破たんした、核燃料サイクル政策
もんじゅ(福井県)が廃炉となり、核燃料サイクル政策は、実行不可能。
政府や電力業界による核燃料サイクルの発電政策として、日本原燃が建設している「使用済み核燃料の再処理工場」(青森県六ヶ所村)を原子力規制委員会が、新規制基準に適合するとの審査書案を了承しました。(*)
20年たっても完成しない、再処理工場
再処理工場は1997年の完成を予定していましたが、トラブルが相次ぎ、試運転開始後には東日本大震災が起きるなど、審査に時間とコストがかかっていました。
今回、審査書案は了承されましたが、詳細な設計の審査や安全対策の工事、地元の同意を得る必要など課題が多いことから、日本原燃がめざす21年度の完成は不明確です。
原爆6千発相当のプルトニウム保有
全国の原発では、施設内の燃料プールが満杯に近づいており、使用済み核燃料が再処理工場への搬出を待っている状態とのことですが、再処理工場が稼働すれば、年間約7トンのプルトニウムが新たに抽出され、その使い途がないことが問題なのです。
プルトニウムを消費するための高速炉は、ナトリウム漏れ事故を起こした原型炉もんじゅの廃炉で開発が行き詰まり、後継の実証炉をつくるめどもたっていません。
ウランとプルトニウムをまぜたMOX燃料を普通の原発で燃やすプルサーマルも4基と想定の約20%で遠く及ばず、プルトニウムの大量消費は叶わないのです。
現在、国内外にある日本のプルトニウムは、6千発の原爆に相当する46トンにものぼっており、その削減が日本の国際公約になっています。それなのに、新たにプルトニウムを抽出すれば、「唯一の戦争被爆国なのに、本当にプルトニウムを減らす気があるのか」と国際社会からの批判は免れず、「核保有の意図」が疑われます。
政府は、プルサーマルで消費する量を超えない範囲に再処理の量を抑える方針ですが、保有量を減らすべきプルトニウムを抽出するというのは、明らかに矛盾しています。
費用は国民に負担
経済性の面でも、核燃料サイクル政策の費用負担は膨大です。普通の原発ですら発電コストが上がり、競争力を失っているのに、再処理工場は建設費が当初の4倍の2・9兆円に膨らみ、今後の運転や廃止措置を含む総事業費は14兆円近いことが明らかになっています。
膨大な総事業費などのコストは電気料金に上乗せされ、そのツケを国民に負担させることを許してはいけません。
欧米をはじめ先進国の多くは、核燃料サイクルは採算が取れないとして撤退してるさなか、日本の再処理やプルサーマルは、大企業の利益を優先する政策を安倍政権が進めているのです。
安倍打倒の運動を展開させよう
再処理工場の稼働は、核不拡散や経済性、エネルギー安全保障などの面で合理性がないのに、安倍政権が従来通りの原子力政策に固執するのは、政府と電力業界がもたれ合っているからです。
すでに破たんしている核燃料サイクル政策を推し進め、大企業優位政策を続けて大衆に犠牲を強いる安倍政権を弾劾し打倒する運動を強化しましょう。
(*) 審査では、基準への適合性を良しとしたのであり、事業の妥当性や将来性良しとしたのではない。
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
六ヶ所再処理工場より
出典: フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)』
六ヶ所再処理工場より
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