関生太鼓


市民・良識が勝利する!

山元一英(全港湾大阪支部特別執行委員)

与党・維新の会が10年来標榜してきた「大阪都構想」は、11月1日の住民投票で反対票が1万7167票上回り否決された。

前回2015年の得票率、賛成49・6(今回49・4%)、反対50・4(今回50・6%)とやはり僅差であったが、反対票が票を伸ばし、府・市議会で多数を牛耳る維新・公明両党と自民府議団の悪政を打ち破った。
9月中旬での世論調査では、賛成が49・1で反対が35・3と、賛成が14・2ポイント上回っていた。マスコミや多くの学識者も、今回の住民投票で「大阪市廃止」は必至であると予想されていた。
しかし、その後賛否の差は徐々に狭まり、10月31日には1・6ポイント差と拮抗し、投票当日の出口調査では、反対票が1ポイント上回ることとなった。この大逆転をもたらせた要因は何だったのか?

維新の描く都構想の欺瞞が暴かれる!

世論調査で賛成派の理由は、「府と市の二重行政のムダの解消」が43%、「大阪の経済成長」が39%で、困窮化する市民の生活苦からの脱却願望をくすぐる甘言であった。
しかし、10年の維新政治で「二重行政のムダの解消」と銘打って進められてきたのは、各行政区の保健所の廃止と市への一元化、区役所職員の非正規化、病院、学校の統廃合といった福祉・住民サービスの低下であった。また、「大阪の経済成長」とは、カジノ万博や大規模開発に税金をつぎ込み、医療・介護・生活・教育といった福祉予算を削減する新自由主義経済路線であることが、徐々に暴露されていったことである。

大阪市廃止するか
サービスの低下か

反対派の理由は、「大阪市の存続」49%、「住民サービスの低下」21%、「コロナ対策優先」16%が示す通り、大阪都構想とは政令指定都市・大阪市の廃止であり、新たな特別区(自治体)は、減少した財政運営により住民サービスの低下を招くと争点を絞り、わかりやすい論点を示したことだと思う。
大阪24区の賛否の得票率を見て、北区、西区、淀川区、中央区などの市外からの流入者が多い北東部は賛成票が多く、古くからの居住者や老人、生活保護世帯が多い南西部に反対票が多かったのは、大阪市廃止の不安と市への愛着が反映したものだと思う。

維新VS反維新から改革派VS既得権派のイメージへ
5年前の住民投票では、維新対反維新(自民、公明、民主、共産)の構図で闘われ、各政党の支持母体が統一対策部に結集し、街頭での宣伝活動を展開した。
維新によってつくられた「改革派VS既得権派」といったイメージのなか、厳しい戦いであったが1万761票の僅差で反対派が勝った。
あれから5年、維新勢力はさらに大阪府下の各自治体選挙で議席を伸ばし、知事、市長といった組長選でも優位を占めた。
今回は、公明党と自民府議団が賛成に回り、8月28日の府議会、9月3日の市議会で「協定書」を可決し、完全に外堀が埋められたなかでの闘いとなった。

民主主義が示した市民運動のパワー

自民市議団、共産、立憲、社民等の野党共闘の動きもあったが、大阪で議席を持たない〝れいわ新撰組〟の山本太郎の街宣は、若者への関心を高めたと評価されている。しかし、何といっても各地で市民が自主的に反対運動に立ち上がったことが、最大の要因である。
「野党と市民の共闘」が弱いとされていた市内選挙区、2区、5区で市民連合が生まれ、隣接した衛星都市の北摂や堺の市民連合が市内に入り、反維新ネット、どないネット等の市民運動団体と連携しながら、市内いたるところで反対運動が連日展開された。
市民との対話で、大阪市廃止、住民サービス低下反対は大きく広がり、逆転勝利を呼び込んだのだ。


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