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他人の痛みは我が痛みの精神で、労働運動に取り組んでいます。 働く人々の労働条件の向上を目指して、日々活動しています。

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辞めてくれと言われた。クビになるでしょうか?

パートだとはいえ、ヒドイと思います。何とかならないですか。

まず知っておきましょう。

Ⅰ 労働契約終了のパターンを理解しましょう。
会社を解雇される、あるいは自らの意思で会社を辞めるにせよ「雇用関係の消滅=労働契約の終了」であるので労働契約について知ることが大事です。

Ⅱ 労働契約終了のパターン
「労働契約の期間に定めがない」場合と「労働契約の期間に定めがある」場合の2類型に分かれます

期間に定めがない場合の類型は、4種類。

労働契約の期間に定めがない場合
辞職 労働者が、自らの意思で、一方的に退職する場合です。民法では、労働者が退職届を提出するなど、使用者側に労働契約の解約を申し入れた場合、その後2 週間を経過することで労働契約が終了することが原則です。例外有り(民法第627 条第1,2 ,3項)。

労働者には基本的に「職業選択の自由(憲法第22 条)」と「退職の自由(民法第627 条)」があり、これを制限する法規定はありません。
解雇

使用者が労働者に対し、一方的に労働契約を解除する場合です。労働者の同意は必要ありません。通常これを解雇と言います。

労働契約法は、解雇について「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする(労働契約法第16 条)」と定めています。したがって、労働者は辞職を自由に出来るのに対して、使用者の解雇は合理的な理由が必要です。

解雇を禁止する法律の規定があり、これに該当する場合解雇できません。
*  業務上の負傷・疾病による休業期間とその後30 日間の解雇
(労働基準法第19 条第1 項)
*  産前産後の休業期間とその後30 日間の解雇
(労働基準法第19 条第1 項)
*  国籍・信条・社会的身分を理由とする解雇
(労働基準法第3 条)
*  労働基準監督署等に申告したことを理由とする解雇
(労働基準法第104 条)
*  労働組合を結成したり、組合活動を行ったことを理由とする解雇
(労働組合法第7 条)
*  労働者の性別を理由とする解雇
(男女雇用機会均等法第6 条第4 項)
*  女性労働者が結婚したことを理由とする解雇
(男女雇用機会均等法第9 条第2 項)
*  女性労働者が妊娠、出産したこと、産前産後休業を取得したこと、男女雇用機会均等法による母性健康管理措置や労働基準法による母性保護措置を受けたことなどの厚生労働省令で定める事項を理由とする解雇
(男女雇用機会均等法第9 条第3 項)
*  妊娠中と出産後1年を経過しない女性労働者に対する解雇は、事業主が妊娠中及び出産後1年を経過しないことが理由ではないことを証明しない限り、無効とする
(男女雇用機会均等法第9条第4項)
*  育児休業、介護休業の申し出や取得を理由とする解雇
(育児・介護休業法第10 条、同第16 条)

解雇の手続要件として、使用者が労働者を解雇する場合は、少なくとも30 日前に予告をするか、予告をせず即時に解雇する場合は、30 日分以上の平均賃金を支払わなければならないと定めています(労働基準法第20 条)。手続きを法で定めているのみであって、この手続きをとれば正当な解雇とされる訳ではない。解雇が正当であるためには「合理的な理由」(労働契約法第16 条)認められなければならない。

合意解約 労働契約の解除について労働者と使用者が合意する場合です。合意解約は、次の2 つに大別されます。

使用者による退職勧奨と労働者の承諾
使用者が労働者に「辞めて欲しい」などと合意解約を申し込み、あるいは申し込みの誘引を行い、労働者がこれに応じるもの。

労働者からの退職の願い出と使用者の承諾
労働者が使用者に「辞めたい」と申し入れて、合意解約を申し込み、使用者がこれに応じるもの。

労働者が一方的に退職する「辞職」、使用者が一方的に労働契約を解除する「解雇」と異なり、労働者と使用者の「合意解約」は、原則自由にできます。よく間違われるものに、使用者からの「辞めて欲しい・辞めてくれ、あるいは君は戦力外だ」と言われて解雇だと思う人がいますが、これは「退職勧奨」です。単に使用者が「辞めてほしい」とお願いしているだけです。
これに応じると労働契約の解除(退職)に合意したことになります。応じるつもりがなければ、はっきり断りましょう。退職勧奨のうち、その手法等が社会通念上の限度を超えるものは「退職強要」となり、その内容によっては、不法行為として損害賠償請求の対象となる場合があります。
定年 労働者が一定の年齢になったことを理由にその雇用関係を終了させる制度です。これは、契約の期間に定めがない場合であっても、その年齢になると雇用契約を終了させるという特別な定めであり、合理性のあるものとして広く認められています。法律では、「定年制」を設ける場合は、定年年齢を60 歳以上とすることが定められており(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第8 条)、60 歳未満の年齢を定める「定年制」は、法的には定年制がないものとして取り扱われます。
また、定年年齢は60 歳に維持しつつ、65 歳未満の定年の定めをしている事業主について、65 歳までの雇用確保措置として、
①定年年齢の引き上げ、
②継続雇用制度の導入、
③定年制の廃止、
のいずれかの措置を実施することが義務づけられています(高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第9 条)(雇用確保措置に係る年齢は平成25 年度までに段階的に引き上げられます)。なお、定年の定めについて男女で異なる取扱いをすることは禁止されています(男女雇用機会均等法第6 条第4 号)。

 

期間に定めがある場合。

労働契約の期間に定めがある場合
期間満了
雇止め
■ 期間満了
あらかじめ労働者と使用者が合意した契約期間が満了し、労働契約が終了する場合です。臨時工や季節労働者、アルバイトや契約社員などに見られる労働契約の期間が6 ヵ月、1 年というような「労働契約の期間に定めがある場合」では、その契約期間が満了すれば自動的に労働契約が終了します。

■ 雇止め 
一方、有期契約の更新を繰り返し、雇用が一定期間にわたり継続されたにもかかわらず、契約期間の終了に伴い、使用者が労働者に対して労働契約の更新を拒絶することは、「雇止め」と呼ばれています。
「雇止め」の場合でも、恒常的な業務内容に従事し形式的な手続きのみで契約が繰り返し更新されている、当初の契約締結時から雇用継続への合理的な期待が生じている、などの実態がある場合には、期間に定めがない労働者を解雇する際の「解雇権濫用法理」が類推適用され、「雇止め」が無効とされることもあり得ます。

「雇止め」が無効・有効の判断要素
判断要素
具体例
業務の客観的内容 従事する仕事の種類・内容・勤務の形態

( 業務内容の恒常性・臨時性、業務内容についての正社員との同一性の有無等)

契約上の地位の性格 地位の基幹性・臨時性

( 嘱託・非常勤講師等)

当事者の主観的態様 継続雇用を期待させる当事者の言
動・認識の有無・程度等

( 採用に際しての雇用契約の期間や、更新ないし継続雇用の見込み等についての雇主側からの説明等)
更新の手続・実態 契約更新の状況

( 反復更新の有無・回数、勤続年数等)

契約更新時における手続の厳格性の程度

( 更新手続の有無・時期・方法、更新の可否の判断方法等)
他の労働者の更新状況 同様の地位にある他の労働者の雇止めの有無等
その他 有期労働契約を締結した経緯
勤続年数・年齢等の上限の設定等

 などで総合的に判断されます。

使用者は、あらかじめ契約更新しない旨が明示されておらず契約を更新し1 年を超えて雇用している労働者、契約を3 回以上更新している労働者、1 年を超える期間を契約している労働者を「雇止め」する場合には、少なくとも当該契約の期間が満了する30 日前までにその予告をしなければなりませんし、「雇止め」の予告の後に労働者がその理由について証明書を請求した場合、遅滞なくこれを交付しなければなりません(「雇止め」の後に請求した場合も同様です。理由については、契約期間の満了とは別の理由にすることが必要です)(有期労働契約の締結、更新及び雇止めに関する基準 平成15年厚生労働省告示第357号)。また、男女いずれかを優先して「雇止め」を行うことなどは禁止されています(男女雇用機会均等法第6 条第4 号)。

辞職
解雇

あらかじめ「労働契約の期間に定めがある場合」においては、原則として、契約期間の途中で事業を継続することができなくなった(使用者側)、重大な傷病で労務不能な状態になった(労働者側)、などの「やむを得ない事由」がない限り、期間の途中に「解雇」することも「辞職」することもできません。ただし明示された労働条件が事実と相違する場合においては、労働者は、即時に労働契約を解除することができる。

特に、使用者による「解雇」については、労働契約法において、やむを得ない事由がなければ、契約期間が満了するまでは解雇することができないと定められています(労働契約法第17 条第1 項)。また、「やむを得ない事由」があるとして期間の途中で一方的に契約を解除したとしても、その事由が契約を解除した当事者の過失によって生じた場合は、そのことで相手方が被る損害について賠償する責任が生じます(民法第628 条)。
なお、あらかじめ定めた契約期間が1 年を超え3 年以内の場合で、当該契約が1 年を経過した後は、労働者は使用者に申し出ることによりいつでも辞職することができます(労働基準法第137 条)。

合意解約

あらかじめ「労働契約の期間に定めがある場合」においても、労働者と使用者の「合意解約」については原則として自由です。そのため、期間の途中に「やむを得ない事由」がなくても、使用者が労働者に退職勧奨を行うことや労働者が使用者に「退職願」を提出するなどして合意解約を申し込むことは当然に可能です。ただし、解約が成立するためには、あくまでも相手方の合意が必要となります。したがって退職勧奨などがあった場合、はっきり「やめません、働き続けます」と意思表示することが大事です。これで、「合意解約」は成立しません。

 

現状を把握しましょう。
「辞めてくれ」と言われた時、冷静・慎重に対応しよう。
突然上司などから「辞めてくれ」と言われたら、「クビになった」と考え、ショックかも知れません。しかし、上記を読んで、労働契約の終了に関する法的な知識を持つと冷静かつ慎重に対処する事ができます。退職に応じなれけば、その後の動きが大きく違ってきます。法的な知識を知ることは大事です。 突然、「辞めて欲しい」と言ってきたような場合には、まず「それが本当に会社としての意思なのか」、発言の真意は「退職勧奨か、解雇通告」なのか、それとも単なる『イヤガラセ』なのかを確認しなければなりません。
解雇とは、一般に社長、人事部長など、本当に会社で責任ある立場にある人から、労働者に対し、日付を特定するなどして明確に労働契約を解除することが通告されることです(通常は、確実に行うため書面でなされることが多い)。ですから、直属の上司等からの「君はもう必要ない」「明日から来なくてよい」などとの曖昧な発言は、単に退職勧奨やイヤガラセの場合があります。

Ⅰ 「辞めて欲しい」は退職勧奨で会社からのお願い。
さも、高圧的に言われると従わなければと思うかもしれないが、これが間違いの元。

● 応じるかどうかは労働者の自由。
一般に、使用者が労働者に退職を勧めることを『退職勧奨』と言います。『退職勧奨』は、あくまでも使用者が労働者に退職を勧めるものであり、応じるかどうかは、労働者の自由な判断です。ですから、例え、会社で責任ある立場の役職者から「辞めて欲しい」と言われても、言われた労働者に退職する意思がなければ応じる必要はありませんし、応じてはいけません。
退職勧奨に応じる意思がなければ、使用者に対して書面などで確実に意思表示します。そうしない限り「退職勧奨」は続き嫌な思いをします。はっきり断らないと、「退職勧奨」に応じる可能性ありと、使用者は判断し「退職勧奨」を続けます。

▼ やっては、いけないこと。
退職勧奨を受け、何も意思表示をしないまま、出勤しない状況が続けば、その事実をもって、自己都合の辞職(勝手に出社しなくなった)、あるいは退職勧奨に合意したもの(黙認による合意解約)」として取り扱われる可能性が高くなります。

また、退職勧奨を受けたときに「考えてみます」など曖昧な返答をすると、使用者に「考えて、了解した」と受け止められてしまうので、注意が必要です。このような場合は、辞める意思がなければ、至急に使用者に対してその旨を意思表示することが必要です。なお、男女いずれかを優先して退職勧奨を行うこと、退職勧奨にあたっての条件を男女で異なるものとすることなどは禁止されています(男女雇用機会均等法第6 条第4 号)。

Ⅱ 退職勧奨か退職強要(執拗に続く)
退職勧奨の手段・方法において、勧奨を受ける者の自由な意思決定を妨げ、社会通念上の相当性を欠く場合(例えば、勧奨を受ける者が退職を拒否しているにもかかわらず、数人で取り囲んで繰り返し勧奨する)は、違法な退職強要となり、行為そのものが不法行為として損害賠償請求の対象となります。

Ⅲ 退職願(届)を出してしまった場合
「退職勧奨を受け、応じたくありませんが、直属の上司から強く退職願を出すようにと言われ、本意ではないが出してしまった」という場合。
退職願を提出することは、退職勧奨に応じるという意思表示になりますので、退職する意思がなければ、提出してはいけません。また、一旦、提出してしまった退職願を撤回するのは容易ではありません。そのままにしておくと退職願が有効になります。
万一このような状況になったら出来るだけ早く専門家に相談し対処してください。この状態は、自力解決は困難と思ってください。

会社は、辞めて欲しいと思っているのですから、簡単には撤回を認めません。
退職の意思表示に瑕疵(かし=法律や当事者の予期するような状態や性質が欠けていること)があった場合には、民法における意思表示の瑕疵の規定に従い、その意思表示の取消や無効が主張できるとされています。

これらについては、
心裡留保(しんりりゅうほ=意思表示をする者が自分の真意と異なる意味で理解されることを知りながらする意思表示)(民法第93 条)
錯誤(さくご=あやまり、まちがい)(民法第95 条)
詐欺(さぎ)・強迫(きょうはく)(民法第96 条)
などにより、退職の意思表示について取消しや無効が認められた判例があります。

Ⅳ 退職願と退職届、辞表について
労働契約の期間が定められていない場合の労働者からの退職の意思表示は、
▼退職届、辞表は、「労働者が一方的な解約(退職)の意思を通告するもの」
▼退職願は、「使用者の承諾を前提条件として労働者が使用者に解約を申し込むもの」
の2つに区別することができます。
従って形式的には、『退職届』や『辞表』が「労働者が使用者に一方的な解約(退職)の意思を通告する文書」であり、『退職願』が「労働者が使用者に合意解約を申し込む文書であり、使用者が合意してはじめて有効となる。」と言えます。退職届や辞表と書かれていても、文書の表題だけでその内容は「労働者からの使用者に対する一方的な解約意思の通告」とはなっていない場合が見られます。もし、「断固として退職する」という意思が明確であれば、合意解約の申し込みと読むことができるような表現ではなく、その意思を明確に記載した『退職届』を提出することが必要でしよう。


対応例

〔お答えします〕
発言は、労働者に退職を勧める「退職勧奨」であると思われますが、よく確認してみましょう。退職勧奨に応じるつもりがなければ、はっきりと「辞めません」と言いましょう。断ったにもかかわらず続くなら「退職強要」として対処する。労働契約の期間に定めがある場合で、契約期間の反復更新を繰り返しているなら「雇い止め」に該当する可能性があります。いずれにしても労働契約を確認することが必要です。

■ 労働相談は一般的な内容のものです。具体的な内容については、当ユニオンへ電話、来所してご相談ください。

 

 

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