連帯ユニオン 近畿地方本部 関西地区生コン支部 近畿地区トラック支部 近畿セメント支部 労働相談-ホットライン
YouTube

岩手県葛巻町・前町長中村哲雄氏が講演
11月29日 第2回組合総研経営者セミナー

  ■「逆境が創造の原点」/人の知恵と自然との融合で生まれ変わった町

11月29日、中小企業組合総合研究所主催の「第2回経営者セミナー」が大阪市国際会議場で行われた。セミナーには、関連企業経営者ら130名以上が参加。
自然エネルギーを有効活用して産業化し、危機的状況の町の財政を黒字に転換、クリーンエネルギーと雇用を生み出した、岩手県葛巻町前町長・中村哲雄氏を招き講演会を行った。



 

セミナーは、人口8千人の過疎の町である岩手県葛巻町財政を赤字から黒字へと転換させた、自称「葛巻町のトップセールスマン」葛巻町前町長の中村哲雄氏が「逆境が創造の原点」と題して講演を行った。


 中村氏は、99年に葛巻町長に就任後、第三セクターくずまき高原牧場経営の改善と活性化に乗り出し、「町が持っている多面的資源と、機能と人材を活かし21世紀の地球規模での課題である、食料・環境・エネルギーの問題解決に貢献しながら町の発展的状況を構築しよう」と唱えた。


 以後、風力発電・太陽光発電・バイオマス発電などの新エネルギー発電に力を入れ、山ブドウを原料とした葛巻ワインや酪農、子牛の委託飼育等の町おこし事業を町長が中心となり行った。この町おこし事業は他自治体からも注目され、テレビで紹介されてから葛巻町は一般の人からも脚光を浴びるようになった。


 エネルギー問題や地球環境問題は、国際間だけでなく、自治体・地域が自らの問題として取り組むべき重要な課題となっており、葛巻町では、産業の振興や環境問題の観点から環境負荷の小さいクリーンエネルギーの積極的な導入を進め、99年3月に「葛巻町新エネルギービジョン」を策定した。



 基本理念として、風力や太陽光などの「天のめぐみ」、畜産ふん尿や水力などの「地のめぐみ」、豊かな風土・文化を守り育てた「人のめぐみ」を柱に据え、新エネルギー導入に積極的に取り組んだ。風力発電施設、太陽光発電、畜ふん(牛のふん)バイオマス利用施設などで1万8千世帯分の電力供給が可能になった。
それらの建設費用は、自ら東京に出向き支援会社を見つけた。新エネルギー開発機構NEDOなどの支援で60臆円の投資を集めることに成功した。


 町長在任8年中、常に現場で考え、部下とともに自ら体を動かした結果、事業は順調に展開した。しかし、職員のリストラ、自身の報酬のカットなど、苦しい判断を迫られたことも多かったという。
町が持っている資源と機能を最大限に活用してクリーンエネルギーを生み出した葛巻町は、食料自給率、エネルギー供給率ともに100%以上を達成。地ワイン、低加熱牛乳の生産なども黒字をたたき出し、町の財政赤字をゼロにした。国に頼らない、自立自尊の街づくりに成功した。

 雇用と供給を生み出した町には若者がUターン、中村氏が町長を退いたあとも好循環は続いている。



 中村氏は講演の中で、「トップのうつわ」「情報の量」「人材育成」の3点を強調し、永続した経営にはトップが謙虚な姿勢を忘れず、常に一貫したビジョンを正確に後進に伝えることが重要であり、情報量が仕事の質を決定すると語った。



 総括として、関西地区生コン支部(組合総研代表理事)武建一執行委員長は来場の経営者に対して、「ピンチをチャンスに変える」発想の転換と多角的なものの見方、それを実現する情熱と行動力、トップの品格と他を益す経営理念の必要を語り、このような経営者セミナーに参加して見聞を広めてほしいと語った。

 


連帯ユニオン議員ネット