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NPO MOA ベトナム視察団に参加して  

 私は、全日建近畿地本を代表して1月30日から2月3日までベトナム社会主義共和国を訪問した。


 
  今回の視察団は、NPOMOAが国際文化交流事業の一つとして「ツーヅー病院や友好運動団体や枯れ葉剤被害者団体などとの交流を重ね、交流先の団体等に訪問団の紹介を積極的に行い、枯れ葉剤被害支援を強化する」ことにもとづき取り組まれた。


団の編成は、NPOMOA加来代表理事を団長に奈良県生駒市在住の医療関係者を中心に11名が参加した。(医学部教授1人、医師1人、看護士3人、保健士1人、市・町会議員2人、労組役員2人、添乗1人で男6人、女5人)
1月31日朝8時過ぎに市内の遊園地で行われたベトナム赤十字協会ホーチミン支部理事長の招待でACB銀行、赤十字協会、市公園局共催による子供たちへの支援事業(枯れ葉剤被害者を中心にした催し)であるチャリティイベントに参加した。私たちに事前の情報確認が不十分だったため、遊園地に案内されたときは驚きであった。
このなかで「枯れ葉剤による身体の障害は重いが、心の障害はもっと思い、心に障害が無ければ重い障害も乗り越えられる」と歌を聴いて、多くの参加者と感動を共にすることが出来た。 このイベントは、TVでも放映され私たちNPOMOA視察団が参加していることが報告された。理事長が多忙の中、お会いできたことに感謝して日本から持参したお土産を手渡した。
その後、ホーチミン市内にあるツーヅー病院を表敬訪問。病院内で開催された昼食会で、出席された病院所長や副医院長とドクさん夫妻などと懇談。枯れ葉剤被害にたいする国の取り組みについて報告を受けた。
これまでの枯れ葉剤による被害状況の報告と昨年7月に21才の母親が出産した二重胎生児(死産)の標本をなどの説明をうけ、ベトナム戦争終結後38年を経た今も土壌を汚染している生々しい実態に驚くばかりだった。枯れ葉剤被害を受けた子供たちが入院している施設内も見学、障害を持ちながらも健気に生きる姿に感動した。
ツーヅー病院では、病院スタッフが約1,800人、ベットが1800床、1日に130人が出産するとこのことで、日本でこんな大きな産婦人科(小児科併設)病院は考えられないですね。
今年、3月初めから2ヶ月間日本に研修派遣される2名の医師とも懇談。日本の先進的な医療を学んでベトナムで役立てたいと抱負をのべていた。



午後、ホーチミン市にある戦争証跡博物館を訪問、ベトナム戦争当時の記録写真や泥沼化した悲惨さを伝える記録、米軍の戦車や航空機などを見学した。



その後バスから車窓見学した後、夕刻空路でダナン市に向かい到着後、ホイアンへ移動した。 2月1日、この日は一日ホイアンを見学。


午前中は世界遺産に登録された「ミーソン遺跡」を見学した。この遺跡は、2~17世紀に栄えたチャパ王朝の中心的聖地(ヒンズー教)でベトナム戦争当時は、解放戦線が陣地を築いたりしていたため米軍の砲撃で大きな損傷を受けた。現在は、戦禍を逃れた遺跡群を世界遺産に登録している。

ホイアンは、アジア交易の中心地で16~17世紀まで日本からもホイアンに進出し、日本人が約1,000人以上が暮らし、墓も残っている。1953年に日本人によって架けられた来遠橋(日本橋)という名の屋根付き橋がある。道が狭いため私たちは「シクロ」(人力タクシー)に乗って見学した。
2月2日、ダナン市内を見学後、夕刻空路でハノイ市に向かった。ハノイ市は、ホーチミン市から比べると気温が26度も低く、今年はとくに強い寒波の影響で最高気温が10度と寒かった。温暖な気候のため各施設に暖房設備がないのでハノイ空港に着いたときは寒さで震え上がった。空港にはNPO MOAのベトナムハノイ事務所・所長と日本語学校で学ぶ女子学生が出迎え。民族服を着て立っている姿を見て、知らない人はベトナム人が居ると勘違したのである。
ハノイ市は、人口300万人。バイクが200万台、昨年12月15日からヘルメット着用が義務付けられた。高速道路は車は有料、バイクは無料となっている。 バイクは、ホンダ製が1台17~18万円。中国製は7~8万円(日本円で換算)と半額、しかし耐用年数は短いため人気はない。 今年は、寒波の影響で平均気温が7度以下になり学校が休校となった。(学校に暖房施設が完備していないため)  ハノイ市周辺には、日本から進出している企業団地があり、ホンダ、ヤマハ、ナショナルなどの看板も目立っていた。



2月3日の午前中、ベトナム社会主義共和国創設の父「ホーチミン主席」の遺体が安置されている「ホーチミン廟」を見学して儀仗兵に守られた遺体と対面した。普段は長蛇の列が並び一時間近く待たないと対面できないが、ちょうど旧正月(テト・春節祭)と重なったため待たずに見学を終えることができた。


その後、バスで移動後ベトナム枯れ葉剤被害者協会(VAVA)のグエン・ドック・ニャン副会長が勤務する、ハノイ中央眼科病院を訪問し懇談した。
副会長は、枯れ葉剤被害をパンフやビデオを上映しながら紹介。2006年3月ハノイで枯れ葉剤被害に関する国際会議の開催。米軍に販売したアメリカの製薬会社を相手に損害賠償をアメリカの裁判所に提訴した。しかし、第1回目の裁判は数日の審査で原告側敗訴とし却下されたと報告。控訴審がいま闘われているが、アメリカ国内で世論を喚起する運動を通じて「枯れ葉剤被害」の実態を広く呼びかけている。
これまでベトナム戦争に従軍したアメリカ、オーストラリア、ニュージーランドなどの退役軍人が1984年以降次々に裁判に訴えている。この裁判で元アメリカ兵には、製薬会社が1800万ドル(約36億円余り)を賠償している。ニュージーランドでも自国の裁判所で30億ドルの損害賠償を提訴している。韓国の退役軍人7000人がも韓国の裁判所で起こした裁判では、600万ドルという判決が出たが製薬会社は補償金を支払っていない。
ベトナムでは、被害者協会が被害者から委任を受けてアメリカの各製薬会社に責任を取るよう強く迫っている。最後にNPOMOAから被害者支援の志を寄贈した。
午後は、昼食のあとハノイ市内を見学。夜、ホテルで夕食会を開催。ここにベトナム在日本大阪元総領事の奥さんを招待し懇談を行った。元総領事は、これまでNPOMOAの運動に大変協力をしていただきハノイ事務所設立にも尽力をそそいでいただいた。
視察団は、ハノイ空港夜の24時10分発(定刻より40分遅れ)で出発、帰国の途についた。
以 上

                   NPO MOA理事 
連帯ユニオン近畿地方本部
書記長 垣沼陽輔

 

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