ぶべきである。
軍事的な日米同盟は、すでに『周辺事態法』とか『イラク特措法』とかソマリア沖への『自衛隊派兵』など、アメリカの要請でなされている。最近では日米安保の事務レベル協議のなかで、『朝鮮民主主義人民共和国』の核開発・ミサイル発射について「先制攻撃をする」と言い出している。
また一方で、安保条約には経済的な従属がある。日本のお金でアメリカの国債を買い取り、アメリカの経済を支えている。
それから毎年、アメリカから日本に対して、来年は「ああしなさい、こうしなさい」という『年次報告』というものが提出されている。そのなかに、『規制緩和』『構造改革』『郵政民営化』などの要請があり、アメリカにとって都合の良い経済システムに日本を組み込ませる。これらを実行させるのが安保条約。だから安保条約というのは軍事同盟の色彩が強いことだけ強調されているが、日本の経済を自立・発展させるうえにおいて妨害する役割になっている。
そういう意味で日米安保を廃棄し、「日本がアメリカの従属国である」ということを変えていくことを主張するかしないかが第一の争点である。

政権が交代しても対米政策に変化はない

小泉と竹中が進めてきた規制緩和・構造改革路線は、まずアメリカの要求があり、日本の大企業と特権階級の利益になると判断して実行し、その負担と犠牲は全て中小企業と労働者に転嫁された。それが格差の拡大と固定化をもたらした。結果、ワーキングプア層が1千万人を超え、非正規労働者が1千7百万人を上回った。『年功序列型賃金』『終身雇用制度』『医療・福祉』などが破壊され、教育も競争原理を取り入れられて破壊された。これらは強者の論理であり、有権者は、特権階級を中心とした政治・経済政策を許すか、許さないかが問われる。
大企業・一部特権階級中心の政策から、中小企業や庶民の暮らしを豊かにする方向に変えていかねばならない。ところが、自民党・公明党はもちろん、民主党も、大企業やアメリカと『闘う』という姿勢がなく、言葉だけは「庶民の生活」と言う。政権が交代しても、中小企業や労働者の暮らしが良くなっていくことは、ほぼありえない。ただし、中小企業と労働者の運動が盛り上がれば、民主党は耳を傾けるだろう。しかし、民主党が主体的に闘う方向に変わることはなかなか難しい。

核で恫喝、「民族自決権」を侵す米帝国主義

朝鮮民主主義人民共和国の核開発・ミサイル発射をどう見るか。これは日本共産党にいたっても制裁一辺倒で、「平和を脅かしているから制裁すべきだ」と、こう言っているが、これは帝国主義の論理に立つ意見。
アメリカは、地球を何十回滅ぼしても余りある核兵器を保有している。日本と韓国に核を事実上持ち込んで、そして共和国を恫喝している。
6カ国協議によって、「核問題を解決する」と言っておきながら、実際は恫喝によって共和国の体制を転覆させる。これが彼らの意図の中にある。それは、『民族自決権』という何人も侵してはならない原理原則に反するものである。

政党のあり方、労組のあり方が問われる選挙

国内において年間3万人の自殺者が発生している。自殺者がこれだけ増えているなど先進諸国では異例なこと。
これは政治の責任。いままでの政府の立場というのは、グローバリズムとか市場原理主義の強者の論理。ところが、庶民の立場を支えていく論理は『対等・公平・共生協働』。だから、今までと違う方向に政策を変えないといけない。
こういった方向を追及するには労働組合の役割りが重要で、労働組合が『政権交代』という、中身がどうであれ、それだけに目を捕らわれて物事の本質を見る力を失い、マスメディアに乗せられてはいけない。
今の日本の大手労働組合は会社の利益代表人で、名ばかり労働組合が多い。中小企業の労働組合は、企業別労働組合で、不況になると企業間競争に労働組合が埋没してしまう。
我々は、産業政策を掲げて中小企業が大企業と対等取引ができるような仕組みをつくるために側面から支援し、そして、中小企業の発展に貢献する。中小企業運動と労働運動を連携させて経済と産業の民主化をはかる運動を続けていけば、政治経済のまとまりも期待できる。
そういう意味で今回の総選挙というのは、政党のあり方と労働組合のあり方が鋭く問われている。官僚支配からの脱却、派遣労働の禁止、福祉医療、教育、雇用の安定、年金引き上げ、最低賃金の引き上げ等を争点として、政党よりも候補者の資質を見極めて選択することが大事である。

 自民党では大物政治家が離党し、保守の中でバラバラな動きが目立ちます。この総選挙の後も政界再編が予想されます。

委員長
支配政党が現在、糸の切れた凧のようになっている。

支配政党は利権構造で結びついている。権力が失われるということは利権構造に変化が発生する。だから今、支離滅裂な動きが起こっている。
今回の選挙では、大物政治家も落選の可能性が高いと言われている。そうすると、利権構造によってまた政党の離合集散が始まる可能性が高い。それは、どちらの側につけば利権が得られるか、どちらの側につけば自分が当選出来るかという、レベルの低い話。そういう連中が今の政治を支配している。大きく地殻変動が起きるだろうと予想出来るのが今度の選挙である。

 オバマ政権について。

委員長
本質的にはオバマもアメリカ大企業の利益代表人。

だから、世界の憲兵たる地位を確保するというのは変わらず、前の政権とほとんど同じ。プラハで「核兵器の廃絶をしたい」という希望を述べたが、あれは核ミサイルを維持・管理するお金が莫大だから。まだまだ地球を何回も滅ぼすだけの核兵器を保持しながら、平和の使者のような顔をしている。各国に対する核恫喝政策は変わらない。
表向きは優しく柔らかいけれど、やっていることは今までのアメリカと同じ。そういう風に見ることが正しいと思う。

くさりNo,724より

連帯ユニオン議員ネット