相次ぐ値上げ、無策な政府に声を上げよう
2021年末から原油や資材価格が暴騰。また今年に入り多くの食品メーカーも値上げを発表するなど国民の家計を圧迫している。昨年1ドル109円前後から116円台と急激に円安が進み、輸入価格が高騰しているのが原因である。賃金が上がらない状況でのインフレに「悪い円安」との声がささやかれている。
日本では長らく「円安」状態の方がいいとされてきた。他国に輸出する際に同一価格でも他国の貨幣に換算すると割安となるため、競争力が生まれるからだ。一方で「円安」は輸入業者にとっては悪でしかない。輸入物資の価格は上昇、経営を圧迫する。岸田内閣総理大臣が提唱している賃上げどころか、製品の値上げをせざるを得ない状況に追い込まれている。
急激な円安により輸入物資高騰する
この急激な「円安」は日米の金利差が大きな要因であると考えられている。世界各国はコロナを克服するため国民および企業に多額の支援を実施、コロナ渦においても景気回復の兆しを見せている。 アメリカでは景気回復を受け、連邦準備制度理事会(FRB)がコロナ対策として行った金融緩和を縮小する方針を公表。アメリカの金利は上昇していく見通しである。 一方日本では「アベノミクス」と称した量的緩和、低金利を維持していく方針であるため両者の金利差はこれからも開いていくであろうという見通しから「円安」が急速に進んでいる。 また貿易はドル建てで清算されるため、原油など輸入品の価格上昇によるドルの流出が増大し、さらに「円安」に拍車をかける状況になっている。
円の価値が下がり労働者所得も低下
「円安」は円の価値が下がっているということである。価値が下がるのだから賃金を上げなければならないが、現状はそうなっていない。経済協力開発機構(OECD)2020年度調査によると日本人平均賃金は424万円で先進国35ヵ国中22位と低迷。韓国にも2015年に抜かれている。
長引くデフレ、コロナ禍で国民も事業者も憔悴しきっているため内需は衰退の一途をたどっている。他国では正しい政策で成長を続け、コロナ対策で手厚い支援をすることで再び経済が回復しているのだ。
2012年、財界から要請を受けた安倍政権は「円安」に舵を切り現在もそれを継承している。日銀も金利0・25%の指値で無限に国債購入を公言、金利上昇に対して介入を続けている。デフレ下での値上げに何の手立てもしようとしない政府に関係各所から大きな疑問の声が上がっている。
円安は誤った政策 ― 減税で消費喚起を
「円安」は私たち労働者にとって決していいものではない。「円安」による原材料の高騰は全て消費者に付け替えられるだけである。 また金利引き下げ政策により金融機関の業績も悪化。サービスの低下も生じている。本当に必要な政策は、消費を喚起するための消費税廃止、減税、憔悴しきっている中小企業に対する手厚い補助である。大企業中心の政策を続ける政府に対し本質を理解し声を上げていかねばならない。
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