関生太鼓


労働学校アソシエの特別労働講座 開催

労働運動のあり方を模索していく

労働学校アソシエの特別労働講座「日本で産業別組合は可能か?アメリカILWU(国際港湾倉庫労働組合)から学ぶ?」を開催した。前半は、元全日本港湾労働組合中央執行委員長である、伊藤彰信さんにお話を伺った。後半は、武洋一さん(連帯ユニオン関生支部)、南守(ケアワーカーズユニオン)さん、伊藤彰信さん、山元一英さんでディスカッションを行なった。


伊藤さんには、全港湾運動の歴史と産別交渉の構図と、ILWU(国際港湾倉庫労働組合)の闘い、「働き方改革」体制の構図についてお話しいただいた。
ILWUは、1937年に就労配置権を確立し結成した組合だ。港湾産業の合理化が進む中で、賃金保障プランを確立させるなど、成果をあげてきた。港湾労働者は船会社という共通の敵と闘っているという考え方や、「他人の痛みは我が痛み」の精神など、ILWUの運動から教わることも多い。ILWUによる1934年のストライキが成功した鍵は、黒人労働者への差別を克服したことであるという話が印象的だった。黒人労働者への差別をなくし団結して闘うことによって、スト破りを防ぐことができたのである。


産別労働運動の可能性
後半では、それぞれのパネリストの現場の報告などを交えながら、「日本で産別労働運動は可能か?」というテーマで議論をした。武洋一さんからは、関生支部への弾圧の現状などについて報告があった。また、関生のこれまでの闘いで、業界全体で劣悪な待遇や賃金をどのように改善させてきたのかについて話があった。

介護現場における問題
南さんからは、介護現場における産業全体の課題について報告があった。介護業界は、介護保険という公的な保険によって運営されており、厚生労働省の定めている基準によって価格が決まる。そのため、人件費の低下、サービスの低下によって収益を伸ばそうとする企業が横行している。良心的な企業であればあるほど、すぐに倒産してしまう。このような状況下で、個別の企業に労働条件の交渉をしても無理がある。問題の根幹は、公的な保険制度の問題であり、地方自治体や国など、行政に働きかけていくことが大切である。

産別の労働運動においては、背景資本に責任を求めることが大切である。生コン業界では中小企業を組織して業界団体と交渉をした。しかし、介護業界では交渉するような業界団体が存在しない。例えば大阪では、役所と個々の企業が直接やりとりをしているような状況だ。しかし、介護業界には料金制度が残っている。これを利用して、労働組合による労働者供給事業を活用。組合員を派遣して雇用を確保するなど、マイナス成長の時代における労働運動のあり方を模索していく必要があると伊藤さんから提言があった。

労働者の団結をチカラに
産別運動を強固にするためには、各現場で6割以上の勢力を確保する必要がある。そのためにも、こちらが誠意を示し、一人ひとりの労働者に信頼されていく必要があると武洋一さんはまとめた。南さんは、介護業界においてはまずは組合の実力が足りない、役人に対して倫理的に圧倒するだけではなく、まともに利用者と向き合いたい企業を組織化の起点にし、実力をつけていく必要があるとまとめた。

【 通信 / 労働学校事務局 】


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