原発新設・再稼働について


シリーズ   学習を創造的活動に活かそう

教育部では、学習を通じて執行委員や組合員のレベルアップに力を入れています。今月のテーマは「原発新設・再稼働について」です。

9月24日、脱炭素社会の実現に向けたGX実行会議で岸田首相は、これまでに稼働した10基の原子力発電所に加え、来夏以降に7基の再稼働を目指す方針を明らかにした。また次世代型原子炉の開発についても言及している。

9月24日、岸田首相は官邸で開催したGX(グリーントランスフォーメーション)実行会議で、電力不足への懸念やロシア・ウクライナ戦争による天然ガスや原油の高騰などを理由として3つの検討項目を打ち出した。一つ目は福島原発事故以降に稼働した原発10基に加え、7基を新たに稼働させること。次世代革新炉を新建設すること。さらに原則40年、最長60年と定められている既存原発のさらなる延長である。

原発の危険性を軽視して方針を転換
福島原発事故以降、事故の危険性を重く見て、原子力発電所の新規建設や増設、建て替えについて歴代経産大臣は「想定していない」として繰り返し述べている。
また原発の運転期間は原子炉等規制法で40年までと規定され、原子力規制委員会に認可されれば一回限り最長20年の延長、すなわち60年の運転ができると定められている。このような差異再延長を認めれば原発の際限ない稼働が行われるのではないだろうか。
昨年10月に閣議決定したエネルギー基本計画では「原発は安全性を最優先し、再生可能エネルギーの拡大を図るなかで、可能な限り依存度を低減する」と明記する一方、2030年度の電源構成では原子力を「20~22%」と従前の目標を据え置いており、経産省はこの数字を達成するためには20基以上の稼働が必要としており大きな矛盾となっている。


合理性がないプルサーマル
プルサーマル計画はすでに破綻している。高速増殖炉「もんじゅ」は2016年末に廃炉。1997年完成する予定だった六ヶ所村の再処理工場も26回目の延期となり完成の見込みが立っていない。フランスから購入しているMOX燃料は高騰を続け、ウラン原料購入価格の約5倍のコストがかかるなどコスト的にも問題となっている。またMOX燃料製造は核先進国といわれるフランスでさえも技術的に難しく、プルトニウムとウランの割合が均一でなかったことを原因としたトラブルも頻繁に生じている。
さらに使用済み核燃料・核廃棄物を貯蔵するプールも満杯になりつつあり、新たな貯蔵施設建設も急務になっている。原発を動かすことにより、さまざまな問題が引き起こされる。安易な原発再稼働や新設は私たちにとってマイナスでしかない。

地元合意を無視
岸田首相は先の会議のなかで原子力規制委員会の安全審査を通過しているものの、地元合意が得られていない原発を念頭に置いて「国が前面に立つ」と話している。地方自治権、基本的人権や生存権を踏みにじろうとする意志の表れに他ならない。閣議決定ですべてを決定しようとする岸田政権にはっきりとNOの声を上げよう。


美浜原発
営業運転を再開した美浜原発

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