めしと団結


シリーズ  学習を創造的活動に活かそう

教育部では、学習を通じて執行委員や組合員のレベルアップに力を入れています。今月は、関生支部の労働運動の原点が書かれた本を紹介します。

勝利には団結こそが最大の武器である!
激しい弾圧を背景に、多くの仲間が不当解雇され厳しい生活を余儀なくされている。巨大な権力・資本を相手に我々はどう闘っていけばいいのだろうか? そこで今回は、関生支部創成期の闘争を記録した一冊、今崎暁巳著『めしと団結 たたかう関扇運輸労働者』を紹介したい。そこには関生支部の闘いの原点がある。

この本は、著者の今崎氏が当時の全国自動車運輸労働組合(全自運・当時関生支部は全自運傘下)委員長から「運転手も読める、面白い記録を」と言われ、全自運関扇運輸支部とアサノコンクリートとの闘争を記録し、一冊の実録小説にまとめたものだ。「面白い記録」の名のとおり、読み進めれば闘争の進捗にドキドキさせられる臨場感をもって書かれている。


日曜日は休みたいと要求したら争議に

1964年、「せめて日曜日ぐらいは休ませて欲しい」という切実な要求から関扇運輸闘争は始まった。関扇運輸は、アサノコンクリートの専属輸送会社であった。親会社のアサノの指令で関扇社は、全自運関扇運輸支部(64年当時は関生支部にまだ加盟していなかった)に対して、警察OBの労務屋の導入、組合分裂・乱立、9名の解雇、ビラ貼りを理由とした7名の逮捕など、あらゆる組合つぶし攻撃を行ってきた。
この攻撃に対し関扇支部は果敢に闘い、1965年6月1日、大阪地労委で不当労働行為が認定され、組合側の全面的勝利命令が出た。しかし、この勝利は闘いの序章でしかなかった。
時をおかず6月17日、追い詰められた関扇社の社長が国電に投身自殺してしまったのだ。社長を失った関扇社は破産手続きをして雲隠れしてしまったのである。ここから、関扇支部の長い闘いが始まった。解雇され闘争が長期におよぶと、生活が立ち行かなくなってくる。闘争を継続できるのかが大問題になる。まさに「めしと団結」の問題である。

「組合の正しいことは分かっとる。正しくてもメシが食えんでは闘えん。うちはもう一人赤ん坊が生まれるんや!」「それもあるけどなあ、一番わからんのは見通しや。アサノとケンカするちゅうのは分かるで、一体、これから、どうなるんや? 執行部には勝てる自信があんのか?」「争議は敵との闘いなんや!むこうが強けりゃ、見通しもくそもない、今日にでも叩き出されてしまうで。こっちが団結強うなって、追い込んでいけば割合よく勝つこともあるかもしれん。大事なことは、それを決める力は俺たち自身が闘ってきり開いてゆくもんやということや」

長い闘争の中、組合員の不安は何度も頭をもたげ、そのたびに激論が交わされる。この本には関扇支部がどうやって団結を守り抜いてきたかが生々しく記録されているのだ。

団結があってこそ闘争を闘い抜けた
1969年10月、アサノと関扇支部との間で勝利的協定が結ばれた。1856日(約5年)にわたる闘争を闘い抜き勝利したのである。闘い抜いた労働者たちの描写は誇らしく感動的だ。
『めしと団結』は、今厳しい状況に置かれている私たちに、関生支部結成当初の原点を生々しく甦らせてくれる。彼らの闘いは時を超え、私たちに勇気を与えてくれる。こんな時だからこそ、一読をお勧めしたい。残念ながら原本を入手することは困難。しかし、故人となった著者を偲ぶ人々により、ネット上にPDF復刻版が無料で公開されている。「今崎暁巳 めしと団結」で検索すればたどり着くことができる。


 

めしと団結――たたかう関扇運輸労働者 (今崎暁巳著、労働旬報社、1970年6月刊)PDF復刻版) 

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