関生太鼓


30年ぶりに労働協約の地域的拡張適用が実現

シリーズ 学習を創造的活動に活かそう

教育部では、学習を通じて執行委員や組合員のレベルアップに力を入れています。今月のテーマは「労働協約の地域的拡張について」です。

9月22日、労働協約の地域的拡張適用と言われる決定が厚生労働省より出された。これは、労働組合が会社と結んだ労働協約が、一定の地域の同種の会社に、労働組合の有無や組合員・非組合員の区別なく、すべてに一律で適用されるというものであり、関生支部が標榜する産業別労働運動にも通じる動きである。今回の成果を検証してみる。


産別に年間休日を県内全域で規定

茨城県内の家電量販店社員の年間休日が111日に統一された。厚生労働省がこのような決定を出したのは32年前の1989年である。
今回、適用が決定されたのは茨城県内の大型家電量販店社員について。ヤマダ電機、ケーズホールディングス、デンコードーと、同3社の労組が結んだ年間休日を最低111日とする労働協約が拡張適用になった。
茨城県内では同3社で協約の対象になっている店舗が約50店舗あり、約600人の社員が在籍している。
それ以外は2社5店舗で社員は約60人。新たな適応先会社では年間休日が106日の企業があり、実際に年間休日を底上げすることにつながった。

労働者の闘いで勝ち取った条項

労働協約の地域的拡張適用は、労働組合法第18条に規定がある。
日本では企業内労働組合が大多数を占めるが、労働組合法のなかに、企業の枠を超えた内容を規定する条項が存在することに改めて注目したい。
労働協約の地域的拡張適用について詳しく書かれた古川恵一・川口美貴著『労働協約と地域的拡張適用』によると、労組法第18条のルーツは、戦前の労働運動までさかのぼる。
1937年ごろ労働運動が高揚し、全国各地で労働争議が多発していた。そのなかで多くの労働協約が締結された。当時の内務省が行った調査報告では労働協約の適用範囲について重要な特徴を指摘している。
労働協約を締結した当事者である組合員だけでなく、事業主に使用される組合員以外の労働者の全部または一部にも広がっていた。さらには、労働協約の一部または全部を協約当事者以外の同業種の事業者が準用する例もあった。
具体例としては、摂津酒樽製造業組合と總同盟灘製樽工組合との賃金協定が、京都・奈良などの酒樽工にも準用されていたこと。佐賀県藤津郡下における御山講と吉浦陶友組合との賃金協定が同地方の当事者以外の労使に準用されていたことなどがある。
労組法18条は、突然降ってわいたものではなく、戦前の労働者の闘いで勝ち取った実態が法制化されたものなのである。

産別闘争の前進

2018年夏以来、関生支部への不当弾圧が続いている。産別労組としての取り組みを労働運動と認めることなく裁判所は不当判決を下してきた。また、2019年春には全国港湾がストライキに踏み切った。これは経営側が産別最低賃金についての回答を独禁法に違反する恐れがあるとして渋ったからだ。
国家権力・資本が一体となって産別労組としての実態を破壊しようとする攻撃が続いている。32年ぶりに労働協約の地域的拡張適用。この流れに乗り産業別労働運動の可能性と魅力を発信し、新たな流れをつくっていこう。

 


厚生労働省 ホームページ 労働協約の拡張適用について


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