福島原発事故から10年が経過しようとしている。しかし、いまだに多くの避難者が辛い生活を強いられている。そんななか、放射性汚染水が太平洋に垂れ流されようとしている。
政府・電力会社は運転開始から40年をはるかに超える老朽原発、高浜1・2号機、美浜3号機を再稼働させ、全ての原発を60年もの長期にわたって稼働させようとしている。老朽原発の再稼働を許可したのが2016年。その後、関西電力の原発ではトラブルが頻発している。
トラブルのなかでも特に深刻だとされるのが、高温高圧の一次冷却水が流れる蒸気発生器や加圧器の配管の損傷だ。この配管が完全に破断すると、冷却水が噴出し、原子炉が空焚きになってしまう。昨年だけでもこうした配管の損傷が、高浜3・4号機、大飯3号機で確認されている。この事実に対して関西電力は、配管内で自然発生した鉄さびの塊が原因であると発表。鉄さびの塊や腐食で生成した金属の破片は、配管内を高速で駆け巡り損傷させる。さびや異物などは設備が老朽化すればするほど増える。それにもかかわらず規制委員会は老朽原発に稼働の許可を出している。
設置許可取り消し
昨年12月4日に大阪地裁は大飯3・4号機の設置許可取り消しを命じた。判決のなかで、規制委員会が「原発運転の許可にあたって基準地震動として過去の地震の大きさの平均値を採用し、原発の耐震性は平均値に見合ったもので可」としているのに対して、大阪地裁は、これはバラツキを考慮しておらず、リスクを過小評価しているとした。
この判決に従えば、同様の方法で推定された老朽原発敷地の基準地震動も過小評価していることになる。いかに規制委員会の審査がいい加減か分かる。
再稼働を止めよう
新型コロナウイルスの感染は拡大を続け、終息の兆しは見えていない。こうしたなか、原発で重大事故が発生したらどうなるだろうか。避難の過程や避難生活のなかで、ウイルス感染を防ぐことは不可能だ。それでも、国や電力会社は、国民の命を脅かし、原発再稼働を進めようとしている。今こそ、国民全体で声を上げ、原発の再稼働を止め、廃炉を実現しよう。
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