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『日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか』を読み解こう! シリーズ ④
日本が抱える大きな「闇」の正体

APRIL  21th, 2017

憲法は力の弱い国が力の強い国に立ち向かうための最大の武器。しかし、日本では憲法についての国民的合意がないので活かすことができない。「日本国憲法は、本当は誰がつくったのか」という問題をめぐり、意見が対立したままになっている。

引用・参考:
日本はなぜ、「基地」と「原発」を止められないのか(矢部 宏治)

日本が抱える大きな「闇」の正体
日本が抱える大きな「闇」

憲法条文を決めたのはGHQ

憲法条文の骨格を決める権限を持ち、実際にそれを決めたのはGHQだった。彼らはなぜ被占領国の憲法を自ら執筆するという「異常な行動」をとったのか。その理由や背景は公文書によって明らかになっている。
まず、マッカーサーは憲法改正問題を自らのイニシアチブ(主導権)のもとに処理したいと思っていた。その最大の目的は昭和天皇を守ることだった。第1回会見を終えた時点で彼は日本占領という大事業に昭和天皇が欠かせない存在であることを確信していた。

一方、政治的日程としては、東京裁判の開廷が3ヵ月後(1946年5月3日)に迫っていた。マッカーサーは何とか昭和天皇だけは守りたいと思っていたものの、他の連合国や米国民のなかには「天皇を裁判にかけろ」という声が根強くあった。よって、昭和天皇が東京裁判にかけられないようにするためには「天皇も、日本も、将来絶対に軍事的脅威になる可能性がない」という形で新たな憲法をつくる必要性がどうしてもあった。

しかし、日本占領をめぐって米ソが対立した結果、11ヵ国からなる極東委員会が設置され、憲法改正問題についても極東委員会が優先的な決定権を持つことが決定されてしまった。
ここで登場するのがチャールズ・ケーディスという本職が弁護士だった切れ者の米軍大佐。のちに憲法執筆プロジェクトの現場責任者となる彼は、GHQが憲法執筆を行う直前にマッカーサーに対して報告書を提出した。

このなかでケーディスは「極東委員会第1回会議まではマッカーサーが憲法改正についての全ての権限を持っている」「委員会発足後は、日本政府自身が提出した憲法改正案にマッカーサーが承認をあたえる過程について誰も口出しできない(よって、日本政府がGHQの草案を受け入れたあとは、日本政府自身の手によって日本語の草案をつくらせ、それに承認をあたえる、あたえないという形で条文をコントロールすればよい)」と主張した。

日本人自身が書いたことになっている
その後、GHQは2月4日~12日の9日間に密室でつくった憲法草案を13日に日本政府に提示し、「この内容に沿って憲法を改正するように」と強く求めた。

吉田茂外務大臣に手渡されたGHQの憲法草案は日本政府内での協議と昭和天皇の了承を経て、草案をもとに日本語の条文を作成することが閣議決定された。同日、内閣法制局が条文の作成作業に着手。その日がまさに極東委員会の第1回会議当日の2月26日だった。

戦後の日本社会を考えるうえでこうしたGHQの行動は決定的な意味を持った。占領軍が書いた憲法草案を「日本人自身が書いたことにした」という点が最大の問題。憲法という国家の根幹に大きな闇が生じてしまった。
さらに深刻なのは私たち日本人が1946年当時も、(自民党改憲案が発表された)2010年も、国際標準のまともな憲法を自分たちで書く力がなかったという事実。その問題をこれから解決しなければならない。

参考 国立公文書館  日本国憲法の施行

 

 5つのポイント

1 日本国憲法草案を「書いた」のは100%GHQ。敗戦翌年、1946年2月4日~12日にかけてGHQは9日間で憲法草案を書いた。
2 東京裁判から昭和天皇を守るために「天皇も、日本も、将来絶対に軍事的脅威になる可能性がない」という形の新憲法が必要だった。
3 GHQは極東委員会が発足する前に憲法草案を作成し、それに沿って日本政府に日本語の憲法草案をつくらせた。
4 GHQが強要した憲法草案の内容(特に人権条項)は日本人にはとても書けない良いものだった。それが「大きなねじれ」の正体。
5 様々な意見をくみあげ、国家レベルでまともな憲法を書く能力が現在も日本にはない。この問題を解決しなければならない。。


 シリーズ①はこちら シリーズ②はこちら シリーズ③はこちら

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