シリーズ 学習を創造的活動に活かそう
教育部では、学習を通じて執行委員や組合員のレベルアップに力を入れています。今月のテーマは「米国がたどってきた『戦争と侵略』の歴史」です。
映画『WARmericaの運命』 アメリカの覇権と世界戦略の深層
関生支部・教育部主催による学習会がユニオン会館で行われ、組合員・役員多数が参加しました。今回は、朝鮮戦争停戦70年という節目に韓国で制作されたドキュメンタリー映画『WARmericaの運命』を鑑賞し、アメリカという国家がたどってきた「戦争と侵略」の歴史、そして現在進行形の実態について学びました。 このドキュメンタリー映画は、韓国の著名なジャーナリストであり映像作家の金哲民(キム・チョルミン)氏が監督を務めた意欲作です。全二部構成で、米国がどのようにして世界の覇権を握り、それを維持しようとしているのかという、その根源的な構造に鋭く迫ります。
映画が暴く米国の構造 (
戦争を商品にする歴史)
第一部では、アメリカ合衆国という国家の成り立ちを検証し、それが先住民の虐殺や度重なる侵略戦争という血塗られた歴史の上に築かれてきた事実を明らかにします。
そして第二部では、その強固に見えた支配構造が世界の潮流によって崩壊の兆しを見せている現状と、それでもなお軍事力という手段を用いて覇権を維持しようとする米国の強硬な姿勢を描き出します。
映画は1492年以降の米国による戦争と軍事介入の歴史を詳細にたどり、朝鮮戦争、ベトナム戦争、イラク・アフガン戦争、そしてウクライナや中東へと、戦争を巨大な「商品」として拡張してきた実態を示します。
その背後には、軍需産業と金融資本の複合体があり、米国はこの複合体の莫大な利益のために、世界各地で意図的に紛争の種を蒔いてきたと厳しく告発します。
同時に、映画はアメリカ国内の深刻な問題にも焦点を当てます。医療、教育、住宅といった生活基盤の崩壊や、極端な格差、銃犯罪の激化など、社会の病巣を浮き彫りにします。「民主主義」の看板の裏で、国民は理想とは程遠い「分断された社会」に直面していることを突きつけます。
特に70年以上続く朝鮮戦争の停戦体制については、より深く考察しています。平和協定を阻み、分断を継続させる「戦争を終わらせたくない勢力」の存在を浮き彫りにし、その根幹には米国の戦略的思惑と、それに無批判に追随した日本・韓国の政治的判断があることを示唆します。監督は、真の統一と平和の実現には、米国の覇権そのものと根本的に向き合う必要があると強く訴えかけています。
日本は米国の戦略拠点 (
米国とどう向き合うか)
この映画鑑賞の学習会では、参加者全員が、スクリーンを食い入るように見つめ、その内容に深く集中していました。
映画で示された、沖縄や岩国の米軍基地から出撃した戦闘機が、過去に朝鮮やベトナムを空爆したという痛ましい歴史。そして今この瞬間も、日本が米軍の重要な出撃・戦略拠点として使われ続けているという現実が、鑑賞者の胸に重く突き刺さりました。
米という国家がいかに好戦的な大国であるのか、そして日本列島に米軍基地が存在する根本的な意味を改めて考えさせられる時間となりました。
特に、朝鮮戦争が法的にはいまだ「終結」していない事実は衝撃的でした。米軍基地を国内に抱えている以上、日本は知らず知らずのうちに米国の戦争に加担しており、それはもはや憲法が掲げる「自衛」の範疇を超えているのではないかという厳しい問いを突きつけられました。
映画鑑賞を通じて、「平和」を机上の空論ではなく、「事実を知り、深く考えることこそが第一歩」だと確信しました。
今回の学習会は、単なる鑑賞に留まらず、「真の平和とは何か」「日本は米国とどう向き合うべきか」「日本の国際的な責任はどこにあるのか」を深く掘り下げる、非常に有意義な場となりました。
具体的な行動によって平和な暮らし勝ち取る
私たちが平和な暮らしや社会を実現するためには、政治や権力に依存するのではなく、労働者や市民自身の具体的な行動によってつかみ取る必要があります。その出発点となるのが、社会の真実を正確に知るという行為です。
ドキュメンタリー映画である『WARmericaの運命』は、私たちにそのための確かな視点と、現実を変えていくための覚悟を与えてくれる、価値ある作品であったと結論づけられます。
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