戦争への道


学習を創造的活動に活かそう

教育部では、学習を通じて執行委員や組合員のレベルアップに力を入れています。今月のテーマは「安保3文書」です。

「戦争への道」に突き進む岸田政権に引導を
岸田政権は、昨年12月16日、「反撃能力」を明記した安保3文書を閣議決定した。「専守防衛」を謳ってきたこれまでの軍事戦略を、内閣だけで大転換してしまう暴挙である。軍事費の引き上げに始まり、1月11日には新日英同盟とも評される日英の「円滑化協定」に、何らの民主的議論なしに署名した。岸田政権の暴走は止まらない。

岸田政権、軍拡を世論が歓迎

安保3文書で大転換を迎えたのは「専守防衛」だけではない。反戦運動も大転換していることを認識しなければならない。軍拡を世論が歓迎しているという実態があるのだ。これまでの「反戦」に係る世論調査の動向を参考にしてみよう(ANNのデータを使用)。
安倍政権下においては世論の支持を背景に運動を進めることができた。2014年に安倍内閣が集団的自衛権の行使容認を閣議決定した暴挙があった。この際、集団的自衛権の行使容認が「必要」との回答が28%、「不必要」が54%であった(14年6月調査)。シールズなどの反戦運動が活発に行われた2015年の安保法制定の際、安保関連法案に「賛成」が27%、「反対」46%であった(15年6月調査)。閣議決定や議会における数の暴力で世論を無視して戦争政策を強行しようとしているという手続き論上の主張が可能であった。
ところが岸田政権下においては、軍拡を歓迎する世論が高まっている。軍事費の増額に関しては、「支持する」50%、「支持しない」37%(22年6月調査)。反撃能力の保持に関しては、「賛成」61%、「反対」29%(22年11月調査)である。現在の反戦運動においては、手続き論上の横暴という批判はもう通用しない。

大動乱の時代に新たな反戦運動を

ロシアによるウクライナ侵攻によって、歴史は新たな局面を迎えている。人々はロシアの軍事侵攻に強い危機感を抱き、それがナショナリズムや軍拡のイデオロギーに回収されている。手続き論上の批判に終始したリベラル勢力が反戦を放棄し、大政翼賛体制が構築される可能性がある。かつての戦争では、人々が戦争を礼賛し熱狂するなかで凄惨な結末を迎えた。このままでは戦争に一直線だ。我々労組や反戦を貫く勢力は、今一度決意を固め、一歩も二歩も踏み込んだ反戦運動に躍進しよう。支配者が始める戦争は、労働者階級にとって害悪でしかなく、絶対反対であることを再確認しなければならない。

際限ない軍拡競争進めているのは誰

軍拡を支持する世論の背景には、中国の台湾侵攻や「共和国(朝鮮民主主義人民共和国)」のミサイル問題が喧伝されていることがある。
しかし、「冷静に考えてみよう」。軍事侵攻を行うロシアを擁護する余地はないが、その背景にはNATOの東方拡大があった。同様に、中国が台湾に侵攻する動機があるとすれば、米国が日本ほか同盟諸国と構築している対中国包囲網がある。
「中国の脅威」が喧伝される一方で、米軍とその同盟国がどれだけ「中国への脅威」か語られることはない。
昨年11月には台湾有事を想定した日米統合軍事演習キーン・ソード23が行われた。自衛隊2万6千人、米軍1万人のほか、訓練の一部にはオーストラリア軍、イギリス軍、カナダ軍が加わり、実践を想定した大規模な実動演習が沖縄・南西諸島でくり広げられた。国外での権益を確保するために、遥々太平洋の向こうからやってきて、軒先でドンパチやっている国の方がよっぽどならず者である。東アジアの軍事的緊張を緩和するために、誰が手を引かなければならないかは明確だ。

労働者にとっては団結こそ安全保障

しかし、残念ながら世間は冷静ではいられないのだ。驚異的な物価高、不安定過重な労働環境のなかで子育てや介護に追われ、外敵の脅威を煽られ、分断され、競争させられている労働者に「冷静に考えてみよう」なんて通用するわけがない。人々の不安や混乱の出口として、国家への幻想や弱者への攻撃が起こっている。この閉塞した状況にあって、助けを求める人々に、我々労組や反戦勢力は選ばれていない。我々は人々の信頼を勝ち得る、魅力ある勢力になっていこう。

 

関生支部の組合員にとっては、我々の生活を守っているのは関生支部=組合員の団結に他ならない。国は弾圧して我々の生活を破壊するのであって、「安全保障」などということは信用に値しない。あえて敵の言葉を使うならば、我々にとって組合員の団結こそが安全保障である。支援をいただいている共闘関係の仲間や、海を隔ててエールを送ってくれる韓国の労働者の存在が安全保障である。世界中で搾取や圧政と闘う労働者市民の存在が安全保障である。労働者に国境はない。団結して戦争を止めよう。

 

 


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