喉元過ぎれば熱さを忘れる米海兵隊
沖縄市内で、日米合同パトロール中に米海兵隊員9人が拘束された事件は、単なる規律違反にとどまりません。繰り返される事件の根本的な問題を紐解きましょう。
◆ 自ら設けた行動規制に、違反
今回の事件は、米軍が独自に設けた外出制限などの行動規制を、9人もの兵士が同時に違反したことで起きました。飲酒を伴う深夜の外出であったとの報道もあり、日本側の警察官と米軍の憲兵が共同で実施する日米合同パトロール中に、自国の兵士がルールを破っている現場を摘発するという異例の事態となりました。
これまでも事件・事故のたびに米軍幹部は「綱紀粛正を徹底する」と何度も繰り返してきました。それでも同様の事件が繰り返される現状は、口先だけの「綱紀粛正」で実効性を伴っていないことを示しています。個々の兵士のモラルに依存する現在の対策は、もはや限界を迎えていることは明らかです。
今回の事件は、米軍の綱紀粛正への不信感をさらに深め、沖縄県民の反基地感情を一層高める要因となりました。これまでも、事件・事故のたびに日米地位協定の見直しを求める声は強まってきましたが、日本政府は日米安全保障体制を重視する姿勢から、協定の抜本的な改定には消極的です。
◆ 日本の法で裁けない
しかし、米兵の犯罪が繰り返される背景には、日本の法律で裁けないという現状が、兵士たちの規範意識を弛緩させているという側面も否定できません。今回の事件で、日米合同パトロールという共同の監視体制下で規律違反が起きたことは、米軍内部の自己規制に任せることの限界を象徴しています。 日本の主権と国民の安全を守るため、そして日米関係を真の意味で健全なものにするためにも、日米地位協定の抜本的な見直しが不可欠です。これは、沖縄だけの問題ではなく、日本全体が向き合うべき喫緊の課題です。政府は、国民の不安に真摯に向き合い、米国との外交交渉を通じて、協定の改正を粘り強く求めていく責任があります。そうでなければ、同様の悲劇が今後も繰り返されることとなるでしょう。
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