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北海道宇部コンクリート工業株式会社に対する件

昭和50年(勧)第8号
審  決

札幌市中央区北一条西五丁目二番地
北海道宇部コンクリート工業株式会社
右代表者 代表取締役   村   上   卓  三
 公正取引委月会は、昭和50年3月31日、上記の者に対し、中小企業等協同組合法第108条の規定において準用する私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律(以下「独占禁止法」という。)第48条第1項の規定に基づき勧告を行ったところ、上記の者がこれを応諾したので、同条第3項の規定に基づき、次のとおり当該勧告と同趣旨の審決をする。
主  文
一 北海道宇部コンクリート工業株式会社は、札樽生コンクリート協同組合から、すみやかに脱退しなければならない。
二 同社は、千歳地区生コンクリート協同組合から、すみやかに脱退しなければならない。
三 同社は、苫小牧生コンクリート協同組合から、すみやかに脱退しなければならない。
四 同社は、前各項に基づいてとった措置について、すみやかに、当委員会に報告しなければならない。
事  実
当委会が認定した事実は、次のとおりである。

1 (1) 北海道宇部コンクリート工業株式会社(以下「北海道宇部コンクリート」という。)は、肩書地に本店を置き、昭和43年6月に設立され、生コンクリート(以下「生コン」という。)の製造業を営む者であり、昭和50年2月末日現在、資本金5千万円、総資産約12億7千万円、常時使用する従業員数は約113名であり、また、月間生産能力は約6万6千立方メートルである。
なお、生コン製造業者の平均的事業規模は、資本金5千万円程度、常時使用する従業員数は、約50名及び月間生産能力は、約2万立方メートルとされている。

  (2) 北海道宇部コンクリートは、宇部興産株式会社(資本金306億円、従業員数約1万1千名。以下「宇部興産」という。)が全額出資して設立した事業者であり、昭和50年2月末日現在、北海道宇部コンクリートの役員4名のうち、3名は、宇部興産からの派遣役員及び派遣従業員であり、その他1名も宇部興産を退職した者によって占められている。また、北海道宇部コンクリートは、宇部興産から約2億6千5百万円の融資を受けている。

二 (1) 生コンは、その製品の性質上、長距維の輸送が困難であり、かつ、在庫を維持することもできないところから、当然その販売分野は、比較的狭い地域に限定されている。このため、土木及び建築工事業者は、必要な生コンをそれぞれの地域の生コン製造業者から購入せざるを得ない立場にある。
(2) 礼樽生コンクリート協同組合(以下「札樽生コン協組」という。)、千歳地区生コンクリート協同組合(以下「千歳地区生コン協組」という。)及び苫小牧生コンクリート協同組合(以下「苫小牧生コン協組」という。)は、それぞれ、札幌市、江別市、北海道石狩郡石狩町及び小樽市の区域(以下「札樽地区」という。)、千歳市、恵庭市及び北海道札幌郡の一部の区域(以下「千歳地区」という。)及び苫小牧市、北海道勇払郡の一部の区域(以下「苫小牧地区」という。)に所在する生コン製造業者のほとんどすべてを組合員としており、しかも、現在、中小企業等協同組合法第9条の2の規定に基づき、それぞれの地区内において生コンの共同販売事業又は共同受注事業を行っているところから、同地区における土木及び建築工事業者は、前記協同組合を通じてでなければ、原則として、生コンの供給を受けることが困難である。
(3) 北海道宇部コンクリートは、札樽生コン協組、千歳地区生コン協組及び苫小牧生コン協組に加入しており、同社のそれぞれの地区内における生コンの供給量は、札樽地区においては、同地区における総供給量のうち、約9パーセント、千歳地区においては、同じく、約28パーセント及び苫小牧地区においては、同じく、約24パーセントをそれぞれ占めている。
3 前記のような状況のもとにおいて、札樽生コン協組、千歳地区生コン協組及び苫小牧生コン協組に大規模セメント業者の子会社であって、実質的に小規模な事業者でない者が加入していることは、そもそも、独占禁止法が中小規模の事業者の相互扶助を目的とする事業協同組合の行為を適用除外しているという趣旨にもとるものであって、公正かつ自由な競争を促進しようとする独占禁止法の観点から容認することができない。
法 令 の 適 用
 上記の事実に法令を適用した結果は、次のとおりである。
北海道宇部コンクリートは、前記事実のとおり、札樽生コン協組、千歳地区生コン協組及び苫小牧生コン協組の組合員である事業者で、その常時使用する従業員数が100人をこえるものであり、かつ、宇部興産との関係及びその事業規模等からみて、実質的に小規模の事業者でないと認められるので、中小企業等協同組合法第107条の規定により、同社を札樽生コン協組、千歳地区生コン協組及び苫小牧生コン協組から脱退させることとし、主文のとおり審決する。
昭和50年4月11日
公正取引委員会
委員長 高橋俊英
委  員 橋本徳男
委  員 呉 文二
委  員 瀧川正久
委  員 青山春樹

 

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