自らの権利守ろうとデモに参加
香港では、「逃亡犯条例」改正案に反対するデモが拡大し、6月9日には103万人、同月16日には200万人規模に膨れ上がり、7月1日に立法会近くで発生したデモは香港の歴史上最大規模となった。
若者たちが政治を動かす
デモの最前線に立っていたのは20歳前後の若い世代だった。
なぜ彼らはデモに参加し、政府を動かすことができたのだろうか。この抗議活動は表面上、犯罪容疑者の中国本土への引き渡しを認める「逃亡犯条例」の改正案に反対するものだが、そこには改正案以上の理由がある。
香港ではイギリスからの返還以降、「一国二制度」という特別な制度の下で基本的人権や様々な自由が保障されてきた。例えば、中国国内にありながら天安門事件について市民が追悼できる、数少ない地域となっている。しかしこの制度を支える香港特別行政区基本法は、2047年に失効する。その後の香港がどうなるのかは分からない。香港の今の若者にとって2047年は目前に迫っている。この不安感が若者たちを駆り立てたと考えられる。
デモは意見表明の手段
中国の国歌に敬意を表さないと罰せられる最近の法律や、民主派および独立派の議員の資格はく奪、独立派活動家の拘束といった中国政府の動きを批判する若者もいる。2012年には政府が「愛国教育」を義務化しようとしたが、これは就学児童を「洗脳」し、中国の人権侵害をごまかすものだという批判が相次いだ。香港に住む人々の大半は民族的には中国人でも、大半の人々は自分たちを中国人とは思っておらず、「香港人」だと認識している。
中国からの独立を訴える若い活動家もおり、これが中国政府を警戒させているようで、今回のデモの参加者は、「逃亡犯条例」の改正案が通れば、中国政府による事実上の香港統治が始まると考えている。
香港は「デモの都」と呼ばれるほどデモが盛んだ。デモは自分たちの声を聞いてもらう数少ない手段として根付いている。中国の司法は反体制派に対して極めて厳しく、もし「政治犯」とされた者が大陸に送られる仕組みができたら、自由な社会という香港の独自性は失われ、「香港は終わる」と若者は強い危機感を持っているのだ。
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