独立性を根本から侵害する行為


シリーズ  学習を創造的活動に活かそう

教育部では、学習を通じて執行委員や組合員のレベルアップに力を入れています。今月のテーマは、「日本学術会議について」です。

菅政権が学者提言に介入
日本学術会議が推薦した105名の推薦者候補のうち菅総理大臣が6名を除外した問題に日本国内で賛否の声が大きく拡がっています。時事通信の世論調査では63・4%が菅総理の説明が不十分とする一方で、学術会議の在り方を見直すという政府方針に54%が賛成しています。今回は、日本学術問題について論点整理をしていきます。

独立した機関へ
日本学術会議は日本の国立アカデミーで内閣府の特別機関のひとつ。日本の科学者の内外に対する代表機関であり、また国単位で加盟する国際会議の組織構成員でもあります。
1949年に発足した当初、第二次世界大戦で科学者が戦争に協力した反省から、政府から独立した立場で、科学に根ざした提言を行えるよう会員は全国の科学者による選挙で選出。公選のため日本学術会議法には任命に関する規定はありませんでした。翌1950年には「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」という声明も発表しています。
ところが1983年中曽根内閣は学術会議の同意なしに学会の推薦を元に首相が任命する制度に変える日本学術会議法の改正案を国会に提出。任命行為が必要になることで独立性が侵害されることを恐れた学術会議はこれに反発。改正を図る国会審議のなかで中曽根元首相は「政府が行うのは形式的任命に過ぎない」と答弁しています。
11月26日、井上科学技術相は「日本学術会議を国の機関から引き離すことも検討するよう要請した」また「民間企業の学者を入れるべき」ということを明らかにしました。
会議は、設立70年以上の歴史を持つ日本のアカデミーであり、国際的にも交流を続けてきた機関。「民間機関となり中立的な立場に立って政府に意見できるか」という問題があります。中曽根答弁がある以上、任命拒否を行った根拠を示すことは当然ですが、それ以上に国会に諮ることなく、日本学術会議法の解釈変更を行い任命拒否すること、また定員割れは違法状態です。

軍事的な研究には厳しい制約
この問題の根底にあるのは、2015年防衛省・防衛装備庁は「安全保障技術研究推進制度」を創設。軍事研究を日本の大学・研究機関に要請しました。しかし、2017年学術会議は「軍事的安全保障研究に関する声明」を出し、日本の大学、研究機関が軍事的安全保障研究を行う場合に厳しい制約を課す、または審査をすることを内外に示しました。そのことがこの騒動になったのではないかという疑義も生まれています。

憲法で権力を縛る
政府の暴挙に、人文・社会学系の226学協会は11月6日共同声明。また多くの労働組合、市民団体が抗議声明を出しています。日本を含む多くの国は立憲主義に基づき憲法が作られています。 国家が誕生して以来、権力者に苦しめられた民衆が編み出した知恵。最高法規である憲法で〝権力を縛る〟。安倍政権誕生以来、行政は人事を握られ政権に忖度、検察・警察も同様。このようななか中立的な立場をとり続けている学術会議。私たちもともに声を上げていこう。



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