関生太鼓


福島原発訴訟 仙台高裁が賠償命令

原発事故で国の責任を認める

9月30日、仙台高等裁判所は福島第一原子力発電所事故に関して国および東京電力の責任を認め、被害を受けた住民に総額10億1000万円の損害賠償を命じた。高裁段階で国の法的責任が認められたのは初めてでほかの裁判への波及も予想されている。

この高裁判決は、国や東京電力の法的責任、被害者の救済のいずれにおいても一審判決よりも踏み込んだ内容になっている。
一審判決は、国の責任割合は東京電力の2分の1とされていたが、今回の裁判では規制権限を適切に行使しなかったことの重大性から、国についても東電と同等の責任があると認定された。

被災者の全体の救済へ
国が定めた「中間指針」により押さえられていた賠償額上限の引き上げや、適用除外とされていた福島県会津地方や栃木県など近隣地域への被害の存在が認められ、賠償対象者が一審の2900人から3400人に拡がり賠償総額も一審の5億円から倍増している。

敗訴が続く住民に全面勝利判決下る
原発訴訟は、福島原発事故以前、上級審をあわせ18件中住民勝訴はわずかに2件。いずれも上級審で逆転敗訴となっている。安全神話が崩れた福島原発事故以降、30件を超える訴訟が提訴されているが、多くは住民敗訴あるいは高裁で逆転敗訴が続いていた。
多くの裁判官は、伊方原発訴訟最高裁判決である「国の審査指針は専門家が集まって作ったのだから、司法としては見逃すことができない誤りがない限り行政庁を尊重する」という判例を踏襲している。
「原子力村」の一員である原子力規制委員会や行政庁を尊重するのだから住民敗訴は当然の結果であり、また住民勝訴の判決を出した裁判官を冷遇する傾向もあるといわれている。そのような状況においてこの全面勝利判決は大きい。

国と東電は上告し対決姿勢

しかし国と東京電力は、10月13日最高裁に上告し全面対決の姿勢をあらわにしている。
また、群馬や千葉、京都などへの避難者による同種の集団訴訟も行われており、裁判のゆくえを今後も注視し行動を展開していこう。


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