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 「お金こそが全て」となった現在の世界経済=投機的金融システムが限界に達し再び世界恐慌が来るのではと予想している経済学者もいるほど、世界経済は深刻な状況になっています。そして、私たちの「暮らし」には、賃金が下がるのに、物価が上がるという「スタグフレーション」の進行が、世界的に暗い影をおとしています。
 8月25日~27日にかけて、連帯ユニオン提供のラジオ番組「遊・ワーク・ウィーウリー」は特別番組を編成。
関西地区生コン支部執行委員長・武建一氏と大阪産業大学経済学部教授・本山美彦氏をゲストに招いて、いまの世界経済がどうなっているのか? 私たちの生活にどう影響を及ぼしているのか? など、「暮らしと経済」をテーマに議論を展開する番組を放送しました。
8月25日(月)
◎森脇健児
今回は3日間「暮らしと経済について考える」ということでよろしくお願いします。
●武委員長
先生はこの放送局とはなじみが深いようですが、なにか過去に?
○本山先生
ずいぶん昔ですかね、朝の5時ぐらいでしたか、10何年前に「人間学講座」というのがラジオ関西にありまして、そのときに「ガンジー」を紹介させていただきまして、紹介しているのに、私のほうが感激してしまいまして・・・結構いい反響がありまして(笑)久しぶりのラジオ関西ですね。
●武委員長
今日はですね、先生がお書きになった「金融権力」という本が最近出版されまして大変反響を呼んでおりましてね、なぜかといいますと、「サブプライムローン」というアメリカ発のいわゆる博打経済がどこから来ているのか、その経済というものが世界の民衆を巻き込んで展開されている。ですから私たちの暮らしに非常におおきな影響を及ぼしているということをわかりやすく書いてくれているのですが、その話を今日は5年生の人が聞いてもなおわかるように解説していただくということなのですが、その前に、まず先生が京都大学の経済学部、このたびは大阪産業大学経済学部の教授をされているのですが、経済学の道に入るようになった動機というものはどういうものだったんですかね?
○本山先生
建前的には、1960年代の石油経済に変わり、炭鉱がどんどん閉鎖されていったんですね。そういう状態の中で、結構当時の経済学者たちが日本の炭鉱を守れ!と、とくに九州大学のサキサカさんが活躍なさってて、私も、と思ったんですね。本音はね、文学部に行きたかったんですよ。文学というのはとてつもない天才が多いんですよ。とても私なんかやっていけない(笑)じゃあ法律と考えたら横文字、カタカナ文字が多くて(笑)経済学部はなんかやさしそうで楽に入れそうな気がして、いけるんじゃないかな、と(笑)
◎森脇健児
暮らしと直結している部分がありますもんね。
●武委員長
近代経済学というと「アダム・スミス」とか「リカール」、最近では「フリードマン」とかの経済学者が一般的に知られている名前だとおもうのですが、ところで先生、経済学というもの歴史、学説というのは急に出来たわけではないと思うのですが、いつごろ出来たのでしょうか?また、経済学の目的はなんなのでしょうか?
○本山先生
古いですよ(笑)アリストテレスの時代からすくなくとも経済学という言葉はあります。歴史で調べたらもちろん、経済学自身で調べてももちろんあり、変遷があるんですけれども、目的はね、「欲望を抑える」。欲望を解き放つと大変な社会になってしまう。欲望をコントロールする。その中でも「お金」。お金というのはいくらあってもいいでしょ?邪魔にならないでしょう?ところが、自動車何台も持てませんよね?ご飯何杯も食べることは出来ませんよね。おのずと欲望に制限があるのです。ところが、お金だけはとてつもない。欲望に制限が無い。これを抑えておかなければ、大変なことになる。お金というのはみんなの暮らしを豊かにするためにあるものなのに、お金お金お金と言い出したときに、一番大事なものづくりだとか、きちんと仕事しましょうとかではなくて、一攫千金で、ギャンブルにいっちゃうんですよね。つねにその歴史を繰り返してきたのです。だから、お金を抑えましょうと。これが経済学の出発点なんですよ。
●武委員長
よくお金は人の性格を変えてしまうといいます。先生が今おっしゃったように、お金というのは人の暮らしを円滑にするための潤滑的な役割なのに、それが目的になってしまって、人間の性格まで変えてしまう。そういうことのないように、つまり抑制するということの裏返しは、経済というのは人類の生活をより豊かにするための手段なんですよね。
○本山先生
そうなんです。昔からギャンブルというのは禁止されていたんです。それが、おそらくフランス革命以降だと思うんですけど、フランスがギャンブルを公認したんです。そのかわり、そこで税のように取っていくと、それで財政を豊かにする。
◎森脇健児
寺銭とか?
○本山先生
 寺銭ですね。したがって、表街道ではなく、裏街道だから、博徒というのはお天道様の下を歩かないものだった。だから、我々博打をしない人間たちは影響ないと、であったのに、いまやその博徒が表をどうどうと歩き、金儲けの上手な人が一番尊敬される。で、金儲けというと、「ものづくり」が一番儲からないんですよ。たとえば、鉄鋼会社がありますよね。お客さんは我々じゃないですよね。自動車会社です。専門家ですよね。そうすると、そこそこの儲けしか与えられない。だいたい年間8%ぐらいの粗利益です。ところがお金は、我々素人相手に商売するわけですから、いくらでも煽られてものすごい儲かるわけです。だから放ったらかせば、お金儲けのほうにみんなが走って、肝心のものづくりに人が行かなくなる。したがって、雇用も減ると。だからお金を取り締まるというのが昔からの経済学の基本形だったんです。で、戦後、もうそういう言葉は無くなってしまいましたが、戦後の資本主義の体制というのは管理通貨体制だったんです。お金は取り締まる。そのかわり、そのお金をものづくりのほうに廻していくように誘導していく。これが「ケインズ政策」だったんですけれども、これがあったのに、1970年代に入ってアメリカがベトナム戦争でお金を使い切ってしまってるし、というので、お金の管理を我々出来ないと、放棄したんですね。
●武委員長
そのお金の管理を放棄したいうのはいわゆる「ニクソンショック」と言われている1971年のことですね。
○本山先生
そういうことです。つまり、アメリカは機軸通貨でしょ。ようするに、我々は基軸通貨が無いとき、物を買うときにはわざわざ輸出してドルを手に入れて、それでものを買うわけです。ところがアメリカは輪転機を回せばいいわけでしょ?どんどんどんどん。無茶されたら困るということで、金と交換しますという約束だったんです。それで金を切ったんですね。そして、それが「良いことだ」という説が出てきて、お金ばっかり扱う経済学が出てきて9年連続ノーベル賞を取ったんです。お墨付きをもらったんです。そうすると、ものづくりを考えている経済学は廃れていくわけですね。とにかく、お金を儲けよう儲けようという、そういうものはお金が商品なんです。お金で物を買うんじゃなくて、お金でお金を買うわけです。つまり、ドルを売ったり円を買ったり、そういうギャンブル傾向が流行し、一流の経済学とされたんですね。
◎森脇健児
そこには汗がないですよね。汗をかいて労働というものが無いと、経済がなにかおかしくなるんですかね。委員長、今の先生の話を聞いてると、みんなお金を儲けることばかり考えていて、なにか肝心なことを忘れている気がしますよね。
●武委員長
そうですよね。金が金を生むようなことに集中して、ホリエモンとか村上ファンドみたいな、「金儲けがなんで悪いのか」という人を生み出すわけです。
○本山先生
悪いことなんですよ。つまり、設備が要らない、コンピューターだけで出来る。一人、二人の人間で何十億円の儲けを出す。
◎森脇健児
それはちょっとおかしい世の中ですよね。みんな人間がお金儲けに走り出して、今またおかしな時代になってきたと、そのあたりをまた明日に委員長お願いします。
●武委員長
はい、明日ね。
 
8月26日(火)
「暮らしと経済を考える」特集2
◎森脇健児
昨日は経済について初級編を教えていただきました。今日は委員長どのようなお話になるんでしょうか?
●武委員長
そうですね、アメリカ大統領のルーズベルトがニューディール政策を強力に推し進めたときの理論的な後ろ盾として、「ケインズ」という方の経済学の理論が使われたと言われてのですが、その方と、現在問題になっている「ハミルトンフリードマン」という方の理論との違い、というものが今の暮らしに影響するものだと思われるので、若干そこを解説していただけますか。
○本山先生
お金は統制すべきであるというのが「J・M・ケインズ」だったんですね。それに対して、「フリードマン」というのは、とにかく放っておいてくれと、自由に動かしてほしいと、「お金の統制などけしからん」のだというフリードマンの理論に基づいて、シカゴ商品取引所とか、先物取引とか、デリバディブとかいうお金のやり取りで儲けるというのが出てきたんですね。フリードマンが元祖なんですよ。これをマネタリストと言うんですが、フリードマン以外の経済学はすべて切られていく。とくにアメリカの学問状況というのは、ケインズというのはマルクスと同じように蛇笏のごとく嫌われる。で、マネタリスト、フリードマンが素晴らしいと、こういう理論でど~んと来たんですね。
●武委員長
これは、レーガン大統領とイギリスのサッチャー、日本の中曽根、その時代にフリード
マンがもてはやされて、ずっと追求されてきたわけですね。その結果、昨日のお話でありましたように、お金がお金を生むという実体経済とかけ離れた、博打経済というかたちで民衆を巻き込んで経済そのものが混乱しているという、それは同じだったと思います。
○本山先生
そこに一つのごまかしがあるんですね。「統制」という言葉をものすごくもってくるんですね。つまり、お金は管理されなければならないというときに、その管理とか統制とかいうのは「社会主義」だと、「資本主義」は自由に動かなきゃいけないと、だから、フリードマンなんかが所属していた協会というのは、「ハイエグ」という人が言い出して、社会主義とケインズ主義を潰そうと、そのための国際的な大きな会議の協議体があるんですが、その会長をフリードマンがしていたわけです。ですから、「自由だ」という言葉でお金を自由に動かすことを「自由」と拡大解釈して、あらゆる統制から自分たちは自由でなければならない、だから国家はいらないんだと、すべて放ったらかして人間が好きなように動くとすべてうまくいくんだ。という、私からしたらとんでもない、とてつもない社会を単純化した見方だと思うんですけどね。
◎森脇健児
いうても、近い、10年、20年前の話ではないですよ。1980年前後ですよね。確か?
●武委員長
ただこのフリードマンという方は、チリのキノチトという独裁政権に仕えていたので
すが、後にチリで貧富の差が拡大して失業者がどんどん出て、貧困率が悪化したということを理由にして、シカゴ学会いわゆるフリードマン学会を追放されるんです。ただ、しかしアメリカと日本はまだこの路線で今も経済が追求されているんですね。そういう状況ですね。
○本山先生
そういうことですね。
◎森脇健児
チリで失敗されたことがアメリカと日本でまだ追求されていると。
●武委員長
そこで先生、今問題になっている「サブプライムローン」というのはどういうことなのか?解説をお願いします。

○本山先生
簡単に言いますと、貧乏人にお金を貸すほうが金利は高く取れますよね?お金持ちに貸しても安いですよね。そこに目をつけて貧乏人に貧乏人にお金を貸していったんですよ。で、儲かるいうでしょ。で、儲けようとして世界からアメリカにお金が集まりますよね。そうすると、土地が上がりますよね。でまた、お金を貸せますよね。それが基本形です。ところが、やっぱり高い金利をとれても、支払い能力に問題があるというので、怖いですよね?だから、お金を貸した人は、お金を貸したという「権利」、つまりお金を返済してもらう権利を売るんです。これを証券化というんです。そのうちに、やばいのも良いのも、全部混ぜて分からなくなってきて、売っていくんです。我々は物をマーケットから買うときに需要と供給で決まると言いますけど、お金のこの証券の場合には需要と供給関係ないんです。一流の銀行、投資銀行がお客様に「あなたのためにこの証券を作りました。買いませんか?」と言うんです。で、それだけ信用するんです。さらにその裏に「格付け」という、評価する会社があるんです。「格付け会社」という。それがひとつと、もう一つは、いざ、回収出来なくなったときに「私たちがかわりに支払ってあげますよ」と。「モノライン」と言うんですけど、この二つの登場人物が出てくるんです。これ、皆さん信用するんです。日本でも「AAAの格付けいただきました」といっても、日本の会社じゃないでしょ。アメリカの有名な会社の名前が出てくるわけでしょ。で、モノラインというのは、今度は「支払い保証して差し上げます」という。これも口約束なんですよ。倒産してしまったらいいんですよ。払わなくていいんですよ。で、いざ、「ヤバイ」ってなってきて、お金を払ってくださいというときに、いち早くモノラインが倒産していくんですよ。そして今度は、「格付け会社が悪い」と言われてアメリカ政府に呼び出されて、「そうですね」って、先ほどのレイティングがドーンと落ちる・・・。そうすると証券が無価値になってしまう。といって、これはマーケットから買ったものじゃない、押し付けられたものなんです。売るに売れない・・・それで、アメリカの経済みんな大騒ぎしているんです。

●武委員長
そうしますと先生、博打経済というのは、儲かる人も居れば、損する人も居るというのが本来の博打ですよね。
○本山先生
本来はね。
●武委員長
ところが、今のサブプライムローンというのは、グローバリズムの名によって国境を超えて証券化され、バラかまれているわけですから、日本の金にして80兆円もの損失を出したと言われている。損したら、どうにかして取り返そうとするわけでしょ?
○本山先生
そのとおりです。
●武委員長
そうすると、穀物とか原油とかの先物買いというのはそういうところに走っているわけですよね。
○本山先生
まず、実は世界的にお金は余っているわけですよ。本当はものに流れていかなくてはいけないお金が、お金がお金を生むという流れになっているから、これが全部アメリカに行ってしまっているわけです。アメリカ自身は貯蓄もせずに世界からお金を集めてきて、それをまた自分たちで貯めていたわけですけども、そのものすごいお金が来て、金融、銀行関係がおかしくなったとき、お金は残っているわけですよ。で、銀行がおかしいんですよ。じゃ、そのお金を何に使うかといったら、商品。それも先物。先物というのは、今のものじゃない。3ヶ月先の商品を買いますというもの。問題はその先物にお金が行きだしたのだけど、現物で返さなくていいと、先物と現物あるから、原油価格がものすごく上がったら、みんな消費しないから売れなくなるはずなのに、アメリカが関係を切ったわけですね。先物だけがいくんです。先物というのは物がいらないんですから、口約束ですから、売った買った、売った買った、やってるもんですから、ものすごい上がるんですよ。
●武委員長
それが先生、今の原油と食料の高騰に繋がっているんですね。
○本山先生
問題は先物は先物で現物市場と関係なく行ってるのに、それを口実に現物市場が上がるんですね。たとえば、石油。これニューヨーク石油でしょ。ニューヨークなんか石油取れないでしょ。で、実際には西テキサス石油というんですけど、わずか0,1%の埋蔵量なんです。この少ないところにお金が殺到するから、うなぎのぼりに上がります。それと、我々が買う中東の石油とは別なんです。ところが、一応、石油市場もいろんなものも寡占、独占態が進んでいるんです。穀物もそうです。ガソリンスタンド倒産したでしょ?わずかでしょ、残っているの。結局、価格操作が出来るんです。穀物もそうです。本当に少ない商社が握っているんです。
◎森脇健児
物の物価が上がる、一般庶民の給料は上がらない。いびつな社会になってきます。そのあたりを明日またお願いします。
8月27日(水)
「暮らしと経済を考える」3
◎森脇健児
物価が上がる、庶民の給料は上がらない、非常にいびつな社会になってきましたが、そのあたり、もう少し突っ込んで聞きたいのですが、委員長。
●武委員長
その前に、先生の今までのお話で、実態経済とは違った博打経済が国境を越えて行われているというお話があったんですが、普通、博打は参加した人だけが損得をこうむるものなのに、博打に参加していない人まで犠牲にするというのが今の博打経済じゃないでしょうかね。なぜそういうことが起きるんでしょうかね?
○本山先生
ですから、お金儲けというのは、金融のほうは設備はいらないし、人間もいらないし、パソコンだけでいける。そこへお金がどーっと流れてきましたら、設備は居る、人員は沢山抱えなくてはならないという、ものづくりにお金が流れてこなくなる。そうすると私たちの仕事が減ってくる、失業者がいっぱい出てくる、給料が下がってくる。ところが、お金はあらゆるものをギャンブルの対象にしますから、いろいろなものが上がっちゃう。物価が上がりながら、我々の給料が下がるという一番悪いパターンが出てきてるんですよね。
●武委員長
それで先生、今のグローバル金融ビジネスというものね、これはドルがどんどん相対的地位が低下していますよね。つまり、アメリカ経済が破綻寸前だといわれていますよね、たとえば、今年から来年にむけての財政赤字が日本の金にして52兆数千億あるようです、貿易収支も赤字推定で、もうとてもじゃないけど、普通でしたら会社でいえば破産ですよね。そこまでアメリカ経済は瀕死の重症を負っているわけですよね。そうすると、このグローバルビジネスというものも終焉に近づいているんじゃないかと。
○本山先生
もう、そのとおりです。それをアメリカ政府当局がそれを言い出しました。こういうギャンブル的な、ギャンブルとはちょっと違いますけど、シャドウ版キングシステム、裏の銀行システムだと、裏の銀行システムはもう終わりだ、と。つまり、お金はいらない、苦しんでも、政府のお金は要らないと、だから好きにさせてくれという、これが裏の銀行システム。ところが、大きな銀行が倒産寸前になると政府の金が欲しいと、そうなってきたら、政府は金は貸すけど統制させていただきますよとなりますね。そういう方向で軌道修正がいい方向に行っているんですわ。
●武委員長
それで先生ね、「提言」という新聞に投稿されているんですが、その中で、先生が今、
仰ったように、アメリカが投資銀行を取り締まるという方向で進んでいると、投資銀行で先物買いをしたりして経済を狂わせているのはどこなのか、誰なのか、という犯人探しをしているということが言われているようでして、私が聞いた情報では今年の9月の中旬にアメリカ政府はその犯人を発表するんじゃないかと、その犯人を発表すると、今の原油高が一気に下がる可能性があると言われています。
○本山先生
もう下がっていますなぁ。もうニューヨーク原油は下がっているのに、我々のガソリン価格は上がっていると。
●武委員長
そういう状況で大きく変わりつつあるんです。同時にまた、それに対抗する動きとして、
南の銀行とかベネズエラとかエクアドルとかの中南米の国々が、アメリカ的なやり方ではなく、共生共同をキーワードにした、そういう方向に経済の流れを変えていこうとう動きがあるんですね。ですから日本ではあまり知られていないけれども、アメリカ的なやり方には限界があるということで、日本だけが遅れてアメリカ的なものについているだけの話じゃないですかねぇ。
○本山先生
原油ひとつ見ましても、原油の90%はもう政府系の石油会社なんですよ。我々がメジャー、メジャーというのは嘘です。巨大石油会社というのはわずか10%なんです。この10%の石油会社がとにかく煽っているというのは、逆に言えば10%の先進国の人間しか高い値段の原油は変わっていない。圧倒的沢山の90%の国策会社は結局安い価格で、ベネズエラもそうです。売ってるんです。そのかわり、私たちの言うことを聞いてね、とか。こういう形での反米の勢力がものすごく大きくなっているんです。
◎森脇健児
みんなアメリカに右に習えという時代じゃなくなっているんですね。
○本山先生
みんなアメリカから脱出しようとしている。おそらくサミットも洞爺湖サミットで終わりだと思いますよ。これからは先進国だけではなくて、ブリックスも入れると、サウジアラビアも入れると、いう方向になっていくんでしょうね。そういうことでアメリカの地位が相対的に下がってきたという。これはいいことですよ。
●武委員長
そうですね。そういういわゆる、金とか物だけを価値観の中心の置くアメリカ的なやり方から、もっと自然と共生するとか、環境保全とか、そういう方向に流れを変えていかないといけない、まぁ、変えつつあると思うんですが、そこで、現実の国民の生活の関心事なのが「スタックレーション」といわれることですよね。先生「スタックレーション」の解説をお願いします。
○本山先生
もともと、景気がいいときはインフレーションなんですね。景気が悪いときはデフレなんですね。ところが、景気が悪いのにインフレになるこれを「スタックレーション」と言います。
◎森脇健児
はぁ~最悪ですね(笑)確かにバブルがあってインフレだと言ってものの値段が上がりました。そのあと一気に「失われた90年代」に入って、デフレが来ました。で、次はなんやねんいうたら、ちょうど最悪のが来ました、それがスタック・・?
○本山先生
「スタックレーション」。アメリカのリベラルな経済学者なんかが言うんですがね。クルーマンが特にそうなんですけど、彼は、これはもう恐慌だと。それこそ80年前に戻ったのだと。それほど深刻な状態だと。
◎森脇健児
お金の価値が下がって、徳政令が出る時代がまた来るんですかねぇ。お金が紙くずになる時代が、歴史の教科書で見ていた時代がまた来るかも分からないという。恐慌ってそうですからねぇ。
●武委員長
特に日本の場合は、経済は「いざなぎ景気」を超えて景気が良かったと言われていたんですが、それは輸出産業主導型で、いわゆる多国籍企業が金儲けを出来る仕組みで、その犠牲として中小企業とか農民とか商工業者、労働者、これに全部犠牲を強いてきたんですが、結局、経済構造が国内需要を喚起するようなことが出来ない仕組みになっているんですよね。賃金は上がらないし、中小企業の倒産が多いし、そして雇用不安が発生しているし、ですから、余計日本の場合は深刻な打撃を受ける構造になるんじゃないですかね。
○本山先生
まずね、企業を売買するのが一番金が儲かるんです。物を作る、人をいっぱい雇うのが優秀な経営者だったのに、企業を売買することによって、自分の企業だけの株価がどんどん上がっていく、で、他の企業を買収してまた転売すると、そうすると人は切らなければならない、生産は縮小しなければいけない。こういう悪循環になっているんですよね。この悪循環から早く脱出しなければいけない。一番大事なことは、たとえば、いつの間にか「口入れ屋」が横行していますよね。昔は「口入れ屋」っちゅうのはケチだったんですよ。
●武委員長
ようするに「派遣業」ですね。
○本山先生
そう派遣業。口入れ屋という言葉のほうがいいですよ。その口入れ屋からの反対運動で労働組合が日本はば~っと来たんですよ。もう一度戻らないかん。で、若者の40%近くは臨時雇用みたいなものでしょ。アルバイトとかで食べていけないですよね。
◎森脇健児
不安ですよね。家庭も持てないし・・・。
●武委員長
今ね、中小企業を中心にして、事業協同組合とかあるいは生産協同組合とか、ようするに、人の不幸を喜ぶという競争社会から、人の幸福を共有しようという、そういう流れがいま、大きなところまで行ってませんが、ひそかにブームになっているですよ。今ね。
○本山先生
なりつつあります。ようするに、「熟練」を大事にしようとか。自分の職業としてのキャリア、その中で自分は鍛えられていくんだとか、というのが大事なのであって、20歳代に一攫千金の巨万の富を掴んで、あと遊ぶんだという社会と全然違った方向に行くべきだと思うし、日本は行けると思うんです。
●武委員長
そうですね。ですから、結局経済を豊かにするということは、国民がもっと豊かな、ようするに公平、平等な社会。その配分をめぐって政治の分野でも公平平等がつらぬいていけるような、そうい社会構造をつくるということが国民の選択肢として大事ですよね。競争社会を選択するんじゃなくて。
◎森脇健児
今日、お話を聞いていて、お金がお金を生むっていうのは馬鹿な話であって、やっぱり人間というのは働いて賃金を得ないといけないと思います。経済というのは目まぐるしく、日々移り変わっているもんですから、我々がこの問題についていけなくなったら、またぜひとも武委員長と先生に来ていただいて、分かりやすく説明していただきたいと思います。武委員長、本山先生ありがとうございました。
●武委員長
ありがとうございました。
○本山先生
ありがとうございました。
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