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2010岩国・労働者反戦交流集会に参加して

本年12月4日(土)~5日(日)に、山口県岩国市で「2010岩国・労働者反戦交流集会」を開催しました。この取り組みに連帯ユニオンから6人が参加しました。
 
1.京都駅を7時に、大阪駅を7時40分過ぎにマイクロバスで出発。高速道路を乗り継ぎ、岩国市役所前へ13時半過ぎに到着。東京、九州、四国、広島などから新幹線やマイカーでこの集会に参加する人たちが待機していました。
 
岩国市役所は、前市長井原さんが現職時代に岩国米軍基地強化に反対する住民投票を06年に実施し、8割が反対と言う意思表示を市民が示しました。しかし政府は、これを嫌い新市庁舎建設の補助金を打ち切るという嫌がらせを行ったため工事がストップ、市議会もこの圧力に屈して米軍再編容認へ傾き、井原さんが提案した新市庁舎建設費を加えた予算案を否決。これを受けて市長を辞任、08年2月の市長選で敗れ米軍再編容認派市長が誕生した後に政府が補助金を支出して完成したものです。曰く因縁の新市庁舎です。

岩国市役所 新庁舎


        

2.14時から2班に分かれてフィールドワークが行われ、私たちは「愛宕山開発跡地」を見学しました。 マイクロバスで愛宕山まで15分くらい走り、住宅団地の坂を上がっていくと愛宕山神社前に到着、「愛宕山を守る会」のメンバーから説明を受けました。
愛宕山神社
 
そこから見える開発跡地は、平坦に整地されていました。しかし、草も木も生えていない原野で、この夏に大雨が降り続いたとき山の斜面が崩れたそうです。
山を削るまでは緑深く自然がいっぱいで、野鳥も飛び交うのどかなところでした。ところが97年に愛宕山を削って岩国米軍基地の新滑走路建設のため沖合を埋め立てる土砂を搬出する工事が始まりました。当初、県側は発破を掛けても1日数回だと言っていたのが、1日に10回近くもダイナマイトで発破を掛けてきたのです。
 
メンバーの方は、工事現場近くに住んでいたため、発破の振動が激しく生まれたばかりの子どもへの精神的負担も大きかったのです。住宅にヒビが入った所もあり、被害も拡がったので市議会にも申し入れをしました。工事の事前説明会も不十分なため地域住民は不安になっていました。ここから見えるているのが東工区で少し離れた所に西工区があり、山口県は当初、病院、学校と住宅団地を建設するとしていました。しかし、バブル崩壊を理由にして「住宅開発」を断念し、跡地を国に売却して米軍住宅を建設する方向に転換しようとしています。
工事が進んでいくと同時に米軍再編で岩国基地も増強され、厚木と普天間から米軍機が移駐する計画が持ち上がり2,400人の海兵隊員とその家族が移り住むことが新聞で発表されました。その時に、愛宕山がその対象になるのではないかと心配でした。
これを知った井原市長は、岩国基地増強に反対して「住民投票」を実施し、その結果8割の市民が反対したのです。現場にも顔を出してくれたのは井原市長だけでした。しかし、政府はこの「反対」という結果に圧力を掛け、議会を巻き込み井原市長を辞任に追い込んだのです。
野党時代は反対していた民主党も、政権与党になると手のひらを返したように「愛宕山開発跡地」の米軍住宅建設を促進、土地買収資金として200億円が予算計上されました。
この米軍住宅内にテニスコート、運動場、野球グランドも建設するとしていますが、駐車場もない、観客席も少なく広い敷地でもない場所にこれだけの施設を建設できるのか不安です。まして、米軍の敷地内に建設されるので住民が自由に使用できる保障はがないのに、県や市は何時でも市民が利用できるような幻想を抱かせています。
 
3.9月7日午前7時過ぎ、地域住民が米軍属の女性ドライバーに跳ね飛ばされ死亡する交通事故が発生、ところが運転手は車内に閉じこもり携帯電話で誰かと話して被害者の救護もせず走り去ろうとしたので、近くで目撃した人が車で逃げられないようにして警察に引き渡した、とのことでした。しかし、加害者の女性は公務中を理由にして5時間で釈放され、第1次裁判権がアメリカ側に移ったため日本の警察は裁判にかけることもできませんでした。
このように、日本人が住んでいる街の真ん中が「米軍住宅」になると、同様の事故が起こっても住民は米軍に何も言えなくなるのです。日本の交通法規を守らなくも良いとなれば、危険と隣り合わせに生活することとなるのです。
東工区の開発予定地

東工区の4分の1が岩国市、4分の3が山口県が所有しています。市の土地には、消防庁舎と岩国医療センターが建設されることになっています。医療センターは屋上にヘリポートを設置し救急医療も充実させるようになっています。 まだ、山を削っただけの荒れ地なので、どのように建設されるのかは完成想像図を見て理解するしかないのですが、愛宕山周辺の住民が直接被害を受けるだけでなく、市全体でどのように対策していくのかが不透明な状態です。

4.フィールドワーク終了後、市民会館まで移動し、「岩国市住民との交流会」に参加しました。最初に主催者を代表してAWC代表の方から挨拶があり、自公政権から民主党政権に替わっても愛宕山米軍住宅建設は止まず、逆に情報が隠されて住民に知らされていないことなど岩国基地をめぐる状況は厳しいものがあると報告されました。
また、岩国基地4訴訟原告団連絡会事務局の方からは、岩国米軍基地周辺で暮らし実際に爆音被害を受けている住民の声を聞いてほしい。また、県が「愛宕山開発事業」を断念し開発用地を国(防衛省)に売却する理由が明確でなく、裁判所に廃止する法的根拠は何かを質している。また、情報公開法にもとづく日米合意文書の開示を求めている。
 
「愛宕山を守る会」のメンバーからは、30年前に新居を探していたときに、愛宕山周辺には自然がいっぱいだったので、土地を購入して20年前に自宅を建設しました。10年以上前から地域の世話人しています。愛宕山周辺の住民9割が住宅建設に反対しています。
何時までも我慢して耐えるより住民として、なぜ「住宅開発」ではなく「米軍住宅建設」なのか、ちゃんと納得のいく答えをもとめ声をあげたのです。
米軍住宅建設反対を裁判所に訴え、9月から毎月1・11・21の付く日に愛宕山神社前の公園で座り込みを行っています。支援の輪を拡げていただくため、全国の方々と連携していきたいと思います。
 
岩国爆音訴訟団の方からは、新滑走路になっても地域に住んでいる私たちは、米軍機の離発着の爆音がひどくて基地北門100メートル、滑走路から500メートル離れていても85WHもあり、朝日町では95WHという人が住めない音量まで上がっています。
こんなにひどい爆音が改善されていないのに、新滑走路を使ってこれまで禁止されていた戦闘機2機編隊での離発着、北側からの進入、閉鎖されたはずの旧滑走路でのホバリング訓練などが行われ、新たな爆音被害が拡がっています。
ベトナム戦争当時は、戦闘機がタッチ&ゴーを繰り返し練習するため、爆音がすごくて夜も眠れない時期もありました。私自身もともと静かな街から移ってきたので、地域の人はよく我慢して暮らしているなと感じました。
 
滑走路を沖合に移したのは、住宅地や工場地帯に墜落したら大きな事故につながるので沖合移設を要望していました。しかし、騒音などが少しは改善されると思っていたら、今度は厚木と普天間から米軍機が移駐すると聞いてびっくり、これでは爆音被害がさらに拡がることになると思い、「岩国爆音訴訟」の1人として参加しています。現在654人の方々が原告になっています。
 
今でも、家の中では電話やテレビの声が聞こえない。外で畑仕事しているときに米軍機が離発着する時の爆音はすごいものがあります。夫婦で仕事をしていても、傍に行って話しかけないと聞き取れないです。この場所に見に来られたのは井原さんだけで、現市長は一度も来ていません。孫の時代まで爆音が続かないようにしたいと思います。

5.18時から同じ会場で「2010岩国・労働者反戦交流集会」が開催されました。
主催者を代表して垣沼・おおさかユニオンネットワーク代表があいさつ。そのなかで菅内閣になってから中国と尖閣諸島の釣魚島周辺での中国漁船拿捕事件に端を発した領土問題や国後・択捉島をロシア大統領が訪問し、ここでも領土問題が発生、さらに朝鮮半島では朝韓の軍事衝突による緊迫した事態に菅内閣は、武力を使い圧力を加えようとする危険な動きをしており、この岩国基地も強化され極東一の米軍基地に変貌しようとしている。そして、「愛宕山開発跡地」を国が買収して「米軍住宅」を建設しようと目論んでいるのである。
ここに結集した皆さんと共に、岩国の人たちと連携して反戦平和の運動を拡げていこうと訴えました。連帯あいさつを、「愛宕山を守る会」と韓国民主労総訪日団11人から、基調報告をやまぐち連帯ユニオン代表が行い、会場から5人の方が発言しました。
連帯ユニオンからは、表地本書記長が「沖縄・第2期意見広告」について協力要請し、併せて連帯ユニオンが実施した反戦・平和の取り組みについて報告しました。
韓国の代表からは、朝鮮半島で戦争にでもなれば、日本もそのまま平和的に居続けることはできない。岩国からも共和国への攻撃を仕掛けることもあるので、その反対に岩国基地が攻撃されることも想定しなければならない。だからこそ、反戦・平和の大切さを実感しなければならないと話されました。
最後に集会まとめを、実行委員会呼びかけ人の藤村さんが行い。終了しました。
集会後、近くの小料理屋さんで懇親会を行い、各参加者から感想を述べ合いました。

6.12月5日(日)は、10時から「岩国国際集会2010」を前日と同じ岩国市民会館で開催しました。

最初に海外からのビデオメッセージを紹介。そのあと主催者あいさつを受け、「群山米軍基地わが土地取り戻し市民の会」の事務局から報告を受けました。
韓国では、ピョンテク、群山、光州そして済州島に海軍基地と西海岸を中心に基地の強化が90年代以降進んでいます。群山基地にはアメリカ本土からステルス戦闘機が飛来したり、パトリオットミサイルが配備されたりしています。最近、西海岸のセマングム干拓地を米軍が借り上げて爆破物処理施設として使用されています。このように韓国も米軍再編で、戦力が増強されています。実は、在韓米軍は共和国に向かって配備するだけではなく、実は中国を包囲するため、基地配備が行われています。
基地の増強と比例して地域住民への騒音被害が拡がっています。耳鳴り、難聴、聴力減退、学習能力低下、精神衰弱などの被害が増えており、米軍基地のない場所より2倍の発病率となっています。また、油流水による土壌汚染、泥排水の無断排水により規定PHをはるかに超える数値の排水が流されていました。米軍による事故や事件で住民が巻き込まれています。
98年8月にアメリカタウン両替所で殺人事件が、07年4月にタクシー運転手を鈍器で暴行し金品を奪うという米兵が絡んだ凶悪事件が発生しています。
取り戻し市民の会として以下の項目を掲げて米軍基地の返還を要求しています。
① 米軍基地反対および供与地の返還要求。供与期間の設定と有償賃貸。
② 騒音被害訴訟と対策要求。
③ 環境汚染の監視。
④ 米軍犯罪の根絶と拘束捜査の要求。
⑤ 軍備縮小・平和運動。
⑥ SOFA改正・米軍基地(返還後)活用方法の研究。
最後に、アメリカは自らの野望のため朝鮮半島を戦争に巻き込もうとしている。岩国市民の闘いも小さなものだと思うが、これが日本全体に拡がり、アジアにも拡がり、韓国でも拡がれば、そう簡単に戦争はできない。韓日労働者が連帯して団結して共に闘おう。と締めくくりました。その後、会場から市民運動、労働組合などの各代表から決意表明を行い、連帯ユニオンの分会から、今年5月の会社会長が組合員を刺すという重大事件について報告、これに屈せず会社への責任追及と職場改善に向けて闘っていることを報告、会場から大きな拍手で激励されました。最後に集会宣言を採択して終わりました。
終了後、岩国米軍基地までデモ行進を行い。終了地点からそれぞれの地域へ帰途につきました。

デモ行進

(文責・垣沼) 

 

参考 在日米軍機事故の一覧 (ウィキペディア)

連帯ユニオン議員ネット