検察定年延長


安倍政権では命も暮らしも守れない

仕事もなく、収入もない労働者のことなど頭にない

4月7日、安倍政権は新型コロナウイルス感染拡大を受けて緊急事態宣言を出した。当初、東京や大阪など7都市が対象地域とされたが、16日には対象地域を全都道府県に拡大。感染拡大防止のために外出自粛や営業活動の自粛を求める一方、生活支援や事業者への支援策は不十分であり、市民の間には大きな不安が広がっている。

4月7日の会見で安倍首相は、「世界経済は戦後最大とも言うべき危機に直面しているため、日本経済も大幅に下押しされており、国難とも言うべき厳しい状況におかれている」としたうえで「前例にとらわれず、財政、金融、税制といったあらゆる政策手段を総動員することにより、思い切った規模の経済対策を可及的速やかに実行に移す」として「緊急支援フェーズ」と「V字回復フェーズ」の二つの対策に分け、GDPの20%にあたる事業規模108兆円の対策を行うと公表した。
また13日に自民党の役員会で安倍首相は「休業に対して補償を行っている国は世界に例がなく、我が国の支援は世界で最も手厚い」と発言している。

「世界に例がない」としている休業補償について、実際は世界で広く行われている。イギリスではフリーランスを含む自営業者に平均所得の80%を支払い、フランスでは商店などの従業員に賃金の70%までを補償。ドイツでは従業員10人以下の事業所には3ヵ月で最大180万円、5人以下の事業所には最大107万円を給付することがすでに報じられており、安倍首相の発言は事実と異なる。

 


事業規模108兆円のうち「真水」は16兆円程度
政府が行うとされる事業規模108兆円の経済対策についても各方面から「水ぶくれの政策」であると大きな疑問の声が上がっている。事業規模108兆円とされている政策実行について、新規国債発行は16・8兆円とされており、「真水」と言われる実際に執行される金額は多くて16兆円。財務省が公表した「令和2年度補正予算概要」を精査してみると12兆円前後で政府公表の事業規模と大きな乖離(かいり)が見て取れる。
事業規模とは政府が支出する「真水」に加え、今後発生する事業者への貸付、税金・公共料金の猶予措置26兆円、民間からの支出見込み42・7兆円、政府系金融機関による融資拡大など返済が見込まれる金額も含めた経済対策全体の規模を指すものであるため、海外の経済対策とは比較にならない。死者14600人を出し世界第2位となったアメリカでは、「真水」で220兆円、ドイツでは約88兆円の支出を決めている。
「真水」と言われる部分を細かく見ていくと、感染防止に関わる支出が合計1兆8000億円。内訳を見ると新型コロナウィルス感染症の病床確保に1490億円、マスクの配布が医療機関向けで953億円、学校・介護施設向けで792億円、「アベノマスク」と言われる全世帯配布は233億円と計上されているが、実際は466億円に修正されている。アビガン確保139億円、国際的なワクチンの研究開発216億円など。
さらに、地方に対する臨時交付金として1兆円の予算を計上。交付金獲得のため各自治体の動きが加速している。

出し渋りで大きな経済的危機

生活支援分野では総額で10・6兆円の予算措置がされている。条件付で1世帯当たり30万円を支給する臨時給付金に4兆円(後に一人当たり一律10万円支給に修正)、子育て世帯へ1654億円。事業継続のための助成金に2・3兆円、継続雇用を助成する雇用調整助成金に7000億円。企業の資金繰り対策の利子肩代わり資金として3・8兆円を計上。他国と比べて非常に貧弱な内容となっている。
コロナの影響で小中規模事業者のみならず、大企業にまで経済停滞が起こり、派遣切りだけではなく、業績悪化を理由にした解雇、事業閉鎖など弱者である労働者への犠牲転嫁が起き始めている。日本の4~6月の景気動静はGDP比25%減と予想されている。136兆円減収というリーマンショックを超える状況にもかかわらず、西村経済再生相は、12日、NHKの番組で自治体への1兆円の臨時交付金について休業補償、損失補償という名目で事業者に出すことはできないが中小企業支援という形で自由度をもってできるように制度設計をしていきたいと述べている。
麻生財務相は、2025年度に基礎的財政収支を黒字化する政府の財政健全化目標について「放棄することはない」と述べている。このことが何を意味するのか。新型コロナウイルス感染の収束後、国の借金を減らすため、さらに増税を進めるということだ。

 

このような無為無策な政府の対応に大きく潮目が変わり始めている。政府を批判せずに、忖度していた新聞やテレビなどの報道の姿勢も変わり始めている。またその広がりから与党自民・公明党からも手厚い景気対策を求める声も出始めている。
私たち労働組合も連携し、日本を私物化し、消費税の引き上げなど国民から税金を吸い上げるだけ吸い上げて、今回のように本当に困ったときにはわずかな給付しかしない、大企業本位の政策を続けている安倍政権にはっきりと「NO」を突き付けなければならない。


東京新聞 <新型コロナ>アベノマスク「何をいまさら」 緊急事態宣言解除の日に県内でも配布始まる


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