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「いまこそ派遣法の抜本改正を」パンフレットのご案内

いまこそ派遣法の抜本改正を
「いまこそ派遣法の抜本改正を」パンフレット


はじめに 一今こそ派遣法の抜本改正を-



私たちの派遣法改正要求と日雇派遣問題への見解


 派遣法改正Q&A
Q1 派遣法ってどんな法律なの?
Q2 派遣の何が問題なの?
Q3 派遣労働者が正社員に置き換わった?
Q4 「偽装請負」という違法派遣が蔓延している?
Q5 違法派遣をなくしていくためにはどうしたらいいの?
Q6 派遣先の行う「事前面接」の何がいけないの?
  Q7 どうして「細切れ契約」が増えているの?
Q8 派遣労働者の賃金はどう決まるの?
Q9 「均等待遇」ってどういうこと?
Q10 派遣元・派遣先の「共同責任制」とは?
Q11 今どんな法改正が求められているの?


 日雇派遣 ここが問題
1 日雇派遣とはどんな働き方ですか?
2 なぜ日雇派遣が拡がったのですか?
3 どんなトラブルが発生していますか?
4 適正な日雇派遣って可能ですか?
5 日雇派遣がなくなると、仕事がなくて困ってしまう?


  資料 労働者派遣法改正法案要綱(案)と解説

 今こそ派遣法の抜本改正を
発行:格差是正と派遣法改正を実現する連絡会
編集:特定非営利活動法人 派遣労働ネットワーク
連絡先:〒160-0023 
東京都新宿区西新宿7-22-18 
オフィスKビル1階 東京ユニオン内
くわしくは こちら から
表紙
「いまこそ派遣法の抜本改正を」パンフレット
裏表紙
 
 
パンフレットの一部分のご紹介

はじめに  今こそ派遣法の抜本改正を

 バブル崩壊以降、企業リストラの嵐が吹き荒れ、非正規労働者が急速に拡大しました。
今や、非正規労働者は日本の労働者の4割になろうとしており、女性の場合はすでに過半数が非正規で働いています。非正規労働者の類型としては、①短時間労働・②有期契約・③間接雇用が考えられますが、企業に直接雇用されず、派遣や請負・委託の形で働く「間接雇用」の急拡大が近年の特徴です。

 労働者派遣事業は、1986年に、職業安定法44条で禁止されている「労働者供給事業」の例外として、厳しい限定つきで認められました。当初、派遣労働は「専門性を生かして働ける、働く時間を選び自由に働ける」との期待が強く、女性労働者を中心に拡がりました。しかし、スタート時の対象業務限定が「原則自由化」され、相次ぐ規制緩和によって製造ライン等にまで広がった今、派遣労働は大きな変貌をとげています。

 激しい業者間競争の中で「労働ダンピング」にさらされた派遣労働者の時給水準は年々低下しています。正社員代替の戦力として厳しい労働が求められる一方で、契約期間は細切れ化し、絶えざる失業の不安をかかえています。「偽装請負」や様々な脱法的行為が蔓延するとともに、ワーキングプアの象徴とでも言うべき「日雇い派遣」が急拡大し、そこで日常的に行われてきた違法な賃金控除(ピンハネ)は、社会に大きな衝撃を与えました。

 こうした事態を受けて、労働組合のナショナルセンターである連合は、派遣法の見直しについて、登録型派遣の原則禁止、派遣法を創設時の形に戻す、派遣先に「みなし雇用」責任を求める、などの方針を決定しました。しかし、当初2008年の通常国会の改正法案提出を予定していた厚生労働省労働政策審議会労働力需給制度部会は、労使の対立が激しいとして法改正の建議を見送ろうとしています。

 私たちこれまで派遣労働問題に取り組んできたNPOやユニオンで結成した「格差是正と派遣法改正を実現する連絡会」は、2007年10月、11月、さらには2008年1月と3回ににわたり国会内で多くの国会議員の参加を得てシンポジウムを開催してきました。①派遣法をまず1985年制定時の規制に戻す、②登録型を原則禁止し常用型への転換をはかる、③労働者派遣のマージン率を規制していく、等の方向については共通の認識がえられてきていると考えます。

 このパンフレットは、派遣法20年の総括を踏まえて、現在私たちが考える抜本法改正の骨子と具体的内容をQ&Aの形でまとめたものです。巻末に改正法案要綱(案)も参考として示しました。法改正へ向けた運動を広げていくために、さまざまな場で活用していただければ幸いです。

私たちの派遣法改正要求と「日雇い派遣」問題への見解

1.誰もが希望をもって働ける社会へ
派遣法の抜本改正が今急務となっています

派遣法見直しの議論が活発化じでいる
1999年、2003年と相次いで改正された労働者派遣法は、派遣の形を大きく変えることによって、日本社会に大きな衝撃を与えています。
厚生労働省の労働政策審議会は、2005年から改正派遣法のフォローアップを開始しましたが、使用者側委員が、派遣禁止業務や派遣先による事前面接の解禁、派遣期間制限の撤廃や労働者への雇用契約申込義務の廃止など、一層の規制媛和を求めたのに対して、労働側委員は、1985年派遣法制定時の専門業務に限定したポジティブリスト方式に戻すべきであり、登録型ではなく常用型の派遣を基本にすべきだと主張し、激しい論議となっています。
また、公益側委員からも現行派遣制度に関する多くの問題点が指摘され、2008年に予定されていた改正法の国会上程は見送りとなりました。連合の高木会長が、2008年頭記者会見で、「派遣マージンについても何らかの規制が必要だ」と述べたことも朝日新聞は報じています。
政党においても派遣法見直しをめぐる議論が活発化しています。早くは、2007年7月の参議院議員選挙を前にして、公明党の斉藤政調会長がNHKの番組で、労働者派遣法について「規制を強化する方向で見直す必要がある」と述べ、対象職種の絞り込みなどを検討すべきだとの認識を表明しました(7.16日経)。参議院選挙での与野党逆転の結果を受けて、野党の取り組みも活発化しています。民主党は参議院に議員立法で改正法案を提出することも視野において、関係者からのヒアリングを開始しました。共産党は12月17日に派遣法改正要求を公表、社民党も法案化の作業を進めています。
さらに、自民党の雇用・生活調査会も、「緊急違法派遣一掃プラン」として日雇い派遣ガイドラインの作成や派遣料金など必要な事業情報の積極的公開を政府に申し入れました。(12月21日)
 
行き過ぎた労働者派遣の規制緩和
 
このように派遣法を見直すべきだという声が大きなうねりとなってきた背景には、急速に進行してきた日本の格差社会化の現実があります。そして、労働者派遣の行き過ぎた規制緩和が、悪影響を与えたという認識があります。
労働者派遣法は、1986年(施行)に職業安定法で定める「労働者供給事業の禁止」の例外として、派遣できる業務(適用対象業務)を限定してスタートしました。市場原理の中でも一定の雇用や労働条件を維持することができる、つまり労働者のニーズを派遣元と派遣先の商取引関係の中に反映させることができると考えられる専門的業務でしか認めないという形で発足したのです。
ところが、1999年改正で、この規制が180度転換し、対象業務は「原則自由化」となりました。建設・港湾・警備・医療を除くほとんど全ての業務で派遣が可能となったかわりに1年の期間制限が導入されたのですが、取り締まりに実効性を欠き、さらに2003年の改正では3年までの延長が可能となったため、今や労働者派遣はぐちゃぐちゃになっているといっても言い過ぎではありません。派遣事業が急拡大し、労働者数も急増する中で、労働者派遣がそもそもからはらんでいた問題点が一挙にあらわになってきました。
どんなことでも許されるかのような派遣先の横暴、とどまるところを知らぬダンピングによる賃金ダウン、違法と知りつつ横行する派遣先による事前面接、偽装請負、指針が定められても守られない契約の中途解除、細切れ契約、そしてワーキングプアの象徴ともいうべき日雇い派遣の急拡大、今や派遣の規制緩和のツケは、行き着くところまできたかのようです。

私たちの求める労働者派遣法の抜本改正
こうした状況を改善していくためには、労働者派遣法の全面的再構築が必要です。私たちが求める派遣法抜本改正のポイントは次の4つです。

第1に、1999年の派遣法改正により導入された派遣対象業務原則自由化の誤りをただすことです。
雇用の原則は、職業安定法が労働者供給事業を禁止しているように、本来直接雇用です。
雇用していない者が労働者に業務の指揮命令をすることができる「間接雇用」は厳しく限定されるべきであり、その原則を派遣法でも明文化すべきです。また、何度も国会で確認されてきた「常用労働者の代替とならないようにする」という常用代替防止原則も明文化すべきです。
こうした2つの原則の下で、派遣が許される業務をポジティブリストに戻し、「専門的業務」を選定し直すことが必要です。

第2に、「細切れ不安定雇用」が蔓延する状況の改善をめざし、登録型派遣中心の現在のシステムを抜本的に見直します。
派遣先と派遣元の間の労働者派遣契約が打ち切られれば、長期にわたり派遣先に貢献した労働者でも雇用が打ち切られてしまうのが登録型派遣労働契約です。そのような労働契約の存在自体が見直されるべきです。
労働者派遣契約の成立するつど労働契約関係が成立する登録型派遣労働契約は、紹介予定派遣など一定の場合しか認めないことにします。登録型の派遣労働契約は原則禁止し、常用型への転換を推進します。

第3に、派遣会社は適正な派遣を遂行できる事業主でなければなりません。派遣会社の資格要件を厳格化し、規制を強化します。
グループ会社だけに派遣を行ういわゆる「もっぱら派遣」は、ユーザーである派遣先会社の影響力が強く、派遣会社の独立性が大きく損なわれています。 そもそも派遣会社の存在意義は、教育訓練を行いながら労働者の能力を把握し、求められる人材を即座に派遣することにあります。ところが、2007年に派遣会社の業界団体である日本人材派遣協会が実施した「派遣スタッフWebアンケート」では、「派遣会社で教育・訓練を受けたことがある」人が25.7%にすぎないという衝撃的な結果が出ました。派遣会社の適格性が厳しく問われなければなりません。
派遣会社のマージンの取得率についても、一定の基準を設定すべきですが、その実効性を担保するためにも、契約料金と賃金の関係についての公開性を高めるべきです。

第4に、孤立している派遣労働者の権利強化をはかります。
派遣先による事前面接は、年齢、性別、家庭での役割などによる労働者の選別排除を引き起こすばかりでなく、派遣先の事実上の採用行為として、派遣会社の独立性を大きく損なうものであり、禁止規定を強化すべきです。 「派遣事業法」として派遣会社への規制は厳しいものの、ユーザーである派遣先には甘い現行派遣法を改め、悪質な法の逸脱を行うような派遣先に対しては、派遣先が派遣労働者を雇用したとみなす「みなし雇用」責任制を導入すべきです。そうでなければ偽装請負などの違法蔓延はなくせません。 派遣労働者に対する不合理な差別を禁止して、派遣先正社員との均等待遇をめざします。また、現実と乖離した派遣元・派遣先の責任分担制を見直します。派遣労働者の権利確保のためには、派遣元と派遣先の共同責任制の拡大がぜひとも必要です。

この間進行してきた「雇用破壊」と「賃金破壊」の流れに、歯止めをかけ、誰もが希望をもって働ける社会をつくるための確実な一歩として、労働者派遣法の抜本改正を実現しましょう。

派遣労働ネットワークでは「労働者派遣制度の在り方に関する研究会」に対する意見を表明しています。 詳しくは下記のPDFをご覧ください。

派遣労働ネットワークのホームページ
今後の労働者派遣法の在り方に関する研究会報告に対する意見(20080826.pdf 980KB)

 

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