用語解説
1 恐慌
景気変動の後退局面で、需要の急速な低下、商品の過剰、物価の下落、信用関係麻痺(まひ)、企業倒産、失業が急激かつ大規模に生じ、一時的に経済活動全体が麻痺すること。経済恐慌。パニック。
2 バラク・オバマ
バラク・フセイン・オバマ・ジュニア(1961~)。米国の政治家。ハワイ州生まれ。第44代アメリカ合衆国大統領当選者。政党は民主党。選挙により選ばれたアメリカ史上3人目のアフリカ系上院議員(イリノイ州選出、2005年 - 2008年)。2008年アメリカ大統領選挙で当選後、任期を約2年残して上院議員を辞任した。
アメリカ大統領としては初のアフリカ系・1960年代以降生まれ・ハワイ州出身者となる。
3 小室哲哉
小室哲哉(1958~ )。東京都府中市出身の音楽プロデューサー、作詞家、作曲家、編曲家、キーボーディスト、シンセサイザープログラマー、ミキシングエンジニア、DJ、アーティスト。
2008年11月4日、著作権譲渡を巡り、投資家の男性から計5億円をだまし取ったとして詐欺罪で逮捕。後日、起訴された。
4サブプライムローン
主に米国において貸し付けられたローンのうち、信用度の低い人向けのローンのこと。狭義には、住宅を担保とする住宅ローンに限定され、広義には、自動車担保など住宅以外を担保とするものを含む。一般的に他のローンと比べて信頼度が低い。
2007年夏頃から、主に住宅ローン(狭義のサブプライムローン)返済の延滞率が上昇し、住宅バブルがはじけ、これを組み入れた金融商品の劣化をきっかけとした世界的な金融不安が発生している。
5 株暴落
2008年9月29日、今回の金融危機に対処するための公的資金注入を定めた緊急経済安定化法案が米下院で否決されるとNYダウは史上最悪となる-777ドルをつけるなど、一気に金融信用収縮が加速。 10月1日には下院で修正案が可決されたものの、7日にはロシアでは株価が19%下落し、アイスランドでは対ユーロでクローナが30%下落し、同国では全ての銀行が国有化されるなど、未曽有の世界同時金融危機が本格化した。 翌8日、NYが-678ドルをつけると、日経平均は翌日881.06円安(-9.62%、過去3番目/当時)と暴落した。
6 ファンド
ファンドとは「基金」の意味で、多数の人から資金を募り、それで投資などを行う集団投資スキームを指すが、最近は投資信託の名前に使われることも多くなってきたので、投資信託それ自体のことを指す場合もある。
7 カール・マルクス
カール・マルクス(1818~1883)。ドイツの経済学者・哲学者・革命家。ヘーゲルの観念的弁証法、フォイエルバッハの人間主義的唯物論を批判して弁証法的唯物論を形成。これを基礎にフランス社会主義思想の影響の下で古典派経済学を批判的に摂取、資本主義から社会主義へと至る歴史発展の法則を明らかにするマルクス主義を創唱。また、終生革命家として国際共産主義運動に尽力した。主著「資本論」。
8 空売り
他人から株券を借りてきて売却すること。
株式を持っていない投資家が証券会社などから株券を借りてきて、その株式の売却を行う信用取引のひとつ。「信用売り」ともいう。
空売りは、近い将来に株価の下落が予想されている局面で、投資家にとって有効な取引手段となる。なぜかと言うと、借りてきた株券は一定期間後に証券会社に返さなければならないが、売却時の株価よりも安く買い戻すことができれば、その差額が投資家の利益となるからだ。反対に、株価が値上がりしていれば損が発生するといったリスクを伴う。
9 バーゼル規定
国際業務を行う銀行の自己資本比率に関する国際統一基準。BIS規制とも言う。BIS規制では、G10諸国を対象に、自己資本比率の算出方法(融資などの信用リスクのみを対象とする)や、最低基準(8%以上)などが定められ、自己資本比率8%を達成できない銀行は、国際業務から事実上の撤退を余儀なくされる。
10 金融自由化
政府によって管理されている金利、業務分野、金融商品、店舗などの規制を緩和すること。金利の自由化や、金融機関の業務分野規制の緩和、国内外の資本取引の自由化などの総称となっている。米国では1970年代から金融の自由化が始まり、日本では1980年代になってから個人金融資産の増加や、海外との相互依存関係により急速に加速した。1994年に預金金利の自由化が完了している。
11 護送船団方式
日本の行政手法の一つ。軍事戦術として用いられた「護送船団」が船団の中で最も速度の遅い船に速度を合わせて、全体が統制を確保しつつ進んでいくことになぞらえて、日本の特定の業界において一番経営体力・競争力に欠ける事業者(企業)が落伍することなく、存続していけるよう、行政官庁がその許認可権限などを駆使して業界全体をコントロールしていくことである。
特に、第二次世界大戦後の日本の金融行政において典型的にみられるが、金融業界以外でも様々な業界で行政官庁の強力な行政指導が存在し、これらも「護送船団方式」と表現されることがある。
12 レバレッジ
経済活動において、他人資本を使うことで、自己資本に対する利益率を高めること、または、その高まる倍率。
13 CDS
クレジット・デフォルト・スワップ(Credit default swap)のこと。貸付債権の信用リスクを保証してもらうオプション取引。従来の銀行保証をデリバティブ(金融派生商品)につくり変えたもので、貸付債権にデフォルト(債務不履行)が起こった際に、その損害額を保証してもらう。
信用リスクを回避しようとする者をプロテクション(保護)の買い手、保証を与える者をプロテクションの売り手と呼ぶことにすると、クレジット・デフォルト・スワップは、プロテクションの買い手が、売り手にプレミアムを支払って、ローン債権の返済の保証を得る取引。プレミアムの支払方法にスワップ(交換)の形式が利用されるところから、一般にクレジット・デフォルト・スワップと呼んでいる。他に、デフォルト・プットやデフォルト・プロテクションとも言う。
14 シャドーバンキングシステム
サブプライム問題が表面化する前、欧米の大手金融機関は連結決算の対象から外せるペーパーカンパニーを相次ぎ設立し、多額の資金を調達・運用してきた。このシステムをシャドーバンキングシステムと言う。中央銀行などが銀行経営には厳しい監督の目を光らせる半面、こうした簿外の資金調達は野放しになっていた。
15 ロバート・ルービン
ロバート・エドワード・ルービン(1938年~)。米国の銀行家・財政家。1960年ハーバード大学卒業。米国投資銀行大手ゴールドマン・サックスに26年間勤務。 その後、ホワイトハウスで国家経済会議(NEC)委員長と財務長官として6年強、政界に身を置く。
現在は世界最大の金融グループであるシティグループの経営執行委員会会長。
16 G20
G8は日本、アメリカ、イギリス、ドイツ、フランス、イタリア、カナダ、ロシアがメンバーだが、G20では、それにアルゼンチン、オーストラリア、ブラジル、中国、インド、インドネシア、韓国、メキシコ、サウジアラビア、南アフリカ、トルコ、ヨーロッパ連合(EU)が加わる。
G20による財務相・中央銀行総裁会議が2008年11月8日・9日(現地時間)、ブラジルで開かれた。今回の金融問題を受け、金融取引に対する規制強化などが話し合われた。同月14日・15日には米国ワシントンで、G20の首脳と財務大臣らによる金融サミットが開催された。
17 BRICS
経済発展が著しいブラジル (Brazil)、ロシア (Russia)、インド (India)、中国 (China) の頭文字を合わせた4ヶ国の総称。
18 村上ファンド
元通商産業省官僚の村上世彰(よしあき)氏、元野村證券次長の丸木強氏、元警察庁官僚の滝沢建也氏らが率いていた、投資、投資信託、企業の買収・合併に関わるコンサルティングを行っていたグループの通称。中核となる企業は、株式会社M&Aコンサルティングや株式会社MACアセットマネジメント。
2006年6月5日、 村上世彰氏は証券取引法違反(インサイダー取引)で逮捕され(村上ファンド事件)、1審では懲役2年、罰金300万円、追徴金11億4900万円の実刑判決が下された(係争中)。
19 市場原理主義
全てを市場に委ねれば公平さと繁栄が約束され、市場へのいかなる干渉も社会的幸福の減少につながるとする思想的立場。
20 フリードマン
ミルトン・フリードマン(1912~2006)。米国の経済学者。20世紀後半の主要な保守派経済学者の代表的存在。戦後、貨幣数量説であるマネタリズムを蘇らせマネタリストを旗揚げ、反ケインズ主義の宗主として今日の経済に多大な影響を与えた。米国のレーガノミックス(レーガン政権)や英国のサッチャー政権の経済政策の理論的支柱を提供した。日本の小泉純一郎政権の「聖域なき構造改革」についても、大きな影響を与えたと言われている。
21 シカゴ学派
シカゴ大学を中心に確立された競争と自由市場の有効性を説く学派。現代では、新自由主義とマネタリズムを標榜する。
22 チャベス
ウゴ・ラファエル・チャベス・フリアス(1954~)。ベネズエラの政治家、第53代同国大統領。
1998年の大統領当選以降、チャベスは国民投票によって新憲法を制定し、旧体制を解体。石油産業を国家の統制下に置き、新自由主義政策を大きく転換。当初は、貧困層への緊急救援政策を中心に実施。そして、インフレ抑制策、土地改革を推進し、教育機会均等化をはかり、協同組合運動を推進し、小規模企業の開発計画を推進した。また、低価格で食料を、無償で医療を提供。一方では、直接民主制を広く導入し、住民参加の民主主義を推進するため「住民自治体」の組織化を進める。
23 南の銀行
南部銀行(Bank of the South、バンコ・デル・スル)のこと。2007年12月、南米7ヶ国(アルゼンチン、ブラジル、パラグアイ、エクアドル、ボリビア、ベネズエラ、ウルグアイ)が世界銀行や国際通貨基金に対抗して開設した開発銀行。
調印式でブラジル・ルラ大統領は、同銀は「インフラ整備、科学技術などの主要な経済分野に出資し、地域により均衡をもたらす」と述べた。またブラジル政府報道官は、新銀行が「域内の統合と南米国家共同体の強化に重要な役割を果たす」との見方を示した。
24 国際通貨基金
国際通貨基金(International Monetary Fund, IMF)は、1944年7月、米国ブレトン・ウッズにおいて開催された連合国通貨金融会議(通称、「ブレトンウッズ会議」)において調印されたIMF協定に基づき、1946年3月に設立された国際金融機関。通貨に関する国際協力の促進、為替の安定促進、加盟国の国際収支不均衡を是正するための基金の一般資金を一時的に加盟国に利用させることなどを目的としている。
25 基軸通貨
国際間の決済や金融取引に広く使用される通貨。英ポンドは19世紀半ば以降、国際金融の中心地としてのイギリスの強力な立場を背景に基軸通貨としての役割を担っていたが、第一次世界大戦で欧州各国は経済が疲弊し逆に米国は戦争特需で経済が急成長したため、(正式では無いが)基軸通貨が機能面で英ポンドから米ドルへ移り、第二次世界大戦後は米国がIMF体制の下で各国中央銀行に対して米ドルと金との交換を約束したこと及び米国の経済力を背景に米ドルが名実共に基軸通貨となった。
26 ニクソン・ショック
1971年米国が、それまでの固定比率によるドルと金の交換を停止したことによる、国際金融の枠組みの大幅な変化を指す。ニクソン大統領(当時)が国内のマスメディアに向けこの政策転換を発表したことにより、ニクソンの名を冠する。ショックと呼ぶのは、この交換停止は米国議会にも事前に知らされておらず極めて大きな驚きを与えたこと、またこの交換停止が世界経済に甚大な影響を与えたことによる。ドル・ショックとも呼ばれる。
27 年次改革要望書
正式名称は「日米規制改革および競争政策イニシアティブに基づく要望書」。日米両政府がそれぞれに対しての要望をまとめた公文書であり、毎年10月に提出される。
米国側からの要望が施策として実現した例は、郵政民営化、労働者派遣法改正、健康保険の本人3割負担、新会社法の三角合併制度など多岐に渡る。
28 金融工学
資産運用や取引、リスクヘッジ、リスクマネジメント、投資に関する意思決定などに関わる工学的研究全般を指す。
29 正規分布
数学で、統計資料をいくつかの階級に分けたとき、その平均値の度数を中心に、正負の値の度数が同程度に広がる分布。グラフは正規曲線となる。ガウス分布。
30 安保闘争
1959年から翌年にかけて展開された、日米安全保障条約の改定に反対する闘争。1960年の自民党による強行採決後の6月には全国的な運動に発展し、岸内閣は条約の自然承認後7月に退陣した。また、1970年の条約延長に対しても激しい反対運動が展開された。
31 クリスチャン・ハーター
クリスチャン・アーチボルド・ハーター( 1895~1966)。米国の政治家。1953年~1956年までマサチューセッツ州知事を、1959年~1961年まで国務長官を務めた。
32 アメリカ通商代表部(USTR)
アメリカ大統領府内に設けられた通商交渉のための機関。USTR長官にあたる通商代表は、閣僚級ポストで大統領に直属。大使の資格を持ち、外交交渉権限を与えられている。
33 経済財政諮問会議
日本の内閣府に設置される「重要政策に関する会議」の一つ。内閣総理大臣の諮問を受けて、経済財政政策に関する重要事項について調査審議する。2001年1月の中央省庁再編とともに設置され、設置根拠は内閣府設置法第18条。
34 アインシュタイン
アルベルト・アインシュタイン(1879~1955)。ドイツの理論物理学者。
20世紀に於ける物理学史上の2大革命として”量子力学”及び”相対性理論”が挙げられるが、以前から論理的に展開されていた相対性原理(アンリ・ポアンカレ、ジョゼフ・ラーモア、ヘンドリック・ローレンツなど)に新しいいくつかの仮定を導入し物理学における相対性理論の基礎を築き上げたその業績から、20世紀最大の理論物理学者と目されている。
光量子仮説に基づく光電効果の理論的解明によって1921年のノーベル物理学賞を受賞。
35 ゼロ金利
1999年2月から日本でとられた金融政策のこと。
1998年、バブル崩壊後最悪の経済状況となる中で、大規模な財政政策がとられた。金融政策においても緩和が求められることになり、1999年2月、短期金利の指標である無担保コール翌日物金利を史上最低の0.15%に誘導することが決定された。このゼロ金利政策は2000年8月に一度解除された後、2001年3月には量的金融緩和政策が導入されて再び短期金利が実質的にゼロとなった。2006年7月、ゼロ金利政策は5年4ヶ月ぶりに解除された。
この政策が長引いた結果、国民や企業の金利所得が大幅に減った。その一方で、企業の評価損による累積債務を償還するのに大きく役立った。
36 新古典派経済学
経済学における学派の一つ。日本においてはマルクス経済学に対する近代経済学の一派に数えられてきた。
もともとはイギリス古典派の伝統を重視したマーシャルの経済学を指したとされるが、一般には限界革命以降の限界理論と市場均衡分析を取り入れた経済学を指す。数理分析を発展させたのが特徴であり、代表的なものにワルラスの一般均衡理論や新古典派成長理論などがある。新古典派においては物事を需給均衡の枠組みで捉え、限界原理で整理し限界における効率性の視点で評価を行う。
37 住宅金融公庫(連邦住宅金融抵当金庫)
連邦住宅金融抵当金庫は米国の金融機関。フレディ・マックの愛称が広く浸透している。
連邦住宅抵当公庫(FNMA、ファニーメイ)と役割はほぼ同じであり、ニューヨーク証券取引所に上場している民間企業である。民間企業であるが公共的な事業目的から、発行債券には政府の暗黙保証があるとされる。サブプライムローン問題で保有する住宅担保証券の価値が目減り(結果的に自己資本の減少)し、2008年9月現在米国政府の管理下にあり、普通株および優先株の配当が停止されている。
38 マルクス経済学
カール・マルクスの主著『資本論』において展開された経済学の諸カテゴリー及び方法論に依拠した経済学の体系。
マルクスは、アダム・スミス、デヴィッド・リカードらのいわゆるイギリス古典派経済学の諸成果、殊にその労働価値説を批判的に継承し、「剰余価値」概念を確立するとともに、その剰余価値論によって資本の本質を分析し、同時に古典派経済学の視界を越えて、資本主義の歴史的性格をその内的構成から解明しようとした。
39 アダム・スミス
アダム・スミス(1723(洗礼日)~1790)。イギリスの経済学者・哲学者。主著は『国富論』。「経済学の父」と呼ばれ、近代経済学の基礎を築いた。経済活動を個々人の私利をめざす行為に任せておけば「神の見えざる手」により社会全体の利益が達成されるとし、自由放任主義経済を主張した。
40 リカード
デヴィッド・リカード(1772~1823)。自由貿易を擁護する理論を唱えたイギリスの経済学者。各国が生産性の高い商品を重点的に輸出することによって、それぞれの国が富を得るという「比較生産費説」を主張した。また、労働価値説の立場に立ち、 経済学を体系化することに貢献し、古典派経済学の経済学者の中で最も影響力のあった一人である。
41 近代経済学
「限界革命」以降の経済学体系のうち、マルクス経済学以外のものの総称であり、ミクロ経済学とマクロ経済学に大別される。
この呼称は日本独特のもので、マルクス経済学が主流であった時代に用いられるようになった。呼称が広まった当時は近代経済学=ケインズ経済学であった。マルクス経済学が論理的・文章的に資本主義を分析することに重点を置いているのに対し、近代経済学においては多くの場合数学的モデルを仮定してその最適解を求めることに重点が置かれる。
42 郵政民営化
旧郵政省から継承して郵政公社が運営していた郵政三事業(郵便・簡易生命保険・郵便貯金)と窓口サービスを国から民間会社の経営に移行すること。2005年に成立した郵政民営化法案に基づき、2007年10月に実施され、日本郵政グループに分社化された。
43 国鉄の分割・民営化
中曽根康弘内閣が実施した政治改革。 日本国有鉄道(国鉄)をJRとして6つの地域別の旅客鉄道会社(JR東日本・JR東海・JR西日本・JR北海道・JR四国・JR九州)と1つの貨物鉄道会社(JR貨物)などに分割し民営化するものである。これらの会社は1987年4月1日に発足した。
44 終身雇用制度
学校を卒業してから1つの企業に就職し、その企業で定年まで雇用され続けるという、正社員雇用における雇用慣行。
45 年功序列型賃金
仕事の資格や職務内容ではなく、おもに年齢と勤続年数によって賃金が決定される賃金システム。
46 企業別労働組合
1つの企業を単位に結成される労働組合のこと。日本の労働組合の大多数がこれにあたる。組合員の資格は、その企業の正社員に限られている場合が多い。欧米では,企業の枠をはなれて、同じ種類の産業ごとに労働者が集まって結成される産業別労働組合の力が、企業別組合より強い。
47 レイオフ
不況による操業短縮などに際し、余剰となった従業員を景気回復後に再雇用する条件で一時解雇する制度。日本では、一時帰休の意に用いることもある。
48 ヒトラー
アドルフ・ヒトラー(1889~1945)。ドイツの政治家。オーストリア生まれ。第一次大戦後、ドイツ労働者党に入党、党名を国家社会主義ドイツ労働者党(ナチス)と改称して1921年に党首となった。23年、ミュンヘン一揆に失敗して入獄。世界恐慌による社会の混乱に乗じて党勢を拡大し、33年に首相、翌年総統となり全体主義的独裁体制を確立。侵略政策を強行して、39年第二次大戦をひき起こしたが、敗戦直前に自殺。著「わが闘争」。ヒットラー。
49 協同組合
農林漁業者・中小商工業者、または消費者などが、その事業や生活の改善を図るために、協同して経済活動などを行う組織。農業協同組合・生活協同組合など。
50 NPO
Non-Profit Organizationの略で、ボランティア団体や市民活動団体などの「民間非営利組織」を広く指す。つまり、株式会社などの営利企業とは違って、「利益追求のためではなく、社会的な使命の実現を目指して活動する組織や団体」のこと。
このうち「NPO法人」とは、特定非営利活動促進法(NPO法、1998年12月施行)に基づき法人格を取得した「特定非営利活動法人」の一般的な総称。
51 国際協同組合連盟(ICA)
1895年に設立され、本部をジュネーブに置く世界の協同組合の連合組織で、生協・農協・漁協・森林組合・労働者協同組合・住宅協同組合・信用協同組合など94ヶ国の協同組合組織が加盟している。組合員総数は7億6,000万人に達している。
ICAは国連の経済・社会・教育活動を統括する経済社会理事会から特別の諮問機関の地位を与えられており、その他国連の協同組合関連プロジェクトを遂行する国連開発計画(UNDP)・国際労働機関(ILO)・国連食糧農業機関(FAO)・国連教育科学文化機関(UNESCO)などの国連専門機関とも密接な協力関係を築いている。
52 グラミン銀行
バングラデシュにある銀行。『貧者の銀行』として知られている。ムハマド・ユヌスが1983年に創設した。マイクロクレジットと呼ばれる貧困層を対象にした比較的低金利の無担小額保融資を主に農村部で行っている。2006年ムハマド・ユヌスと共にノーベル平和賞を受賞した。受賞理由は「底辺からの経済的および社会的発展の創造に対する努力」である。
本部はバングラデシュの首都ダッカに所在する。2006年5月現在、2,226の支店を持ち、バングラデシュにある村の86%以上にあたる、72,096の村でサービスを行っている。667万人の借り主のうち97%が女性である。
53 NPO銀行
社会貢献的な活動を行う個人や組織に対して、低金利で融資を行うような金融機関のこと。資金難に苦しむNPO(非営利組織)の新たな「資金調達先」として注目されており、近年、設立が相次いでいる。具体的には「環境保護活動」や「福祉活動」などの目的を予め定めた上で、その趣旨に賛同した個人や団体などから寄付金や出資金を募り、審査にパスした個人や団体に対して低金利で融資を行う。「apバンク」「北海道NPOバンク」などの組織が知られる。
54 プルードン
ピエール・ジョセフ・プルードン(1809~1865)。フランスの社会主義者、無政府主義者。自ら立てた「財産とは何か?」という問いに、プルードンは「財産とは盗みだ!」と答えたのは有名。
「プルードンは私的所有の弊害を見て共同所有を求めることも、私的所有の弊害を無視することも、ともに有害であるとして、人は矛盾とともに生きる覚悟を持ち、バランスを保つべく認め合い協力する「相互主義」が大切であると述べた。その思想を現実化するために1849年に27千名の会員による『人民銀行』という名の相互信用金庫を創設するとともに会員相互に通用する地域通貨を発行した」。(本山美彦著『金融権力』より)
55 イスラム金融(イスラム銀行)
イスラム銀行は、イスラム(イスラム教)の教義、慣行に基づいて運営される銀行のこと。イスラム教徒は、シャリーア(イスラム法)において利子を取ることが禁止されているため、基本的に無利子の金融機関として運営される。
56 ロシア革命
20世紀初頭のロシアに起こった一連の革命。第一次革命は、ロマノフ王朝の専制支配に対する不満を背景に、1905年1月の血の日曜日事件を機として起こり、全国ゼネスト、戦艦ポチョムキンの反乱などで頂点に達したが、国会開設勅令の発布やモスクワでの武装蜂起の失敗により鎮静化した。第二次革命は、第一次大戦での敗北や社会不安から、1917年3月に労働者や兵士が蜂起、帝政を打倒してケレンスキーの臨時政府が成立。さらに、11月、レーニンの指導するボリシェビキ(政党名)がプロレタリア独裁を目ざして武装蜂起し、史上初の社会主義政権を樹立した。
57 米騒動
米価の暴騰をきっかけとする民衆暴動。特に1918年、富山県魚津町で起こったものは全国的に広まり、軍隊が出動して鎮圧した。この事件で寺内内閣は総辞職した。
58 河上肇
河上肇(1879~1946)。日本の経済学者。京都帝国大学でマルクス経済学の研究を行っていたが、教授の座を辞し、共産主義の実践活動に入る。日本共産党の党員となったため検挙され、獄中生活を送る。カール・マルクス『資本論』の翻訳(第一巻の一部のみ翻訳)やコミンテルン三十二年テーゼの翻訳のほか、ベストセラー小説『貧乏物語』で知られる。死後に刊行された『自叙伝』は広く読まれた。名文家であり、漢詩もよく知られている。
59 マイケル・ポランニー
マイケル・ポランニー(1891~ 1976)。ハンガリーの物理化学者・社会科学者・科学哲学者。暗黙知・層の理論・創発・境界条件と境界制御・諸細目の統合と包括的全体、等の概念を1950年代に提示した。
60 カール・ポランニー
カール・ポランニー( 1886~1964)。経済学者。経済人類学の創始者とされる。経済史の研究を基礎に経済人類学の理論を構築した。
ウィーンのユダヤ人の家に生まれ、ハンガリーのブタペストに育ち、イギリス・アメリカを亡命の旅をしながら活躍、カナダに没した。
61 W・A・ルイス
ウィリアム・アーサー・ルイス(1915~1991)。イギリスの開発経済学者。1979年にルイスはセオドア・シュルツとともにアルフレッド・ノーベル記念経済学スウェーデン銀行賞(ノーベル経済学賞)を受賞した。ルイスは平和賞以外のノーベル賞を受賞した初の黒人である。
62 市民革命
新興の産業資本家を中心とする市民階級が封建制を打破して、政治的・経済的支配権を獲得し、近代資本主義社会への道を開いた社会変革。17世紀のイギリス革命、18世紀のフランス革命など。ブルジョア革命。
63 原始資本主義
原始的蓄積過程にある資本主義のこと。
資本の原始的(本源的蓄積)とは封建制社会が解体し、資本制社会が成立する過程における生産様式の変化をさす。
この時期、各国では生産手段である土地から引き離された大量の農民が賃金労働者となった。彼らは法的な保護もなく非常に劣悪な条件下で働かされた。そして、それによって雇用主は大きな利潤を得た。こうして資本主義の発展の基礎を形成された。
64 重商主義
16世紀末から18世紀にかけて西ヨーロッパ諸国において支配的であった経済思想とそれに基づく政策。自国の輸出産業を保護育成し、貿易差額によって資本を蓄積して国富を増大させようとするもの。イギリスのトマス=マンらが代表。フランスではコルベールによって推進された。
65 管理通貨体制
金本位制度では、通貨の発行は、金をもとにして行われるから、経済が複雑になると、経済の動きに応じた通貨の増減が難しくなる。管理通貨体制(制度)は、通貨発行機関(政府や中央銀行)が最適と思われる通貨量を決めて通貨量を管理・調節する制度である。
66 ブレトンウッズ機構
1944年7月、連合国44カ国が、米国のニューハンプシャー州ブレトンウッズに集まり、第二次世界大戦後の国際通貨体制に関する会議を開催、国際通貨基金(IMF)協定などが結ばれた。この際、これまでの金だけを国際通貨とする金本位制ではなく、ドルを基軸通貨とする制度を作り、ドルを金とならぶ国際通貨とした。IMF体制または金・ドル本位制。
67 労働金庫
1953年制定の労働金庫法に基づき、労働組合・消費生活協同組合その他の労働者団体が協同して組織・運営する労働者のための金融機関。営利を目的とせず、会員全体に奉仕することを原則とする。労金。
68 ブラックマンデー
暗黒の月曜日とも言う。1987年10月に起こった史上最大規模の世界的株価の暴落。ニューヨーク株式市場の暴落を発端に世界同時株安となった。
1987年10月19日月曜日、ニューヨーク株式市場が過去最大規模の暴落。ダウ30種平均の終値が前週末より508ドルも下がり、この時の下落率22.6%は、世界恐慌の引き金となった1929年の暗黒の木曜日(ブラック・サーズデー)(下落率12.8%)を上回った。翌日アジアの各市場にこれが連鎖。日経平均株価は3,836.48円安(14.90%)の21,910.08円と過去最大の暴落を起こした。更にヨーロッパの各市場へもつながっていった。
しかし、日本の株式市況の早い回復、各国の政策協調によって恐慌を招くことなく終わった。
69 バブル崩壊
バブル景気とは日本の経済史上で1980年代後半~1990年代初頭にかけてみられた好景気である。指標の取りかたにもよるが、概ね、1986年12月から1991年2月までの4年3か月(51ヶ月)間を指すのが通説となっている。
過剰な投機熱による資産価格の高騰(バブル経済)によって支えられ、その崩壊(バブル崩壊)とともに急激に後退。同時に1973年より始まった安定成長期も終焉を迎え、その後の平成不況(複合不況、失われた10年)の引き金となった。
70 アジア通貨危機
1997年7月よりタイを中心に始まった、アジア各国の急激な通貨下落(減価)現象である。この現象は東アジア、東南アジアの各国経済に大きな悪影響を及ぼした。狭義にはこの現象のみをさすが、広義にはこれによって起こった金融危機を含む経済危機を指す。
71 ITバブル
1990年代後半、米国市場を中心に起ったインターネット関連企業の実需投資や株式投資の異常な高潮。情報・通信産業の急激な発展と、それに過大な期待を寄せた投資家の過剰投資によってもたらされたバブル現象である。
ドットコム会社と呼ばれる多くのIT関連ベンチャーが設立され、1999年から2000年初め頃をピークに株価が異常に上昇したが、2000年春頃、バブルははじけた。
72 ロバート・オウエン
ロバート・オウエン(1771~1858)。イギリスの社会改革家。
人間は環境によって変えられる、とする環境決定論を主張した。ニュー・ラナークで繊維工場を経営する事業家だったが、低所得の労働者階層の実情を目の当たりにし、幼少の子どもの工場労働を止めさせ、性格改良のための幼児の学校を工場に併設。性格形成学院と名づけた。幼児教育の最初の試みで、幼稚園の生みの親といわれるフリードリヒ・フレーベルよりも先んじて、就学前の子どものための学校を実践。教室での掛け軸の利用など、教育方法にも工夫を凝らした。
また協同組合などの事業も手がける。後、アメリカに渡って私財を投じてインディアナ州において共産主義的な生活と労働の共同体(ニューハーモニー村)の実現を目指すが失敗した。
著書に、『ロバート・オウエン自伝』、『新社会観』がある。 日本国内に、ロバート・オウエン協会がある。
73 阪神地区生コン協同組合
幸森俊夫理事長。阪神地区の生コン専業社(アウト企業)によって新たに結成された協同組合。08年10月24日設立。12月4日に設立記念式典を開催した。48社53工場が加盟(12月4日現在)。
既成協同組合がセメントメーカー主導であるのに対し、阪神協は「専業の、専業による、専業のための」公平で民主的な協同組合を目指している。
74 アリストテレス
アリストテレス(前384年~前322)。古代ギリシアの哲学者。中世スコラ学に影響を与えた。プラトンの弟子であり、ソクラテス、プラトンと共に、しばしば「西洋」最大の哲学者の一人とみなされるほか、その多岐にわたる自然研究の業績から、「万学の祖」とも呼ばれる。アリストテレスは「善く生きる」ためには、必要に応じた交換のみが認められるべきであり、クレマティスティケ(=金儲けを目的とした交換活動)は禁止されるべき、とした。
75 先物商品市場
先物商品を扱う市場のこと。先物取引とは、いわゆるデリバティブ(派生商品)の一つで、価格や数値が変動する各種商品・指数について、未来の売買についてある価格での取引を約定(やくじょう)するものを言う。売買の当事者が任意に期日を決め全量を受け渡すことを約する契約(先渡し契約)とは異なり、先物取引では市場が期日(取引最終日・納会日)を決め納会日までに反対売買により差金決済することが特徴である(受渡し可能な場合もある)。
76 商品インデックス(ファンド)
まず、インデックスとは日経平均やTOPIX、MSCIなどの指数のこと。これらは、対象とする市場の動向を正確に反映するように、それらの市場の銘柄すべての平均値をとっている。
そして、インデックスファンドとはインデックスに連動するような投資信託(ファンド)のこと。インデックスの値に連動してその商品価値が上下するように設定された金融商品で、それを実現するために、投資信託として集めた資金を、そのインデックスが対象とする市場を構成する銘柄に分散して投資する。
さらに、商品インデックスファンドとは商品先物を投資対象とするファンドのこと。商品インデックスファンドで取り扱われる商品先物とはエネルギー、金属、農産物など。人気の高い代表的な商品指数は、スタンダードプアーズ、ダウジョーンズAIG商品インデックス、ゴールドマンサックスインデックスなどである。
77 FX取引
証拠金(保証金)を業者に預託し、主に差金決済による通貨の売買を行なう取引をいう。「FX」、「通貨証拠金取引」、「外国為替保証金取引」などともいう。
日本では1998年に外国為替及び外国貿易法が改正されて、ダイワフューチャーズ(現・ひまわり証券)、豊商事などが取扱いを開始、ブロードバンドの普及も手伝って市場が急速に拡大した。商品先物会社、証券会社のほか、本取引を専業で取り扱う業者もある。取引の仕方によっては非常に高いリスクを負うため、実際の取引にあたっては外国為替相場に関する十分な知識や経験を要する。手持ち資金の10倍~200倍といった金額を取引することができるのが特徴。
78 メジャー
国際的な市場支配力を有する巨大会社。特に、国際石油資本や巨大多国籍穀物商社をいう。メジャーズ。
79 経済安定本部
1946年8月、内閣所属部局として経済安定本部が設置され、戦後の経済再建のための緊急対策の企画立案、総合調整などを行った。経済安定本部は、内閣総理大臣が総裁、国務大臣が総務長官となった。
その後、経済審議庁、経済企画庁にその役割が引き継がれ、現在は、内閣府などに業務が継承されている。
80 芦田内閣
芦田均が第47代内閣総理大臣に任命された、1948年3月10日から同年10月15日まで続いた日本の内閣。
前の片山内閣の総辞職に伴い、引き続き民主党・日本社会党・国民協同党を与党として発足した。1948年10月7日に総辞職し、次の第2次吉田内閣の組閣まで職務を執行した。
81 「もはや戦後ではない」
1956年7月に発表された経済白書の副題は、太平洋戦争後の日本の復興が終了したことを指して「もはや『戦後』ではない」とつけられ流行語にもなった。
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