4月13日、大阪・関西万博の開幕日に、れいわ新選組・大石あきこ事務所主催の「万博いらないデモin夢洲」が開催されました。激しい雨と強風の悪天候にもかかわらず、330人もの市民・労働者が結集し、関生支部からも大勢の組合員が参加し、足元の悪いなか、最後まで歩きシュプレヒコールを響かせて、万博来場者や道行く人に訴えかけました。
今回の集会デモには「カジノ誘致のために万博を利用しないで」「市民・府民の税金を地盤対策に使わないで」「開催するなら千里万博公園で開催してほしい」「カジノで治安を悪化させないでほしい」などのスローガンが掲げられ、参加者は「万博もカジノもいらない」と力強く訴えかけました。
利権だらけの万博が、この後のIR(統合型リゾート)につなげるためだけの国家プロジェクトであることに、本当に賛同できるのかを訴えかけました。
大阪・関西万博は当初予算1600億円とされましたが、現在の会場整備費は約2350億円に膨れ上がりました。さらに地下鉄延伸に500億円超、夢洲への橋梁建設や道路整備に300億円が投じられる予定です。国・大阪府市・経済界の折半負担とされていまますが、実質的には市民・府民の税金が投入されます。教員や医療従事者への賃上げにも予算が回らず、市民の暮らしはより一層厳しさを増しているなか、学校給食や保育所の建て替え、介護施設の改修に必要な資金が、巨大プロジェクトに吸い取られるのは許せません。
また、大阪府市は、IR実施法を利用して万博とカジノ誘致をセットで進めています。ギャンブル依存症の拡大、治安悪化、反社勢力の介入リスクなど、市民生活への深刻な悪影響が懸念されます。万博を呼び水にしてIRを正当化する手法は、市民主権の軽視にほかなりません。
メタンガスの発生と安全リスクの深刻化
万博会場の夢洲は、人工島の埋め立て地で、廃棄物で造成された島です。島の一部では可燃性のメタンガスが発生しており、建設工事中に溶接の火が引火して爆発する事故が発生しました。テストランでも基準値を超える濃度のメタンガスが検知され、引火すると爆発する恐れがあると報じられていました。爆発事故が起きた西ゲート付近には、柵に囲われ「立入禁止」と貼られたマンホールがあります。そんな危険な場所に小学生を強制的に遠足で連れて行く大阪府の方針には「子どもの命を何だと思っているのか」という怒りの声が上がっています。
その他にも夢洲は、軟弱地盤の埋立地で、津波や高潮による浸水リスク、液状化の危険性が高いです。万博協会は、「土質調査の結果、『液状化をしない、または液状化しない可能性が大きい』となったことを踏まえ液状化対策は実施していません」と回答。万博会場に隣接するIRの事業者がボーリング調査したところ、液状化の可能性が高いという結果が出ています。
また、災害リスクマネジメントの専門家は「夢洲はゴミの焼却灰や浚渫土砂などで埋め立てた人工島なので、地盤が弱く、地震の際の液状化の危険性が極めて高いと言えます」と指摘しています。
災害発生時に夢洲から移動する主な交通手段は、夢舞大橋、夢咲トンネル、大阪メトロ中央線(地下鉄)の3ルートに限られており、地震や大雨、暴風で来場者が孤立することが懸念されています。
工事着工からの問題と地域住民との温度差
万博会場建設現場では、外注下請け構造のもと、労働者が過重労働と安全無視の環境にさらされています。昨年発生した死亡事故に続き、熱中症や墜落事故の危険が常態化しています。
また、万博関連工事に伴う騒音や交通規制は、周辺住民の生活を直撃しています。小売業や飲食店など中小事業者は、一時的な来場者以外の持続的な利益を見込めず、建設完了後に再び閑散を迎える懸念が強いです。地元住民からは「住環境を壊してまで、誰のためのイベントなのか」との声が寄せられています。
大屋根リングを残す―その財源はどうする
大阪・関西万博のシンボルとなっている大屋根リング。3月に「世界最大の木造建築物」としてギネス世界記録に認定され、閉幕後の活用法について、会場の他の建物と同様に解体し、建材などで一部を再利用するとされてきました。しかし、吉村知事や建築家などから「残していきたい」などの意見が上がっています。
計画になかった大屋根を約350億円かけて建設して「世界最大級の無駄遣い」「世界一高い日傘」などの批判を受けています。自見英子万博担当大臣が、このリングの意義について「日よけの熱中症対策として大きな役割を果たす」と説明して炎上しました。
実際、開幕初日、万博来場者は、大屋根の下では雨風をしのぐことができませんでした。
当初の予定では解体した後、建設資材として再利用する自治体などを募集しましたが、参加者からは人件費の高騰や木材の価格の低下など「解体費を買い手が負担すると、新品より高くなる」などの声が上がり、4分の1が再利用の見込みがその8分の1まで減少しました。しかも、解体費も込みで予算を計上していたはずなのに解体費を買い手が負担しなければならないのでしょうか?
また、モニュメントとして残すにしても維持費がかかるため、コスト負担の問題は避けられません。
会期が終わると撤去する方針にも「無駄遣いだ」と批判が集まっていましたが、一部だろうが全部だろうが残しておいても膨大な維持費が予想できます。
また、長期に保存できるほどの耐久性がある設計なのかも問題です。
簡単に残したいと口にする吉村知事はその財源はどう確保するのでしょうか?
既存施設の有効活用と身の丈に合う催事を
万博記念公園や花博記念公園鶴見緑地などの大阪市内の公園を活用し、市民参加型イベントや文化祭を開催すれば、地域振興が可能なはずです。既存インフラの再利用は環境負荷を抑制し、多額の公費をかけることはありません。また、中小企業や労働者の雇用維持にも寄与します。行政には「身の丈に合った予算編成」を求めます。
この夢洲の問題は国内にとどまらず、労働者と環境をめぐる国際的な連帯を広げるきっかけになります。私たちは市民と労働者の権利を守る国際連帯を追求します。万博問題の本質を深掘りし、組織内外へ発信していきます。
関生支部は「万博いらないデモin夢洲」に参加した市民・労働者と連帯し、今後も粘り強く反対の声をあげ続けます。万博・カジノ・不要不急の大型イベントに巨額の税金を投入する政治家たちを、私たちは断固認めません。
未来を担う人びとの命と暮らしを守るため、仲間と共に闘争を拡大します。行動を共にしましょう。連帯しましょう。希望をつなぎましょう。
TEL 06-6583-5549
FAX 06-6583-5534
Email
web@rentai-union.com