人権基準を満たさない入管法は直ちに廃止を  YouTubeより

シリーズ 学習を創造的活動に活かそう

教育部では、学習を通じて執行委員や組合員のレベルアップに力を入れています。今月のテーマは「入管法」です。

6月19日、出入国管理・難民認定法(以下、入管法)の改正案が参院本会議で採決され、賛成多数で可決・成立しました。ところが、この入管法改正案には多くの問題が指摘されています。

 

難民申請中にでも強制送還が可能に

今回の入管法改正(改悪)により、難民申請中の外国人を本国に強制送還することが可能になりました。正確には、3回目以降の難民申請者について、難民などに認定すべき「相当の理由」がない限り、送還停止の対象外としたのです。日本における難民認定は非常に狭き門で、一回で申請が認められず、何回も申請をする人が多くいます。

難民を送り返せば迫害受ける可能性

難民とは、自国における戦争や政治的な迫害を逃れて、他国に保護を求めてきた人々のことです。当然、このような人々が本国に送り返されることになれば、本国から再び迫害を受ける恐れがあります。NPO法人難民支援協会のHPから2点、実際に迫害されたケースを紹介します。
2016年にイギリスからコンゴ民主共和国に送還されたDN氏は、空港内で国家情報局により拘束されました。その際、DN氏は治療が必要なほどの拷問被害を受けました。
また日本から送還されたケースでも、迫害を受けた事例があります。トルコ国籍のクルド人難民申請者Kさんは入管による収容を恐れ、自費出国による送還のかたちで日本から出国しました。帰国直後、Kさんはクルド労働者党のテロ活動を支援していたという容疑で逮捕され、警察対テロ支部によって取り調べを受け、のちに起訴されました。そして裁判中だった1999年に自宅で殺害されてしまったのです。
本国へ送還された難民の行く末を把握することは非常に困難です。迫害が確認されたケースは氷山の一角に過ぎないと考えられます。

国際基準逸脱する日本の入国管理法

国際的には難民保護において最も重要な基準として「ノン・ルフールマン原則」(ルフールマンはフランス語で「送還」の意味)が守られています。日本も加入している難民条約33条1項には「難民を(中略)その生命または自由が脅威にさらされるおそれのある領域の国境へ追放、または送還してはならない」と定められています。
改悪入管法は、この条項に明確に違反し「ノン・ルフールマン原則」を逸脱しています。

前の入管法改正案  国連は改善を指摘

実は2年前に、ほぼ同じ入管法改正案が否決され廃案になりました。その時も改正入管法は国際的に大きな批判を受けていました。
国連難民高等弁務官事務所は、難民申請中の送還停止規定を変えることに「重大な懸念」を表明し、「難民条約で送還が禁止される国へ送還する可能性を高め、望ましくない」と指摘しました。国連人権理事会の特別報告者と恣意的拘禁作業部会も「3回以上の難民申請者の送還は、生命や権利を脅かす高いリスクの可能性がある」と述べて「改正案は国際的な人権基準を満たさない」とする共同書簡を日本政府に送りました。
また、22年11月には国連自由権規約委員会が日本政府に同様の意見を出し「国際基準に基づいた包括的な庇護法」を早急に整える必要性を訴えています。          

入管法を廃止して人権守られる社会

日本における入管問題の根本は、出入国在留管理庁が一元的に、出入国の管理、在留外国人の管理、難民認定を行うところにあります。 EU諸国では、身体拘束するのであれば、その正当性を裁判所が判断する仕組みがつくられています。また難民認定においても、一次審査で不認定になった場合に、不服申し立ての審査を行うのは日本では実質的には同じ出入国在留管理庁ですが、欧米の多くの国では一次審査とは異なる機関が審査を担います。
外国人を排斥し人権を侵害する入管法改悪ではなく、誰もが大切にされる国を目指していきましょう。

 


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